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2021/06/08 シスターフッドの有効性

当世はやるもの、その一つが「シスターフッド」。女性同士の連帯を意味するという。大ヒット映画「アナと雪の女王」のような姉妹愛が代表例だ。

私が「シスターフッド」という言葉を目にしたのは、つい数日前。NPO活動に取り組む女性2人へのインタビューだった。そうか、こういう言葉あるのかなと思っていたところ、間もなくして今度は日経新聞で「『シスターフッド』に注目  女性同士の関係、ヒット生む」という大きな特集記事が載っていた。

続くと、どうしても気になってしまう。「シスターフッド」、つまりSisterhood を英和辞典で調べてみると、「(男女平等などの共通の目的を持った)女性の団結意識」(ウィズダム英和辞典)などとあった。

Sisterhood とは、1960年代に始まった女性解放運動「ウーマンリブ」で、盛んに使われた言葉だった。ただ、日経トレンディの記事を再編集した前出の日経新聞記事には、歴史的背景への言及がなく、映画や文芸雑誌などでのヒット現象にフォーカスを当てている。以前からあった英単語を、聞こえのいいカタカナに変換して、さも新しいコトバのように差し出しているのではと、うがった見方をしてしまう。

私は大学生時代、フェミニズムの研究サークルにいた。その当時、フェミニズムが脚光を浴びていた。しかし、女性嫌悪(ミソジニー)という言葉もよく耳にする昨今、フェミニズムの嫌われようはどうだ。

まだ色のついていない「シスターフッド」という言葉を使いたがるメディア側の心理はよく分かる。でも、私自身、女性であり、「女の敵は女」の世界をリアルで生きているだけに、表層的な使われ方には警戒している。

個人的な感覚だが、女性の中でも同調圧力の強いタイプとは、属性や家族関係が類似していない限り、友人関係を結ぶのは難しい。具体的には、非正規/正規、既婚/未婚、子あり/子なしなどである。同じ非正規でも、既婚者と未婚者では違う。すべての条件が完全一致しないと、想像力の乏しい人とは、感情の行き違いが起きやすい。

結婚したら専業主婦になるコースがほとんどだった昭和と比べ、女性の世界では、特に分断が進んでいる。その中で、「シスターフッド」をどう実現していくのか。一過性の現象としてではなく、今までの女性史を踏まえて考えていく必要があると思う。

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