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残留日本兵 - アジアに生きた一万人の戦後/林 英一 (著)[感想,要約]


戦後、アジアに残った日本兵の人生

 第二次世界大戦の終了を知らせる、玉音放送を大東亜共栄圏で聞いた日本兵は多くいる。その後、日本軍に参加した日本兵は日本に戻る。朝鮮や台湾出身の、日本兵は各出身地に帰ろうとする
 そのうちで帰ることができなかった、自らの意思で帰らないという選択をした日本兵がいる。この本では1万人いると記されている。その残った元兵士たちは、ベトミン軍(ホーチーミンがベトナム人をまとめた軍)に参加して、第一次インドシナ戦争を戦った者、ベトナム戦争に参加した者、ラオスやカンボジアの軍に参加した者、現地のベトナム人女性と子を儲けたもの、その後は各人によりさまざまであり、この本では兵士たちの第二次世界大戦後をどう過ごしたのか、100人分の残留の記録が示されている
 本の内容としては、第二次世界大戦の後に、アジアに残留した、100名の日本兵がおのおのどう過ごしたか記してある。第二次世界大戦の後に、日本はアジア諸国とどう関わったのか興味がある人が読めば面白いのではないか



台湾、朝鮮から徴兵された日本兵の苦難

 日本は台湾や朝鮮を占領した後、現地人の同化(皇民化運動)を進めた。そして日本軍に彼らを徴兵した。彼らは日本人から差別を受けながらも兵隊として戦い、散った
 社会の授業では、日本はアジアを侵略した歴史は詳しく教えられない。台湾、朝鮮を併合し、現地人を差別したのに、日本兵として利用したということを詳しく教えられるということはない。アジア侵略という、日本の戦争の加害者としての側面をこの本から知れる


第二次世界大戦前後のベトナムの歴史 ベトナム戦争(抗米戦争)以外のベトナムの長い戦争

 1800年代、インドシナ(ベトナム、ラオス、カンボジア)はフランスの植民地だった。インドシナの人々は労働力をフランスに摂取され、働けども豊かになれないという、苦しい日々を過ごていた
 第二次世界大戦が始まり、フランスがナチスドイツに支配され、力が弱まると、ナチスドイツと同盟国だった日本インドシナに侵攻して支配した。二重統治時代が始まった
 1945年3月9日、フランスが連合国に寝返ると読んだ日本は、フランス軍を武力で制圧した(明号作戦)。日本のみの支配が始まったが、飢饉が起きて大勢のベトナム人が餓◯してしまう
 その後戦争が終わり、日本はベトナムから撤退するが、様々な理由でアジア各地に残った兵士がいる、ということが表題の本には書いてある
 日本降伏後、ホーチーミンが率いるベトミン軍が革命を起こし、新しいベトナムを成立させる。しかしフランスはベトナムをあらめることができないので、軍事侵攻を始める。それが第一次インドシナ戦争である
 ベトナムはフランス軍を追い出すことに成功したが、戦争はまだ終わらない。社会主義国の成立を嫌がったアメリカがベトナムに軍事侵攻し、ベトナム戦争(抗米戦争)が始まる
 第二次世界大戦後、ベトナムは戦争から抜けられず、長い間戦いを続けているということである

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