見出し画像

鉱工業指数とはなんだ~経済指数を学ぼう~

昨日は、国民が商品・サービスを買うときの物価の上下を反映する「消費者物価指数」について解説いたしました。

特に2022年はモノの値段が上がってきていますので、非常にタイムリーな内容でしたね。今日は、また別の経済指数「鉱工業指数」について解説していきます。その名の通りですが、製造業・メーカーががどれだけの商品を作ったかを示した指標。経済産業省が毎月発表しています。どんな意味があるのでしょうか?

モノが沢山つくられる=消費が多い=景気がいい。景気の尺度になります。

想像してみましょう。世の中が景気いいときは購買意欲が増しますよね。百貨店や家電量販店も儲かるのが世の常です。そして、消費が活発になる時にには、その手前で企業は商品を沢山作る、すなわち生産量を増やすのが普通です。だからこそ、メーカーの生産量の変動は景気の良しあしを測る指標・基準といえます。毎月発表され、さらに調査から1ヶ月程度で発表されるため、日本経済の動きを敏感に反映する注目度が高い経済指数。鉱工業指数には「生産指数」「出荷指数」「在庫指数」など複数のものがあります。ここでは深くは触れませんが、経済産業省が定期的に実施している「経済産業省生産動態統計調査」から得られる情報で作られています。

鉱工業指数は、毎月こんな感じでUPされます。

注目度が高いからか、結構見やすいです

鉱工業指数の仕組みについては、経済産業省さんがスライドでまとめてくれています。相当見やすいので一度読んでおいて損はありません。

https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/pdf/iip_nyuumon.pdf

2022年の指数は、2015年の数字を100と置いて、そことの比較で算出されています。2015年は今より製造業が活況だった印象ですので、さすがに100を下回っているものが多いですね。

鉱工業指数は、「生産」「出荷」「在庫」の3項目から成り立っております。それぞれに意味がありますが、一番注目されるのは「生産」です。その名前の通り、製造業の生産活動の状況が見られるものなので、鉱工業指数の中心と言えるでしょう。

「出荷」は生産されたものが市場に出回った量を表しているので、需要の動向を確認することができます。景気の拡大期には需要が増えてたくさん出荷しますし、逆に後退期には需要が減って出荷量も減ります。

「在庫」は、出荷と合わせてみることで需給バランスが分かります。「在庫」の指数が下がるということは、出荷量より生産を抑えることで在庫が減った、ということになります。逆に、指数が上がった場合は、出荷量以上に在庫が増えたことになるので、在庫を増やす意味がある=需要が今後もあると見込む、といった読み解きができるわけですね

また、上の表を見ると、「季節調整済指数」「原指数」というのがあります。解説は色々なところに書いておりますが、超ざっくりいうと、原価変動指数は対前月の比較・原子数は対前年前月の比較、と考えておけばよいでしょう。どちらの対比も意味がありますが、速報では対前月比が要約されていることが多いです。

こんな感じで業種ごとの上昇・現象も分かるので、好調な業種が何かも読み取ることができますね。

未来予測もできるので、次の1ヶ月を占ってみよう

出荷・在庫の指数は将来の生産指数につながっていきますので、鉱工業指数は未来予測も「製造工業生産予測指数」という形で公式で発表しております。

伸びが予想される業種も書いておりますので、景気予測としてかなり参考になりますね。

鉱工業指数は発表されたらすぐに日経でもニュースになりますので、信頼性・注目度ともにとても高い経済指数です。まずはニュースやサマリからでもよいので、チェックするとよいでしょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?