フィクション日記

「いまなら死んでもいい」

無責任に幸福をばらまかんでや。

とは言えなかった。

引越しをするのだと言った時、彼は少し驚いた顔をして、それでも、と言った。

「君のおうちはどこへ行ってもきっと素敵なんだろうなあ」

こういう幸福の呪いみたいな言葉はいくつもわたしの中に折り重なっていて、だからわかりやすい恋とか愛とかときめきとか、もうそういうのすべてにピリオドを打って、それでもなお致し方なく、彼の隣にいることを選んでいる。

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