大勝軒修行物語　材料費

ナルトを切る事が、刃物を持つ最初の作業だった。均等に切ったつもりでも、出来上がりの枚数が微妙に違う。利益を出すには、薄からず厚からずにしなくてはいけない。大勝軒の原価率は45%と言われていた。実際に独立してやってみると、その通りで税理士が怪しむくらいに高かった。通常の飲食店は30%位にしないとFLRコストが成立しない、即閉店だ！ゆえにマスターはある意味、弟子達にとって、やっかいならーめんを作ってしまった事にもなる。 大勝軒は、マスターのお客様に対する信念から出来上がっていた。

ジョニー

ブラックジョークです！

大勝軒修行物語　ハトのフン返し

バク宙で指を痛めた俺には、ひとつ困ったことがあった、それは製麺である。大勝軒の製麺は、小型の吉野製麺機を使用していた。まず小麦粉と灌水をミキサーでまぜ、次にそぼろ状になったモノを、ローラーに手で押し込んで麺帯を作らねばならなかった。 がっ、俺は指が痛くてうまく押し込めなかった。ローラーに運ぶ量が安定しなく、麺帯が途中で切れてしまっていた。後から入って来た修行生にも追い抜かれ、からかわれる始末に、マスターも首を傾げている。だが、言い訳はできない。自分でまいた種だ。指は放置してい

超簡単　無化調らーめん‼️

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大勝軒修行物語　バク宙

大勝軒修行も慣れてきた9月下旬、九州のらーめん屋さんから、4〜5人の修行生が入ってきた。 何やら、九州で業態変更して大勝軒をやるらしい。 社長自ら参入してキモ入りだ！ どうやら、九州で同郷の方らしく、短気で従業員もピリピリしていた。店近くのカフェでテイクアウトしたケーキを差し入れしてきたが、仕事の最中だから、頂くのを後回しにしていたら社長がキレた。もういい！全部捨ててしまえ！と叫んだ！すぐにありがたく食べて欲しかったらしい。 うちの社長は、ああいうのには、うるさいんだよ！と従

大勝軒修行物語　厨房担当

修行初日は！慣れない長靴で足が痛くてしょうがなかったが、すぐに慣れてきた。もともと扁平足で疲れやすかたったが、サラリーマンとはまた違う疲労感だ。 新人がホール担当と厨房担当とに分けられた。もともとらーめん経験のある高木は、ホール担当からの修行となった、大勝軒のホールはパニックになる者がでる程だった！なんせ営業時間の4時間に300人程来店するからだ！ 厨房では、初日から特製もりそばの作り方を教えてもらった。全ての丼に調味料を入れて棚に並べていく、旨み調味料、コショウ、砂糖、一味

大勝軒修行物語　見栄

駒谷さんは、何をしていたんですか？ 栗原さんが聞いてきた。 厨房機器のホニゼンで所長をやってました！ 独立する時は、知り合いもいますから、言ってくださいね！と俺は答えた！ へーぇ〜、ホニゼンで所長やってたんですか！ スゴいですね！ 所長やってたんだって！と、 谷部さんにも話しかけていた。 へーぇ〜スゴい！と谷部さんもいう、 話を聞いていた年下の同期の高木が、突然、 その歳で修行に来るから、てっきりリストラされたんじゃないかと思ってた！といい出した。 俺は、ドキっとした

大勝軒修行物語　挿入歌

大勝軒修行物語　禁止事項

尊敬する先輩がもう一人いた。谷部さんだ！ 谷部さんは、福島の食料品店の家業を引き継ぐ予定だが、大勝軒に業態変更をしようと考えて修行に来ていた。 どこかにアパートを借り、婚約者と一緒に出てきているらしいが、深く確認した事はない。 寒さの増す11月頃、4時にチャーシューを仕込むと、チャーシューができる6時までやる事がない。 甲子園に住んでいれば、また一眠りしに帰れるが、谷部さんは店の裏にダンボールを敷いて寒そうに寝ていたらしい。笑 マスターが、毎朝、厨房でお湯浴びをする時間だか

大勝軒修行物語　朝仕事

大勝軒のチャーシュー当番は朝4時から始まる。それ以外の人は、朝6時から勤務する。店の外の掃き掃除をしたり、ホールに寝ているマスターの寝床を片付け、テーブルや椅子を表に出し、床をブラッシングして水を掃く。そしてテーブルと椅子と、カスターセットを用意する。朝仕事の合間にマスターが、ドクターと名付けた弟子が、マスターの足のガーゼの取り替えをやる。 マスターの両足のスネ傷は、無理がたたりケロイド化していた。毎朝ガーゼを外し、生理食塩水で洗い、新しいガーゼを付ける。マスターは、塩素過敏

大勝軒修行物語　先輩

コレ！着て下さい！と、紺色のTシャツを渡してくれた先輩の名前は、栗原さんという人だった。若いのにしっかりした人で、まだ20代半ばだが、大勝軒の期待のエースという感じだ。山岸マスターも一目置く感じに見えた。 大勝軒に、4〜5年いるらしく、近所の安いアパートに暮らしている。無給といっても、マスターは、交通費と称して給料日には、3万円を茶封筒にいれて、渡してくれた。なんともありがたかった！3カ月過ぎると5千円多く入るようになった。 栗原さんは、大勝軒お墨付きの俗に甲子園と呼ばれてい