雪男

詩やSFをものしてゐます。 古典、現代文、英仏、現代アメリカ問はず。 好きな作家は、C…

雪男

詩やSFをものしてゐます。 古典、現代文、英仏、現代アメリカ問はず。 好きな作家は、C.ブコウスキー、幸田文、ル・クレジヲ、 紫式部より清少納言派、吉田兼好は嫌い。 ― 長いものも、ぼちぼちに

最近の記事

颱風

なるかみの むろと羽根乙 鼓ひびかしみ 津の守りゆ、西谷が八岐はひ、ぬたのぼらば おおとり 甍ふく風なり、炭の森まで とくとく 薬師が琵琶うつ瀧っぱや くじらの油売り  

    • 陽月

      わかくさの 新城山田 塩福しら雪ふり  おうう飛び越す六つの児守 声涸れぬるを うつりたまうた白旗 祭はこの一代かぎりね 天田内に流すや 次のや くすりの四十八番や

      • 下山

        あしひきの 日向東郷やまげき 修験の あら滝や 轟轟 耳ひびかしみ背に、 法螺はらひ かっから鈴なりて 此処にこそ 苔むす香の妙見みおろせば 縄しめり黒瓦 黒瓦  

        • 一茶両吟 参ノ巻

          【表六句】    冬   ひつぢ田や 青みにうつる 薄氷 冬   枯れ野をわたる うたひ初めどり     冬の月 外堀の 割るる音あり 冬の月 雑   よいの明けじと 猫も落つらむ     夏   夕風や 社の氷柱 灯のうつる 夏   下駄に鈴なり 小さき手のひら     【裏十二句】    雑   榾の火や 糸取る窓の 影ぼうし 恋   しまひてちきれ わが恋の繭     恋   外は雪 内は煤ふる 栖かな 雑   やらかき谷の 山の神にて     雑   関所より 吹き戻

          はららご

          なつくさの 深谷芳が沢山 今はむかし 春ならば、この華さくやも、大山うでまく たれきよの嘉魚と生まれつ、紅牛子が登れば とおつかみ わが大君まします 蔵王が鎖帷子  

          はららご

          虫の家

          なつくさの 荘川野々俣や 白山しら清水わき ひるがの渡りゆく 竜が雲の御前より 黒岩のぼる猿の芝居の騒けし その赤尻けたく 鸚鵡貝うく 月に桜色くくるは、いつぞにか  

          月見舟

          たてはしの 川上居倉 くらよしと聞き 座おろします 御座山 雲わり行けば 長者が森ゆ 一つが千と 白糸ぞ引く ころげた丘の首なつかしみ 月見はどこへや

          からす山

          さしのぼる ひだ上宝荒原 白銀湯けむり 太陽はこぶトロッコ 今はむかし 黒岩の 炭俵ころげるや 鉤きずのこした蔵柱 北かへる十三士ら 牛こえても、妻は聞こえじ  

          からす山

          一茶両吟 弐ノ巻

          【表六句】 春   剃り捨てて 花見の真似や ひのき笠 春   きさらぎ散るも 好し伴す春 春   畠打ちが 焼石積める 夕べかな 雑   黄金の壺も あるや泥の手 秋の月 父ありて 母ありて花に 出ぬ月かな      (※1) 秋   柿は未だかと 秋意きこへも 【裏十二句】 夏   日盛りや ヨシキリに川の 音もなき 恋   陰を結びて 戯れ午睡 恋   伊香保根や 茂りを下る 温泉煙 雑   すべる雫に 紅唇よせて 雑   馬の屁に 目覚めてみれば 飛ぶほ

          一茶両吟 弐ノ巻

          にほ

          ふるゆきの 東しらかわ棚倉 旅にすむ 根岸に別れる袖山ゆ 東作の蟹戯る沢まで 月に夢見し 水鏡うつした銀の星はいくつ 旧山は黒炭てなほ 渡る雁が音の空を忘れじ  

          くりひらひ

          あをくもの 名をおふ赤柴や 白河と出づれば 月おちて 炭焼きて 山極に狐火ならふを 婆が手に、懸からばいずくの馬も廻すなり、よ ささ聞こへくる まなごの小さきも 子守の背  

          くりひらひ

          はっかけばばあ

          いそがいの 備前西片上 海霧うくや村上の 天神おちて唐むすび 七福まごふた瀬戸の潮風 蜂すか蓮華おひ み山に迷へば若宮の何代目 老ひ狐 まごと大狼殿をむかへぬ やうこそ

          はっかけばばあ

          ほほづき

          しらいとの 大子そと大野や しだれさく 八坂さま 枯枝だにも祭囃子ゆり暮れぬころを わすらるる 仁王が門の怒りもあを錆びて あらぬ神とて神にか そが売る嵯峨野は赤やらず  

          ほほづき

          はや仕舞ひ

          しろたへの あっけし尾幌 雪女郎が朧げ 床しく別寒辺 花咲く春は牛歩ひくごと 鵠つげ渡る 氷霧にうす陽炎ひて 日は遠のき カムイ眠りこす 黒岩の小袋が夢枕や この暫く  

          はや仕舞ひ

          草殺し

          しきたへの 知床 中しべつ東中 秋かほる 毒原 ひな殺すゆゑ オジロは柵をこえじ 標津川のぼる鮭の子 夢はたらちねの腹にしか は熊の爪 笹かかる露ぞとかき払らふ 望月玉緒さへ  

          馬肥ゆる

          しのぶやま 気仙沼本よし漆原 恋しのぶ 巣わかれ津谷こゆ 狼 狩猟の鉄砲ひびけば きず負ひて馬籠ゆらる 赤屋根が道標 要害のぼらば かみあり 牧場の讃美歌きこゆ 塔ばかり 見えて東寺は 夏木立ち いそぐ花まち 佐保姫と牛