アシェンデン:Wサマセット・モームの代表作の一つ。主人公アシェンデンの作家兼情報部員としての体験手記の形で物語が進む。モーム自身が1910年代、第一次世界大戦半ばに、従軍軍医から英国諜報機関へ転属勤務となり、ロシア革命時、ペトログラードにて、情報工作活動を行っていた経験が基。
アシェンデン3:本作で主人公アシェンデンは苗字だけしか分かっていない。『新宿鮫』の主人公鮫島と同じような感じである。他の登場人物は綽名とか通り名で呼ばれ、印象深いのは「禿のメキシカン」だろう。そして、上司は英一文字でR。007=ボンドの上司はM。英国情報部の伝統なのだろうか。
アシェンデン2:第一次世界大戦を舞台に情報部員としての実際の活動を創作に反映した英国人作家達ではモームは先駆者と言える。第二次世界大戦前後から20世紀後半の冷戦ではグレアム・グリーン、イアン・フレミング、ジョン・ル・カレ、フレデリック・フォーサイスなどが有名。