大勝軒修行物語 ハトのフン返し

バク宙で指を痛めた俺には、ひとつ困ったことがあった、それは製麺である。大勝軒の製麺は、小型の吉野製麺機を使用していた。まず小麦粉と灌水をミキサーでまぜ、次にそぼろ状になったモノを、ローラーに手で押し込んで麺帯を作らねばならなかった。
がっ、俺は指が痛くてうまく押し込めなかった。ローラーに運ぶ量が安定しなく、麺帯が途中で切れてしまっていた。後から入って来た修行生にも追い抜かれ、からかわれる始末に、マスターも首を傾げている。だが、言い訳はできない。自分でまいた種だ。指は放置していたが、曲がったままだ。
自宅では、団地のベランダに、ハトが巣を作ったらしい。真上の窪みのある場所で下からは見えない。ハトにとっては、雨宿りや巣作りには最適らしい。ベランダに羽根や小枝や葉っぱを散らかしている。最悪なのは大量のフンだ!
10本近くのペットボトルに水をいれ、スペースを防いだら来なくなった。しばらくして、団地の修繕工事の為、ベランダの荷物をしまうように言われた。ハトよけペットボトルもだ!
そうすると、翌日には、大量のフンと羽根が散らかっていた。タワシで洗い流しながら、ハトのフン返しだな!と呟くと、カミさんが鼻で笑った。

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