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始まりの街、久しぶりの街【2021/11/22】

親戚の法事で、新幹線に乗り、泊まりがけで遠くの街に出掛けた。その街は5年ちょっと前まで10数年間、住んでいた。それなのに駅に降り立つと、新しい駅ビルが立っていて、出口も変わっており、戸惑ってしまった。友人と待ち合わせをするため、通勤で使っていた地下鉄に乗った際も、途中駅の名前を忘れていた。住んでいないと、こんなにも忘れてしまうとは。

この街で過ごした30代は、さまざまなことがあった。父の急死、いくつかの別れ、体調不良…。あがいた思い出がよみがえる。街のあちこちには、私の個人史が刻まれているはずなのに、行ってみると他人顔だった。

家族を持つ起点となった思い出の場所は、夜景の中に煌めいていた。そう、あのとき、ミラクルな出来事が起きて、私の人生は何もかも変わった。

思い出はすべて過去の中にある。懐かしいけれど、この街の記憶はアップデートされていない。ここで「今」を生きているわけではない。

翌日、新幹線が東京駅に近づくと、車窓から巨大都市の雑踏が見えた。圧倒されつつ、戻ってきたと思った。私の場所は今、ここにある。また、新たな気持ちで明日に向かっていきたい。

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