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「猫目小僧」の記憶がまちがっていた話

私が小さい頃は、平日の夕方はアニメの再放送で溢れていた。

大人が夕食の支度で忙しかったため、テレビが子守をしていたのだ。今の子と違い、小学生は放課後にかなりの時間があった。

うちは自分が気分良く過ごせればOKな祖母が家事全般を担っていたので、アニメは見放題。友達から視聴制限がないことを非常に羨ましがられた。

夕方は様々なジャンルのアニメが放送され、ほとんどを観ていた。その中に怖いアニメの枠があり、中でも「妖怪人間ベム」や「猫目小僧」は両方とも理不尽な設定で、主人公の不幸に共感し涙を流して見ていた。

「猫目小僧」では、ずっと気になっていたエピソードがあり、見たことがある人に必ず質問するものがあった。

「猫目小僧」の母親が道端に落ちている脳みそをどうして拾うのか、というものだ。

みんなそんなのあったっけ?と覚えていないのだが、あまりに衝撃的なシーンだったので、ずっと気になっていたのだ。

私だったら脳みそが落ちていたら拾わない。警察に連絡をすると思う。バラバラ殺人に指紋を残すなんてヘマは絶対にしない。

しかし、「猫目小僧」の母親は拾うのだ。

「あら、こんなところに脳みそが」

と美しい眉をひそめて自然に拾ってしまう。画面は禍々しい色に満ち溢れているため、

「だめー!拾っちゃだめー!」

と叫びながら見る。

脳みそを拾ったからお腹の子に影響が及び猫目小僧が生まれた、とずっと思っていた。かなりうっかりな母親である。

母親が道端の脳みそを拾わなければ、猫目君は理不尽ないじめを受けずに済んだかもしれない。そう思うと母親の浅はかさが架空の設定であるアニメにも関わらず、怒りが込み上げるのを禁じえなかった。

今日もふと、「猫目小僧」の理不尽さに怒りを覚えたので、YouTubeで探してやろうという気になった。

YouTubeなら母親の愚かな行動が残っているに違いない。そう思った私はスマホで「猫目小僧 母親」で検索をした。

あったあったと見始めると、長年怒りを感じていたエピソードが

間違っていた

ことに気づいた。母親が拾ったのはただの石だったのだ!しかもセリフは

「あら、気味の悪い石」

だった。気味が悪いはずである。模様が脳みそなんだもの。

怖がりながら見ていたので間違ってしまったのだろう。まあ、石だったとしても脳みそ模様の石なんて絶対触らないけど。

脳みその石は、猫目君を殺そうとする妖怪が母親をコントロールするために、置いたものだったので触ってしまったらしい。

猫目君はすでに7歳になっていたし、母親は妊娠しておらず、血縁関係のない猫目君を「猫目ちゃん」と呼び、大切に育てる慈愛に満ちた女性だった。

石に続いて母親にまで間違った記憶を持っていた

そのことに気づいた私は楳図かずお先生に心の中で謝罪をした。

ごめんなさい楳図先生。

梅図先生の女性は美しい人が多いのだが、薄幸なタイプの目は、こんな感じである。

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大体酷い目に遭う。猫目君の義理の母親もこんな感じの目だった。

YouTubeがなかったら私はずっと「猫目小僧」の認識を誤っていたかもしれない。

YouTube様、心より感謝いたします。

再放送の度に見ていた「猫目小僧」だが、結末を覚えていない。脳みその部分だけずっと覚えて(間違っていたが)いるので、怖くて途中で脱落したのだろう。

そうそう、再放送枠で「俺たちアパッチ野球軍」というアニメがあったが、こちらのタイトルをずっと「軍」ではなく「団」だと思い込んでいた。こちらもYouTubeで気になって検索して間違いが発覚した。

「アパッチ野球軍」の内容をすっごくぶっ飛んだものと記憶していたが、YouTubeを見てみると…

やはり、ぶっ飛んだ内容だった!

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