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宇宙人

『宇宙人』

UFOを見た。
正確にはUFOらしき物体。
いわゆる未確認飛行物体。
最近ではテレビでもよく取り上げられる。
どこから来たのだろうか?
中には宇宙人がいるのだろうか。
その宇宙人は、タコみたいな見た目をしているのだろうか。銀色の肌をしているのだろうか。
妄想が膨らんでいく。

テレビに映る専門家とやらは、
あれは我々の事を偵察しているのだと言う。
宇宙局のKASA(カサ)は、
我が星の情報を隠すための特殊な電磁波(バリアのようなもの)を星の周りに纏わせているとか…
それと、これは知っていると思うが、ロケットを飛ばして衛星を打ち上げ他の星の調査を行っている。
我々は進化を遂げた。
だが、一方で様々な社会問題を抱えており、
温暖化は進みいずれは全てが海へと沈むとも言われている。
俺たちが死ぬまでは大丈夫でしょ。
なんて呑気な人たちも大勢いますが、私はこの星に住めるのもそう長くはないと睨んでいます。
そこでだ。
もしこの星が住めるような状況でなくなった場合に、この宇宙のどこかに我々が住む事ができるような星はないか?
そんな可能性を探している。
それと、もう一つ。
最新の情報を。
KASAは1つ惑星を見つけたのです。我々が住む星と類似した惑星を。
しかも水面下で調査は進んでいるらしく、現に生物の存在も確認できているらしい。
そして移住計画も始動させるとのこと。
我々のその星への移住もそう遅くないのかも知れません。

なぜ、そんな情報を知っているかって?
実は、私KASAの者ですから。
KASA宇宙開発戦略部門第3支部雑用係の所属であります。
一生懸命掃除や資料のコピーなどをしております。
まあ雑用の私にはKASAの情報なんて微々たるものなんですがね。
会議室の準備中に上司の会話を盗み聞いたり、コピーを頼まれた資料を覗き見したり。
ですが、先ほど申し上げた類似した惑星の話は信じてもらって結構です。
先日、宇宙開発戦略部門と宇宙科学研究所と宇宙軍特殊部隊の3つのトップが集まり会議が行われていました。その会議資料をコピーする際に見てしまったんです。KASAが類似する星を発見し移住計画を進めて事実を。
会議の内容も気になり覗きに行こうとしましたが、上司に見つかりこっぴどく叱られました。会議室の中でどんな計画が立てられたのかは分からない。
しかし、類似した星が見つかり、移住計画が始動している事実を知れただけで十分だ。
楽しみだな。

3年後
KASAの人員総動員で計画を練り実行に移すとの発表がされた。
驚くことに私もKASAの移住計画の雑用としてではなく正式に計画に参加している。
衛星による視察もかなり進み、移住計画も実行目前。
しかし、その星の生物たちに我々のように高い知能を持っている可能性が浮上した。
と言っても、あくまで可能性の話であって計画の中止に至ることはなかった。

…でも、もしも本当に我々のように高い知能を持っていた場合、我々は移住することができるのだろうか…
我々を受け入れず敵対するのではないか。
我が星の中だけで見ても亡命してきた移民たちが、他国から受け入れられない人も多くいる。

そうなれば仕方がない…
生きる為に、侵略もやむを得ないか。
待ってろ。宇宙人。こちらの準備は着々と進んでいるぞ。
これは、
次なる星「the Earth侵略作戦」のお話。

著:橋野航

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Literature×Local『ディグる』より
『宇宙人』著:橋野航

作品展 Literature×Local『ディグる』Instagram(08hassy16)にて公開中!

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