二歳のある日、私は父に言いました。「わたし、こまっちゃうな~…」真に受けた父が「どうした?」と聞くと、「デートにさそわれて~♪」と歌ったそうです。…オイオイオイ、二歳の私。認めたくないが、目に浮かびます。コケた父の横で、まん丸い顔いっぱいに大口開けてケラケラ笑ってる私の姿が……。
初めてデートに誘われて戸惑い恥じらう女の子から、情熱と欲望の赴くまま恋に身を投じ、男たちを手玉に取る魔性の女へ。思えば、物凄い路線変更!昭和40年代の芸能界の生き残り戦の苛烈さを感じ取ることもできるかも知れないし、山本リンダという一人の歌手の、潔さと覚悟を見ることもできるかも。