幻想生物

時事無斎ブックレビュー(4) 中・上級ファンタジーファンのための幻想生物図鑑

時事無斎ブックレビュー(4) 中・上級ファンタジーファンのための幻想生物図鑑

 子供のころからファンタジー作品(神話伝承を含む)が大好きで、自分でも作品を書いており、なおかつ本業で生物学を専門にしているとなると、当然、さまざまな幻想生物に対する好奇心や愛着も尽きぬものがあります。  単に物語の舞台装置やキャラクターとしてだけでなく、生態や分類も興味深いところです。山姥やバーバ=ヤガーは魔女のようにヒトに分類される種なのか、それとも外見がヒトに似ているだけの人外の存在なのか。人魚や河童の呼吸は鰓呼吸か肺呼吸か。空を覆いつくす巨大な鵬(ほう)や島と見まごう

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夜を撫でる手

夜を撫でる手

早朝。 ひんやりとした心地よい気配に、目を開ける。 薄っすらと青みがかかった静謐な空気の中、ぼんやりと周囲に目をやると、部屋が樹海になっていた。 ベッドを中心として半透明の植物達が所狭しと生態系を構築し、淡い緑色に発光する粒子が海中のクラゲのように漂っている。苔むした布団から身を起こしあくびをする俺の横を、光る小魚の群れが泳いでいった。 「あたりだな」 素晴らしい目覚めだ。 昨日は大小様々な虫達が部屋中で蠢くダイナミック蟲毒の壺。 一昨日は奇々怪々な見た目の植物菌類が悠に狂い

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