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大手からベンチャーへの転職で挫折を経験してからパフォーマンスを発揮できるようになるまでの話

 人材の流動性が高まりつつある今、転職を経験した人は確実に増えてきていると思います。転職した人の中には、楽しく働いて成果も出し「転職して良かった!」と思う人がいる一方、環境が変わったことで中々パフォーマンスが発揮できず「前の職場の方がよかったかも…」なんて思う人もいるのではないでしょうか。かくいう私も、大手からベンチャーへ転職した当初は、中々思うようなパフォーマンスが出せませんでした。しかし、あるきっかけで心理的安全性を感じるようになってから徐々にパフォーマンスを発揮できるようになっていきました。今回は、そんな私の経験を書きます。

 私の経験が、転職をしたものの中々パフォーマンスを発揮できずに苦労している方にとって何かヒントになればいいなと思います。また、これから転職を検討する方(特に、大手→ベンチャー)にとっても、転職を考える上での参考になれば嬉しいです。

 なお、あくまでも私のパーソナリテ前提の超絶個人的な経験談なので、「まあ、そういうこともあるやんね~」程度でお読みいただければと思います。

※今回も記事を書いていったら気が付けば6000文字に達していました。笑
お時間あるときにもしよければ読んでください!

0.はじめに

 私は大学院を卒業し、日立製作所の知的財産本部に4年半勤めた後、一大決心をしてブランド・組織のコンサルを手掛けるベンチャー企業のフォワードへ転職しました。そこでは、コンサルらしくハードワークをいそしみ、3年後の今年、自分の夢に向かうためにサッポロビールへ再度転職しました。このように、これまで私は規模の違う3社(※)を経験しています。 

※ざっくりの売上・社員数は以下です。
・日立製作所  :売上約80,000億円・社員数約30,000人
                                                              (グループ全体約30万人)
・フォワード  :売上約         4億円・社員数約      20人
・サッポロビール:売上約  3,000億円・社員数約  2,000人

 
 今回は特に、日立製作所(大手)→フォワード(ベンチャー)への転職の経験を中心に、

●大手企業からベンチャー企業へ転職した背景・理由
●ベンチャー企業での挫折・苦労
●転機となったカンボジアへの社員旅行
●心理的安全性とパフォーマンスの関係性

の順で書いていきます。

1.大手からベンチャーへ転職した背景・理由

 私は、今、自分のやりたいこととして「自らビールを提供し、ビールを囲んで語らう場をつくる」という割と具体的な夢を持っています。しかし、それは今でこそで、以前の記事でも少し書いたのですが、日立製作所在籍時には「俺って本当は何したんやろな~?」という迷える子羊状態でした。

 そんな中、対話に出会い、対話を通じて自己探求を続け、自分のやりたいことに関するキーワードとして『お酒』と『スポーツ』が出てきました。

 ちなみに、それぞれのキーワードが自分に引っ掛かってきた理由は以下です。

『お酒』
…飲みながら色んなバックグラウンドの人と話すのがとても楽しい!お酒って人とのコミュニケーションを滑らかにする潤滑油みたいでいいなぁ。
※この時はまだ今のクラフトビールに対する想いまでには至っていない。
『スポーツ』
…小中高大とずっとサッカー・野球とスポーツをやってきた。あのスポーツの熱くなれる感覚っていいよな。社会人になってもそういう情熱のような熱い思いを感じたい!

 さらに余談ですが、お酒を通して色んな人と話して繋がっていくのが楽しいという体験は、我が愛する街 蒲田 で始まりました。大阪出身の私ですが、蒲田は第二の故郷と思っています。笑
 蒲田愛はまた別の機会に書こうかな!あ、もちろん、大阪も愛してます。

 さて、とは言え、『お酒』と『スポーツ』はまだまだ抽象度が高く、具体的ではありません。そこで、何か動かないと自分の中の想いはもっと明確にはならないかもしれないなと思い、転職活動を始めました。

 エージェントと話しをし、将来自分がやりたいことがある程度あるのであれば、視点を変えて物事を考える癖を身に着け、その他どんなビジネスでも使えるポータブルスキルを向上させるのがいいかもねということで、コンサル会社への転職を検討し、いくつか受けました。
 そんな中、前職のフォワードで創業者の加藤さんとご縁があり、会社のお話をお聞かせいただきました。会社は、創業4年目のベンチャー企業で社員数は15人程度(その当時)。事業としては、ブランディングやマーケティングのコンサルティング業を中心に組織づくりの支援もやっているとのこと。

 そして、特徴的だったのは、カンボジアとナイジェリアにプロサッカーチームをもって経営しているというところ(※)。
※現在は、昨年(?)に加藤さんが新たに立ち上げたOverBという会社が経営を引き継いでいます。

 そこで、フォワードの選考フローに乗せてもらい、いくつかの会社と並行して面接を受けてはいましたが、最終的にはフォワードへ行くことを決意しました。

 その理由は大きく二つあります。一つ目は『スポーツ』というキーワードがあったこと。そして二つ目は、大手から一歩踏み出し、自分が動き続けないといけない環境(ベンチャー)に身を置いた方が、自分も成長するし、(まだ完全に明確ではないが)やりたいことの実現にも近づくのではないかと思ったことです。

 ・・・うん、二つ目はありがちな理由のやつ~。笑

2.ベンチャー企業での挫折・苦労

 と、一応の決意をもって勇んで転職したわけですが、入社当初は苦労しました。
 コンサルティングを実際に行う納品部隊を志望していたのですが、入社して配属されたのは営業部隊の方でした。扱う商材としては、その当時会社として立ち上げようとしていた組織文化調査や研修などの人事領域のサービスです。

 前職での知財領域とは全く異なる領域・業界で、さらに「営業」自体も初めての業務です。まずは会社が定めた顧客ターゲットリストにある会社の代表電話にかけ、アポイントを取ることからスタート。日立時代の社員同士の電話や外部事務所との電話と違い、信頼関係ゼロから会話を始めてアポイントにつなげることの難しさ。

「代表電話に掛けるん怖いな…」
「どう喋ればいいのかわからへん…」
「全然話を聞いてくれへん…」

 なんとかアポイントを取って、上司にアポイントに同行してもらっても営業として何を喋ればいいのかわからず、変なこと言って失敗するの嫌だなという恐れでNo Valueな日々。

 その結果、もちろん中々数字も上がらず、ダメダメ営業パーソン。

「日立におった方が良かったんちゃうか…」

なんて思い始める始末で、博士後期課程や日立時代に培った自信とかアイデンティティはズタボロになってました。
 ↓まさしくこんな状態でした。

挫折

 そういうズタボロのときって、人は周囲の環境や人に要因を求めがちです。私自身も、ご多分に漏れず、

「商材が分かりにくいから」
「営業経験がないのに会社が自分を営業にしたから」

などと思うこともありました。

 ただそう考えても何も変わらないから、「自分が変わらなきゃ」とは思うものの中々変われない。足りない知識を補うために、アポイント中の上司の話し方や内容のメモや書籍でのインプットはするものの、営業としての成果は中々出ませんでした。

【コラム的なやつ】それは誰の課題か?
 フォワードで学んだ一つの思考技術として、ある事象が起こったときに、「それは自分が解決できる課題か?それともそうでないか?」と分解し、「自分が解決できる課題」に焦点を当てて思考・行動する、という考え方があります(逆に「自分が解決できない課題」には踏み入らないようにします)。
 この考え方は、アドラー心理学では課題の分離といわれています。この考え方は、私が苦しい時期にとても助けてくれました。そして、今でもとても役に立っています。

3.転機となったカンボジアへの社員旅行

 そんな絶賛停滞状態のとき、転機が訪れます。入社してから半年過ぎくらいのタイミングでカンボジアのシェムリアップへ社員旅行へ行く機会がありました。ちなみに、シェムリアップは、あの有名なアンコールワットがある地域です。
 なぜシェムリアップなのかというと、会社が経営するクラブチームがシェムリアップをホームタウンとしており、ホームでの試合を観戦するという目的があったからです。

 カンボジアでは、クラブチームの試合の前日に、社員でいくつかのチームを作り、我々が観戦予定の試合チケット(1米ドル)をどのチームが一番売ることができるのか大会が催されました。

 試合チケットは、街中にいる人々に声をかけて売るのですが、チケットを買いそうな人ってどんな人だろうというターゲットを考えて…など色々な戦略が重要です。が、最も大事なのは、知らない人に声をかけてチケットの説明をして買ってもらうことです。

 異国の地で話しかけるなんて結構ビビりそうなものですが、意外と話しかけることができるものです。ゲームの勝敗がかかっているということもありますが、異国の地で「例え変なコミュニケーションになったとしても、もう会うこともないし、まあいっか」という心理的な安全性を感じることが大きいのでしょう。いわゆる、旅の恥はかき捨てってやつですね。

 また、カンボジアではもちろんお酒も飲みました。異国の地で、日本人同士のコミュニティでお酒を飲むと、不思議と一段と踏み込んで色々話せたりします。そして、そのとき個人的プチ失態事件が起きました。

 お酒大好きマンとして、すすめられるがままに、そして、勝手に暴走してビールを飲みまくり、その結果、酔いつぶれてお店で寝てしまいました。
 なお、途中から記憶はありません。大反省。
 飲み会が終わり、両脇を抱えられながら何とかホテルの部屋へ届けられたらしく、気が付けば朝でした。若干の二日酔いの中、起きて「今何時だろう?」とスマホを見ようとすると中々スマホが見つかりません。

「絶対スマホ失くしてるやん…」

 日本ならまだしも、カンボジアでは戻ってこないだろうな…と諦めていました。

しかし、ホテルで同部屋だった社員の方が撮っていた写真の中に、お店のソファーで仰向けで腹の上にスマホを載せながら爆睡している私の写真がありました。
 その写真からお店の場所がわかり、ダメ元でお店に行って確認するとなんとスマホを保管してくれていました。

 スマホを見つけてくれたお店のスタッフにいくらかお礼のチップを渡し、その方と記念写真を撮って個人的プチ失態事件は無事解決されました。

※これが「プチ」失態かどうかはさておき、やはり飲酒は適量が大切です!

飲みすぎ

 このカンボジア旅行以降から、私自身の中で何かが変わり、社内での心理的安全性を感じるようになりました。その結果、業務の中でたとえ失敗する可能性があっても、恐れず行動できるようになりました。具体的には、アポイント先で上司がしゃべっていても、「今これ話した方がいいんじゃないか?」と思ったことを躊躇せずにしゃべったり、会社内でのMTGで積極的に意見を言ったりです。

 そういったことが積極的にできるようになると、自分の中でトライ&エラーが蓄積されスピードが格段にあがり、例えば、こういう人のタイプには、まずはこの切り口から話した方が良さそうだなどが分かるようになってきました。

 そして上司の助けもあって少しずつ成果も出始め、1人でアポに行ってクロージングもでき、着実にパフォーマンスが上がっていきました。

4.心理的安全性とパフォーマンスの関係性

 この経験を振り返って思うのは、

「失敗しても大丈夫だ」や「自分の素を出しても受け入れてもらえる」という心理的安全性を感じるかどうかによって、人の成長速度が変わってくる

ということです。

 たいていの人は、周囲の目や評価を気にします。誰だって他の人から良く思われたいに決まっています。もちろん、一定のレベルで周囲の目や評価を気にすることは、自分の身だしなみや振る舞いを意識するために重要です。

 しかしながら、周囲の目や評価に過剰になると、

「これを言ったら嫌われるかな…」
「こんなことしたら変な奴だと思われるかも…」
「それだったらするのやめよう…」

と自分の行動に制限をかけてしまいます。これが新しい環境や仕事での成長にブレーキをかけてしまいます。そして、その結果、中々パフォーマンスが上がりません。

 未経験や全く新しい環境や仕事では、初めてやることが多くあります。そして、一定の社会人経験を持っていると、かつてはパフォーマンスを発揮していたプライドがあり、初めてやることでうまくいかないことや失敗することで「こいつは使えない奴だなと思われたくない」という気持ちが出てきます。でも、そう思って行動を躊躇すればするほど、成長機会を失い、パフォーマンスが下がってしまいます。

 この時、ここでは「多少失敗しても大丈夫」や「失敗する自分でも受け入れてくれるんだ」という心理的安全性があれば、自分の評価を気にすることなく行動できます。

 私の場合、元々人の目や評価を気にしがちで、それによってホンネを言えなかったり、行動を抑えたりするような気質を持っていました。しかし、カンボジアで多くの人にチケットを売るために話しかけたことや個人的プチ失態の経験を通し、会社に対して自分の素をさらけ出したと感じ、そこから行動が変わっていきました。

 今では、その行動が積み重なった結果かわかりませんが、かつての自分ほど人目や評価を気にしないようになりました。そして、自分が「すべき」「したい」と思ったことに対しては、意見も言うし行動もするようになっています。

 新しい場所で心理的安全性を感じたことがきっかけで自分自身が変化していったわけです。

5.さいごに

 今回は、ベンチャーへの転職での挫折と心理的安全性を感じるようになったことがきっかけで行動が変わってパフォーマンスが上がっていったことを書きました。
 しかし、ここで疑問に思うのは、「では、どうやって心理的安全性を感じることができるようになるのか?」ということだと思います。

 ただ、申し訳ありませんが、方法論に関しては、私はこれといったものをまだ持ち合わせていません。しかし、心理的安全性を得るための方法論について書かれた書籍はたくさんあるので、そちらをご参考に頂ければと思います。

 個人的には、方法論よりは、「自分はなぜ今心理的安全性を感じられていないのか?」を考える方が重要だと思います。なぜならば、「どうやったら心理的安全性を感じるかどうか」は人によって異なるからです。

 こんなことを言ったら元も子もないですが、やはり人の話を聞いたり書籍を読んだりしつつ、自分で上記のような問いを考え続けるかけることが大事かもしれませんね。

 こんな落ちもない終わりですいません。

 私ま未だ夢に向かう道半ば。色んなことをインプットしつつ、「問い」を大切に精進していきます!


インプットしたものを何かでアウトプットしたいと思い登録。いずれブルワリーを自分で立ち上げ、それを中心にビアバーやゲストハウスなどシナジーがありそうなことを始めることを妄想中。ビールを囲んだコミュニケーションでみんなを笑顔にしていきたい。