見出し画像

顧客クレームへの対応マニュアル~客観的な理由に結び付けて~

「顧客クレーム」。接客商売をしていると、残念ながら避けては通れないものです。ある程度長く商売をやっていると、どんなに丁寧に接客をしていても一定の確率で出てきてしまうものです。以前書いた記事で、私は、原則クレームが起こったらスタッフ側に立つ。というお話をしました。よほどのことがない限り、クレームが起こった時は、お客様側にも原因があることも多いので(逆にスタッフに原因が全くない、ということでもあまりないのですが)、普段から事業を支えてくれているスタッフ側を守り、お店・商売に合わないお客様は早々に離れていただく、という考え方を採っています。

時には、対応しているときに「お金を払っているのに不愉快だ」などと言われてしまうこともありますが、お客様は神様ではありません。こちらができる限りのことをしている限りは、サービスと対価のトレードオフの関係ですので、行き過ぎたへりくだりは、スタッフのモチベーション低下の原因になってしまい、雰囲気の悪化や、最悪退職リスクになります。気を付けましょう。

では、クレームのお客様に来店お断りをするときに、どう伝えればいいのでしょうか?5年間店舗経営をしてきて、意識していることを、ご紹介させていただきます。

あえて自分達の落ち度を目立たせる。

これが鉄板です。基本的に、もう来ていただかないお客様ですから、相互理解をして気持ちよくお別れ、なんて理想は捨てましょう。そんな難易度の高いことにチャレンジして解決が長引いても、その後のメリットがありません。さらに、スタッフがお断りしたい理由をそのまま伝えて、お客様側の落ち度だけ指摘しても、向こうを感情的にさせてしまうリスクが高いので、どこからどう見ても相手が悪い(暴力など)場合を除けば、避けた方がいいでしょう。おすすめは、「こちらの至らなさ」という理由を作ってしまうことです。矛先を自分達に向けてしまうのです。

「当店のスタッフが至らず…」「当店のやり方にご満足いただけず」「当店の味を○○様のお好みに合わせることができず」「うちの技術にご満足いただくことができず」など、こちら側の理由を膨らませてしまうのです。相手側の原因をつくと、言い返しの余地が出てきてしまいますが、こちら側の理由は、つつきようがありません。対応していても、「うちの至らなさで」と言っている方が対応がシンプルでやりやすいです。

一般的にNGとされる理由に紐づける

この前ちょうどあったのですが、あるお客様がうちのスタッフに対して、「結婚しているんですか?」「お子さんはいらっしゃるんですか?」という質問をしてきました。まだ数回対応しただけで、深い関係性ではありませんでしたので、個人的にデリケートな内容に触れられることに、スタッフはあまり良い気分がしなかったそうです。こういう方をお断りする場合は、「セクハラ」として対応するのが一番です。

この方と私、電話で話したのですが「軽い気持ちで聞いただけ」「そんなことを気にするなんておかしい」と言っていたのですが、セクハラは同性であっても成り立ちますし、何より受け手がどう思うかが重視されます。この一般的な通念があるからこそ、「うちのスタッフが気分を害した以上、セクハラであると判断しました」と毅然と対応しました。向こうは納得できない部分があるかもしれませんが、一般企業であれば、これは今や当たり前の考え方ですから、正義は我にあり、です。

このように、自分たちの良い・悪い、ではなく法律・一般的な価値観・ニュースなどに理由を紐づけてお断りするのもおすすめです。

クレームが起こって、お断りすると決めた以上、円満解決というものはありません。どこかで割り切りポイントを作って、いち早く収束させることだけに集中しましょう。それが全体最適というものです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?