私は註釈に本心を書くタイプなのでこういう注に出逢うと本当に嬉しくて注ばかり読み耽ってしまう。読み耽りすぎてぼんやりしてあろうことか落としてはいけないものを落としてしまいときには大惨劇になったりもするがそのくらいぼんやりできたことをも嬉しく思う。言葉は錬金術であり、召喚術、降霊術。
ハムレットはやはり悲劇中の悲劇だ。3時間半休憩15分ほぼ4時間というとんでもない時間。観ている側なのにもうへとへとで心が落ち着かなくてシェアサイクルで深夜の大通りを走って帰宅してみたけれど悲劇がべったりと身体と脳の内側に張り付いてしまった。唯一の救いは舞台上の皆様の清々しい御顔。
谷崎は日本の美学の底に「暗がり」と「翳り」を見つめました。九鬼が黒として、谷崎が沈んだ翳りとして眼差したものたちを想うとき、〈オフィーリア〉( J.E.ミレイ)を観た時の衝撃が思い出され、明暗とは本来人間に共通するもの、あたかも死と生のコントラストであるかのようにも感じられます。