読書感想文:こっち向いてよ向井くん②

突然ですが、皆様は「#むかいの喋り方」というラジオ番組をご存知でしょうか。

#むかいの喋り方 、とは名古屋のローカル曲CBC(スィービースィー)ラジオの番組です。パンサー向井さんの様々なコンテンツへのスマートな分析力、そしてときに微笑ましくときに胸がキュッと締められるような、売れっ子芸人でありながら等身大な姿が人気となり、なぜか毎週全国トレンドに入るくらいの人気番組となっております。
(この部分は事実を元に構成しております)


かくいう私もパンサー向井慧さんの大ファン、もとい信者でございまして、「#むかいの喋り方」を聴きたいがためにradikoへ課金し続けているくらいにはのめり込んでおります。

 そのラジオは業界内外で話題を呼んでおり、そのうちリスナーの一人としてこの番組、ひいてはパンサー向井さん本人に感銘を受けた作家ねむようこ先生が、『こっち向いてよ向井くん』を連載開始、今回コミックス第二巻発売と相成りました。前巻同様、以下しっかり感想を思ったので書き記します。

前作レビューもひとつよしなに


前巻のレビューで私はこう申し上げました。

 向井くんのエピソードとして、自分から積極的に行く失敗と、相手からのアプローチを待って取り逃す失敗の両方ハッピーセットしてるのが、殺傷能力高くて良かった。
 寝取られってありますけど、実際のところ「好意と思ってたのはただの思い上がりで、向こうからしたら既定路線に1mmもブレていない」ことを受け入れられないから「相思相愛の相手を第三者に奪われる」というストーリーにして脳を無理やり納得しているだけなのでは、と思うようにもなった。

いやー素晴らしいですね第二巻は。具体的なことを言いそうなのでちょっと黙りますけども、素晴らしい「恋の切り傷」でございますな。

 作中の向井くんという人間がいて、いろんな女の子たちが出てきては、あらゆるパターンで事故死していくって展開も予想しておりましたが、これ非常に厳しいですね。永遠に続きそうで。素晴らしいシステム。

 しかも非常に素晴らしいのは、前巻末に女の子と出会いがあり、巻を跨いで爆発四散という流れがもう美しいの。
その上、爆散する過程のうち、実際に問題となる向井くんの至らなさをはっきり見せつけるようなものはなく、ほんと突然爆散して、「うえええええ!?」と向井くんと同じリアクションに陥ることが可能なのですよ。

 女の子のパターンも、「過去に関係のあった人」というケースはともかく、他の「職場」「よく行くカフェの界隈」のパターンって人の入れ替えが必ずあるものだから、これこち亀並みの長さすら可能やで…っていう感じです。


 そして話の中身について語ると、今回の場合、次につながるであろう女の子との会話で新たに「向井くんは不快じゃない」という新たな十字架が出てきたんですよ。このワードは強いね。

 つまり、この不快じゃない、嫌いじゃないっていう言葉は誉めているようでその先にどう動けば良いかを一切提示しないワードなんですよ。
 根が優柔不断とかパッとしない人の場合そう言われた後の一歩目二歩目は絶対間違う。それでいて、そう言われると今までのプランや野望も一気にぼやけるのもよくて。

 言ってしまえばパンサー向井という男の批評でもあるんですよ。さまざまなことに気がつき、優しく気を使いつつ難しい局面をそつなくまとめられるMCや回し、コントのツッコミとしても優秀。
 とは言え、パンサーの尾形さんや菅さん、チョコプラやシソンヌと比較しても、お世辞にも自らの手で面白を言ったり沸かすことは得意ではなく、ツッコミとしても南海の山里さんや千鳥ノブさん的な「笑いを主導できるツッコミ」でもなく。

 そういう自分にコンプレックスや苦悩がある人がこの「不快じゃない」の十字架を背負うと、非常に厳しいね。
 人間としての深い話になるのならば、なおさら「彼女が出来ればいい」「結婚できればいい」の流れに終始するとやだなあと思っていました。したらあのラストですよ…


 この漫画、主人公以外の人物も悩みもがいているんですけど、コミックスのラストが今のところ、「向井くん」ではなく他の人物についての衝撃展開だったので、毎回後頭部打った時の感覚になるんですよ。いやー…やばかった。
 このヤバさは、展開にも繋がるし1巻読まなきゃと思うからそこは各々お任せします。だけれども、ちょっとビビりましたね。

いや、これどうなっちゃうの?

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