見出し画像

部下の特性を見極めるポイント | 最善のマネジメントを行うために

本記事の監修者紹介

プロフィール_吉野

1. 個別化されたマネジメント

近年注目されているチームメンバーのマネジメントの手法として、以前はたよくの記事でコーチングやカウンセリングの技法をご紹介しました。

しかしやり方が分かったとしても、忙しい業務の中で部下一人ひとりを理解して、特性・能力に合わせてマネジメントを行うことは容易ではありません。

そこで今回は、部下のタイプ・特性を理解し、それに合わせたマネジメントを行っていく方法についてご紹介します。


2. 部下一人ひとりの特性、理解していますか?

皆さんはどれくらい部下のことを理解してますか。「素直でコミュニケーションはしやすいが仕事は遅い」「何考えてるか分かりにくいが仕事は良くできる」など、部下それぞれに個別の印象を持っていたとしても、それらを具体的なマネジメント方法に活かせている方は意外と少ないのではないでしょうか。


なんとなくで仕事を割り振っていると上手くいかない

上司といっても一人の人間ですから、人に対する相性や得意不得意はありますし、それに応じて部下に対する仕事の任せやすさも変わります。しかし、その相性や得意不得意の尺度で仕事を任せたり任せなかったりしていると、チームとしての成果も、部下の成長もいま一つ、、、という結果になってしまいます。


部下の特性に合わせたマネジメントをする

それではどうすればいいのでしょうか。まずは能力の高い人には、それに合わせた挑戦的な仕事をある程度裁量を持って取り組めるような形で任せます。未熟な人には、頑張れば達成できる難易度の仕事を割り振り、こまめに相談に乗りながらその人自身が成功体験を獲得できるようにサポートすることが重要です。

このような能力・パフォーマンスに合わせたマネジメントが部下の成長にも、チームとしての成果にも繋がります。


3. 能力×意欲のマトリクスで部下の特性を理解する

しかしながら、部下の特性を正確に理解するというのは簡単なことではありません。同程度のパフォーマンスを発揮する人でも、やる気がある方が有能に見えますし、中にはやる気もパフォーマンスも低い部下もいるかもしれません。それぞれに異なる部下を正しく理解し、個別にマネジメントすることは、想像以上に難しいと言えます。

そこで今回は部下を「能力」と「意欲」の2軸を用いたマトリクスで、4種類の特性に分類して、それぞれに合わせてマネジメントする方法についてお伝えしたいと思います。

スクリーンショット 2020-12-22 085754


タイプA:能力も意欲も高い

能力も意欲も共に高い部下はわかりやすく「できる部下」です。上司のあなたも信頼して難しい仕事を任せることが出来ると思います。このような部下に対しては、仕事を任せて大丈夫です。ある程度の裁量を持って進めてもらいながら、ポイントごとに報告を受けて、適宜フィードバックなどに入るようにしましょう。


タイプB:意欲は高いが能力が低い

意欲は高いがパフォーマンスが出ていない部下に必要なのは経験や技術ですから、上司はOJT形式でサポートすることが必要です。例えば外回りの場合、部下に同行して、部下がミスした時にすぐにサポートできる態勢を整える事で、部下の意欲を削がずに能力を伸ばすことが出来ます。

また、このようなタイプの部下には明確に”やりたいこと”がある場合があります。しかし、”やりたいこと”を任せることが能力的に難しい場合には「すぐには任せることはできないけれど、将来的に任せることができるように、今はこの仕事をやってもらいたいと思っている」ときちんと伝えましょう。何も言わずに仕事を変更すると、意欲が下がってしまったり過小な仕事を与えられたと不満を感じさせてしまうかもしれません。


タイプC:能力は高いが意欲が低い

能力が高いのに意欲が低い部下は”出来ない部下”だと勘違いされることが多いタイプです。しかし、仕事を頼めばしっかりとこなすことが出来るので、仕事上で教えることはほとんどないという状態です。このような部下に対しては、本人に仕事を任せながらも、道を外れないように時々報告をさせましょう。特にフィードバックがない場合もあると思いますが、部下がどのような価値観を持っているのかを知る機会になります。


タイプD:能力も意欲も低い

パフォーマンスも意欲も低い部下には、なるべく仕事を回さないようにしている上司の方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに能力も意欲も低い部下に仕事を教えることは非常に骨が折れます。とはいえ、いつまで経ってもそのままではチームのパフォーマンスに影響が出てしまうので、タイプDの部下が意欲を高め、タイプBに変わることができるようにフォローしましょう。

意欲を上げるにはどうしたらいいのでしょうか?例えば、チームの環境を盛り上げるムードメーカーとして仕事環境を整える役割としてなら、活躍できそうだという部下もいると思います。そのような場合には思い切って、仕事の成果以外の軸での活躍を促し、周囲がその活躍を認めるようにしましょう。どんな役割であれ、職場で必要とされることは仕事へのモチベーションを高めてくれます。職場で意欲が出ない原因はどこにあるのかを明らかにすることで適切なマネジメント方法もまた変わってくると思います。


4. 仕事の配分を部下に合わせる

タイプ別のマネジメントについてご紹介したところで、次は仕事の配分について見ていきたいと思います。部下の特性を理解しているけれど、仕事の与え方に自信が無い方は是非こちらを参考にしてみてください。


部下のキャパシティ100%に対して110%の仕事を与える

スクリーンショット 2020-10-15 153507

「仕事の量が多すぎないか・少なすぎないか」と心配になる上司は少なくありません。そんな時に思い出してほしいのが「キャパシティに対して110%の仕事を与える」ことです。

本人が対応することのできる仕事の負荷よりも、10%だけ多くの仕事を頼むようにしましょう。この110%という数字は「今よりも少し頑張ったらできること」の目安になります。

このパーセンテージは上司だけでなく部下とも共有するとよいでしょう。部下自身が今現在どれくらいのキャパシティがあるか、を数字に示すことで上司は部下のマネジメントをスムーズに行うことができ、お互いの納得の上で仕事を進めることが出来ます。

また、そのキャパシティの数値が業務量によるものなのか、それとも精神的負担によるものなのかを確認することも重要です。日頃のコミュニケーションの一環として部下自身のキャパシティに気を配り、それを可視化することはマネジメントのしやすさにつながります。


部下に自分でやり方を考えてもらう

スクリーンショット 2020-10-15 153538

初めて経験する業務だと、負担が大きく感じられることはありませんか?二度目以降は大したことがない業務でも、初めての時には右往左往してしまい、実際の業務負担以上の心理的負担を感じることは、誰にでもよく起きることです。

これを軽減するのに有効なのが、部下に上司のもとでやり方を考えてもらうということです。「こういう業務を頼みたいと思っているんだけど、どうやって進めようか?」と聞いて部下に答えてもらいます。一度上司の承認を得た上で取り掛かることが出来るので、部下の心理的負担は軽減されます。また、上司は部下の業務を把握しているので、その後のフィードバックをスムーズに行うことが出来ます。

業務に取り掛かる前に部下にやり方を考えてもらい、上司と共有することは、部下の心理的負担を軽減させるだけでなく、緊密な連携により上司と部下の信頼関係の構築、成功体験につながり、部下の成長を促します。


緊急時の業務の頼み方

しかしながら、明日の会議に急遽重要な資料が必要になった、といった場合は普段と異なり緊急の案件ですから、部下の成長促進にまで気を回していられません。緊急の場合には、最も能力と意欲があって信頼している部下に頼みましょう。場合によっては、あなたが細かく指示を出して、それ通りにやってもらうことも必要かもしれません。


5. まとめ

部下のマネジメントにチームの成果、個人の業務と日頃から多くの仕事に追われている管理職の方々に必要なのは、いざというときに右腕となる部下を持つことです。

最も時間を割くのは、パフォーマンスが低い部下に対してだとは思いますが、あなたの右腕となりうる優れた部下の育成も疎かにしないようにしましょう。時々パフォーマンスの低い部下の育成に対してつきっきりで、優れた部下を放任しきってしまう場合がありますが、ポイントはボトムアップではなく「トップアップ」です。

「トップアップ」は、チームの要となるメンバーの能力を向上させることで、それによって、チームの活性化を促します。また、チーム内でパフォーマンスの低い部下を育成し支える体制を構築するには能力の高い部下たちの協力が不可欠です。


監修者プロフィール

吉野学
ピースマインド株式会社
事業推進室 室長 兼組織ソリューション部
EAPエグゼクティブコンサルタント・公認心理師・
臨床心理士・キャリアコンサルタント

大手不動産デベロッパーで長年経営企画業務を担当。ヘルスケア事業の立上げに携わったことを契機にメンタルヘルスケア業界に転身。従業員のメンタルヘルスケアや企業の職場改善、医療機関の経営再建に従事した後に、ピースマインド株式会社入社。営業部長を経て現職。100社を超える企業の職場改善を支援。


関連情報


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?