母の見送りへの道 【気付きと感じた事⑨】(介護用品②)第32回/全35回
母の旅立ちと私の見送りの記事は終了しました。ここからは母の旅立ちと私の見送りで道のりの中で、気付いた事や感じた事を紹介していきます。前回に引き続いて今回も母が使用した介護用品について話してみたいと思います。
母が必要とした主な介護用品は介護ベッドや車いすなどの大物が多かったのは事実。ただそれらレンタルした介護用品以外にも役に立ったと思えるものは多かった。大きいものはトイレ立ち上がりサポート(手摺)から小さなものはピルケースまである。それを幅広く紹介してみたい。
入浴グリップ(浴槽手摺)
病室改造計画の前(要は母が本格的に寝たきりになる前)に購入しており、非常に効果的だったものの一つとして入浴グリップがある。
入浴は自力で出来る状態ではあったが、移動や身体を起こす作業をする度に呻き声を発するようになっており、身体を動かすのがどう見ても一苦労という状況だった。その時に浴槽の手摺があればその苦労も軽減されるのではないか?と考えて購入設置したもの。
実際にこれを設置してからは母も「楽になった」と言ってくれたし、私自身も浴槽にあるから自然と使うようになるとその便利さと身体の楽さを実感する事も出来た品。ただでさえ高齢ともなると浴槽での事故が起きやすくなるし、安心して体重を預けられるという意味で大きく効果があったと思う。
ただこの手の浴槽の手摺を散々検索しまくったが、どうしても浴槽がカーブしているタイプに合う手摺が見つからなかったのを覚えている。要は浴槽の曲線に対応できないタイプの手摺ばかりだった。
そんな中で見つけたのがパナの「ユクリア」シリーズの浴槽グリップ。このタイプなら浴槽に曲線があっても対応できる。
正直これを発見した時は「やっと見つけた」という思いだった。
ちなみに私が買ったのは脚なしのタイプでコンパクトの130バージョン。当時アマゾンで1万ちょっとの値段だったと記憶しているが、レンタル業者の介護カタログなんかを見ると余裕で2万円を超えた金額が掲載されている。
絶対にアマゾンで買った方が良いと思う…。
トイレ用手摺
これも入浴グリップ同様に母の調子が本格的に悪化する前に購入したもの。これも非常に役立った代物で、母が入院するまで設置してから毎日のように使う事になる。
何と言っても母はトイレに座る、立ち上がるの動作がしんどくなってきており、この手摺を頼る事で大分助かったと思われる品。これも入浴グリップと同じく、トイレに設置してあると私自身もこの手摺を頼っており確かに手摺があると楽だなと思えた。
後にほぼ動けない状態になり、トイレに行く時でさえ車椅子を使用するとなった時でも、車いすからトイレへの移乗の際にもこの手摺を利用できたのは大きかった。入浴グリップは1日1回の入浴時のみだが、トイレは1日何回も利用するもの。我ながらある程度前目に購入していて大成功だったなと思える品であった。
ただこの品を購入するあたっては寸法の問題でいろいろと大変だった。特に温水便座の操作盤の形状の問題で中々条件に合う手摺が見つからなかったからね。散々探し回った後に辿り着いたのがこの手摺だったという事になる。
サイドテーブル
レンタルで借りたキャスター付きサイドテーブルではなく、ベッドサイドに置くタイプのテーブルとして購入したもの。これも介護ベッドが導入される前に購入したものだったが、奇しくも介護ベッドが来てからはサイズ感といい利用のしやすさから意外と重宝したテーブルだった。
テーブル上には時計、体温計、飲み物など、引き出し内には服用する薬一式、下にはゴミ箱などを置いて対応。正直このサイズ(40×35×50)にしては高い代物だとは思ったが、木目の質感とか見た目が良かったので買ってみた。
介護ベッドが来てからは高さがドンピシャタイプになり、本当に買っててよかったと思えた品。1万円超えは正直高いなと思ったけどね。母が旅立った後も私のお気に入りとして使用中…。
ピルケース
母はO病院に通うようになってから一気に服用する薬が増えた。それまではそれぞれ種類別に病院で貰った薬袋から取り出していたので、ちょっと不便だろうなと思って購入してプレゼントしてみた。当時は母はまだ自力で動けていたし、まだ余裕があったころである。プレゼントと言える様な大した品ではないが大袈裟に喜んでみせてくれた。
まあ個別に7か所あるピルケースだが、最終的には6か所まで薬を入れる事になった。まあ朝、昼、夕とそれぞれ食後用に分けた事もあるし、実際には入りきらない薬もあったのでね。
あと何年か経ったらこのピルケースを私自身が使う時期が来るだろう。その時に多分母の事を思い出すのだろう…。
上半身介護肌着(前開き)
これは母が入院後期になってようやく買ったもの。
ちょっとこの品についてはあまりにも買うのが遅かったのを今でも悔やんでいるし、母にも申し訳ない事をしたなと思う。
正直に言えば入院時の着替えに関する事を甘く見過ぎていたかもしれない。
入院前期に何度か母の着替えを手伝った事がある。気遣いの人である我が母は、肌着などの交換をわざわざ看護師さんに頼むのは申し訳ないから…と言って、自ら着替えていた。当然それは私が手伝う事になるのが前提に。ただ元々肌着が前開きのタイプでは無いのを入院時に持って行っていたので、その際に安定剤と思われる点滴装置が邪魔で着替えに一苦労…という時があった。
その後に清拭だの入浴だのがあって、私自身が着替えを手伝う事がなくなり、私自身もその他の事を考える事が多くなって…という感じだった。しかし母の最期が近くなった時、反応の無い母をお着替えをさせてくれる看護師さんと話す機会があった際に「前開きの肌着は無いですか?」と聞かれた事があった。
この時、この問いかけが何を意味しているかを瞬時に悟った。もう本当に母の最期がすぐそこまで来ている状況だったが、急いでアマゾンで注文して前開きの肌着をして病院に持って行った。幸いな事に辛うじて間に合ったが、その時は母にも看護師さんにも長い間この件を放置してしまって悪い事をしたなという後悔の念は未だに消えない。
本当はこちらから看護師さんに謝らなければならない所だったが、気の優しいその看護師さんは「前開きの肌着を有難うございます」と逆にお礼を言われてしまった。
母が旅立つ際は私の買ったこの肌着を着用してくれていた。また最後のエンゼルケアの時にも2枚組だったもう一組の前開きの肌着を着用してもらった。母の為に買った本当に最後のプレゼントとなってしまったし、僅か数日しか役に立たなかったけどね…。僅か数日でも母の為に役に立った代物でったと思いたい。
ちなみにこの時買った肌着は間違えてMサイズを購入してしまっている。小っちゃな母の身体ではSサイズだったのだが…いずれお叱りを受ける日も来るだろうか。
【注意事項】
この記事を書いている私は医療に関しては素人なので記事の中で間違った認識、表現、名称を記述している可能性は高いです。さらに一部で感情論に走っている面もあると思いますが、なにとぞご理解と温かい目で見て頂けるとありがたいです。