なぜ、デイサービスで起業しようと腹を括ることができたのか
以前、僕がなぜ起業するのかというnoteを書いた。起業というのは、何かしらの目的のための手段であると良く言われる。
今回は世の中に数多ある事業の中でなぜ、介護保険サービスであるデイサービスを手段として選んだのかを認めていこうと思う。
自分のできることから始めてみた
なぜ起業するのかについては、以前のnoteをみてもらいたいのだが、大きく分けて3つだ。
つまり、「経営が持続可能で、働きたいと思える人たちとチームをつくり、他者(社会)貢献できる事業」である。この3つを満たせるならば、正直どのような事業だってよかったのだ。
デイサービスと決めるまでには色々と考えることはあった。まちづくり分野で、空き家をリノベーションしてカフェやゲストハウスなどをやってみようかと考えたこともあった。しかし、今の自分にとっては、あまりにもノウハウがなく実現が難しいなと感じた。
数年前までは、スタートアップや社会起業家のように、世の中に大きくインパクトを残せるような事業もぼやっとは考えたことがある。これもよくよく考えると身の丈にあった事業ではないように感じた。
どれも上記の3つの条件を満たすにはリスクが高いと判断したのだ。
結局、回りまわって、自分の大きな理想を追い求めるのではなく、まずは、自分に出来ることから出来る範囲で。そして、自分の実力よりも少しストレッチした事業がデイサービスだったのだ。
よくこのような話をするときは、「Will・Can・Must」の図を思い浮かべる。
自分が実現したいこと(やってみたいこと)がWill、自分ができることがCan、自分が置かれている環境下でやらなければならないことがMustである。
僕の場合はデイサービスをはじめ、通所系の介護サービスの経験が5年程度あるので自ずと、デイサービスでのMust(しなければならない業務)を通じてCan(できること)の円が大きくなっている。
Willが壮大で、Canが追いついていない場合は、他者の力を借りることも選択肢にはあるが、僕の場合は、できるだけ自分のCanで収まるような事業を選んだ。
三原市の人口推移から見えてきたこと
デイサービスとして、新規参入が可能なのかどうかについて、三原市について調べることにした。
三原市は人口9万人程度の自治体であり、他の自治体と例外はなく、少子高齢化の波が押し寄せている。
三原市では、高齢化率はこれからも上昇するが、高齢者の総数は既に減少傾向となっている。つまり、介護保険サービスでの顧客の総数が減っているとも言える。
ただ、今までよりも病院の病床数も減り、より在宅での関わりが重要視されるだろう。実際に三原市も病院統合により、病床数の削減が始まっている。
これからは、すぐに入院するのではなく、できるだけ在宅で介護をうまく活用しながら生活をしていく事例がますます増えてくるだろう。そして、日本は、健康寿命と寿命のどちらも延伸している。
これまでよりも、緩やかに介護の重度化が進み、かつ、介護保険サービスを使う期間も増加していくのではないかと思う。
単純に高齢者数が減少しているから、介護保険サービスのニーズが減ってくるとは言えないのではないかと思う。
ただ、高齢者数は徐々に減少していくのは事実であり、三原市の場合は2030年あたりをピークに介護需要が低下していくのではないかと推測している。
また、三原市の人口比で全国と比較すると、やや通所型介護施設(デイサービス等)が少ない状況であった。
出典:地域医療情報システム
競合エリアのデイサービスを調べてみえてきたこと
競合エリアのデイサービスを調べると、個別機能訓練加算を算定している事業所は約30%だった。加えて、理学療法士や作業療法士といったリハビリ専門職を常駐させている事業所は0だった(たぶん...)。
個別機能訓練加算の算定ができていないということは、人員に余力がなかったりノウハウが少ないことが想像される。実際に個別機能訓練加算だけでなく、他の加算も算定できていない事業所が多かった。
そして、全てのデイサービスを見たわけではないのであくまで推測でしかないが、デイサービスでの基本的な関わり方が「1対多」であるように思う。
「〇時にお風呂に入る、○時にレクリエーションをする、○時に体操する」のようにきっちりとタイムスケジュールが決まっており、同じ時間にみんなで同じことをするような流れが多いのではないだろうか。
僕たちが作るデイサービスは、僕を含めて理学療法士が2人常駐することができる。脳卒中や肺炎や骨折などの退院直後で疾患特性を理解しながら、重点的にリハビリが必要な利用者の対応もすることができるだろう。
また、同じ時間にみんなで同じことをするようなプログラムは最初から組まないようにしようとしている。同じことをするプログラムがあると、そこにうまく適応できない利用者はとても居心地が悪くなる。
"個で過ごす"を前提にして、あらゆるプログラムを組んでいけば、既存のデイサービスで適応できなかった人の居場所となり得るのではないかと考えている。
三原市の担当課としては、デイサービスの"数は"充足しているという認識であったが、まだ差別化が図れるポイントはたくさんあると判断した。
ただ、タムリミットもあると思う。僕の中ではあと10年だと考えている。それまでに基盤を整えておく必要がある。
厚生労働省の動向として、介護の基本報酬を下げつつも、自立支援や重度化予防につながる取り組みには+αで報酬を加算するようになってきている。
介護保険事業の他に収入源がなく、余力がなく加算の算定ができない事業所はきっと人材難と合わせて経営が難しくなってくるだろう。そして、残り10年の間には経営陣の交代もあるはずだ。三原市の介護事情も変わってくるのではないかと思う。
その時に、M&Aや経営層へ参画できるように準備は進めておきたいところだ。
デイサービスは、介護保険サービスのフロントエンドになりうる
高齢になり介護が必要となると、真っ先に頭に浮かぶのがデイサービスではなかろうか。
介護保険を利用するであろう、最初の段階で接点を持つことができるのだ。デイサービスを点ではなく面で見ると、介護保険の入り口(フロントエンド)とも言えるのだ。
同法人内で、入居施設等のより介護度が高くなった時に対応が可能な事業所を持っていると、利用に繋げやすくなるだろう。
今後、どのような介護事業をするにしても、シナジー(相乗効果)が高いのがデイサービスではなかろうか。
そして、利用者だけでなく、働くスタッフにとっても入り口となり得ると考えている。夜勤もなく残業も少ない。手芸や料理など自分の趣味やスキルも生かしやすいことがデイサービスの特徴だ。
今まで介護に関わったことがない人や、子育て中のお母さん、定年したけど働く場を求めている人など、あらゆる人が関わりやすい。
一度、介護に関わってもらい「良い仕事だな」「良い職場だな」と感じてもらえれば、より関わり方を濃くしていけば良いのだ。
これはデイサービスに限った話ではないが、地域に拓けた拠点を持つということは、地域のあらゆる情報が集まる可能性が高い。地域からの信頼が高まれば「暮らり(僕たちがつくるデイサービス)に相談しに行ってみようか」と一次情報のフロントエンドにもなり得る。
このように、「利用者・スタッフ・情報」が集まる仕掛けを作りやすいのがデイサービスだと思っている。
一言で上手に、デイサービスで起業する理由を答えることはできないが、様々な視点があることは理解いただけたのではないかと思う。
もし暮らりがうまくいったら、上記のような資源(「利用者・スタッフ・情報」)をうまく活用しながら今後の事業展開を考えていくのが楽しくなりそうだ。
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【暮らりでは一緒に働くスタッフを募集しています】
下記の写真にある三原市の古民家を改修して、介護保険により失われた、「暮らしとケアの分断」を、介護保険サービスを使いながら取り戻していく事業です。
デイサービスだけではなく、2階では子育て中のお母さんや学生に向けたコミュニテスペースの運営も行う予定です。
このデイサービスで働いてみたい(関わってみたい)という方々と談話する機会を設けています。
正社員(常勤)、非常勤ともに募集をしています。
経験・資格は不問です。
しかし、看護師、介護福祉士、社会福祉士/精神保健福祉士を持たれている方は優遇させてもらう予定です。
・今よりもケアの質を求めたい
・まちづくりも含めてチャレンジしたい
・立ち上げの経験をしたい
・子育てと仕事を両立させ暮らしを充実させたい
上記のような方と一緒にデイサービスを作っていきたいと思っています。
コメントでも構いませんので、気軽に声をかけてもらえると嬉しいです。
現在、リノベーション中の暮らりの営みはInstagramから発信をしています。
もし良ければ、フォローよろしくお願いします。
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