大勝軒修行物語 材料費
ナルトを切る事が、刃物を持つ最初の作業だった。均等に切ったつもりでも、出来上がりの枚数が微妙に違う。利益を出すには、薄からず厚からずにしなくてはいけない。大勝軒の原価率は45%と言われていた。実際に独立してやってみると、その通りで税理士が怪しむくらいに高かった。通常の飲食店は30%位にしないとFLRコストが成立しない、即閉店だ!ゆえにマスターはある意味、弟子達にとって、やっかいならーめんを作ってしまった事にもなる。
大勝軒は、マスターのお客様に対する信念から出来上がっていた。美味しいものをお腹いっぱい食べてもらおう!というマスターと時代背景もマッチしていた。
メンマは1袋30キロの乾燥メンマを仕入れて、小分けにし、お湯にいれ沸騰させ2〜3時間弱火で戻し、毎日水を入れ替えると7〜8倍になる。当時はまだコストは良かったと思われるが、今は価格が3倍以上ではないだろうか?
煮干しも当時の5倍と今の本店に聞く、
たまごも去年エッグショックという言葉ができる位に上がった。
チャーシューの材料の豚正は、マスターこだわりの部位だ。柔らかいチャーシューを好む人が多い中、バラでもなく、肩ロースでもなく、豚ももを使う。歯応えのあるチャーシュー!これが大勝軒である。ある修行生がマスターに、柔らかいチャーシューの方が良いのでは?と聞いてみたら、マスターは、硬いチャーシューじゃダメなの?逆に聞いていた。マスターが、何十年もかけて行き着いたチャーシューである。こちらも、2〜3倍近く上がっている,
スープにコクが出るように、ひき肉を足して溶け込ませていくから、原価率はますます上がっていく。
スープは、一番スープだけでゲンコツ、胴ガラトンソク毛つき、鶏頭、モミジ、鶏脂など50キロにも及ぶ。こちらも、値上げと部位によっては、入荷がない食肉会社も出る有様だ。
飲食店を苦しめる条件が全て揃ってしまった!
フードコストに人件費にエネルギーコストだ。さて、それでも!らーめん屋をやりたい人は、出てくる。なぜならば、らーめんとは、そういうモノだから。そういう魅力がある。
参入しやすいが、1年もつか?
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