この秋始めての鵯の声。このあたりには秋から春の間しかいない鳥だ。今年も来た。きっと庭の柿をつつくのだろう。 あいにくの雨で金木犀の香りはかき消えているが、灯台躑躅の葉も色付き始めている。秋の深まり。
なんとなく買ったコーヒー豆が、好みよりもちょっと酸味が強かった。
学習目的以外の読んだ本は、多くの本の中から私がひとつひとつ選び、読むと決めた本なのだ。
秋
本棚にはたまに、読まれたことがあるふりをした本が収まっているので。
田舎の夜は人がいない。外では誰ともすれ違わないのに、コンビニにだけ人がいる。広い海と船着き場のように。 コンビニを出て、あとは帰るだけだとマスクを外す。誰もいない夜道。冷えた空気にまじる金木犀の香り。 白々と光る少し欠けた月。コーヒーだけは去年と変わらない味がする。
静かな部屋の中で、がさり、がさり、と音がしたので何かと思ってそちらを注視していたら、花瓶に活けてあった大輪の薔薇が崩れ落ちる音だった。がさり。 (6/14 twitterでつぶやいたものを再掲)