フレックスタイム制と半休制度の相性は良いのか悪いのか普通なのか
労務のAdvent Calendar 2022、本日は8日目です。
今回はフレックスタイム制の働き方について。
フレックスタイム制が増えたと言っても採用している企業割合は8.2%
ITやネット業界ではリモート勤務の普及により、フレックスタイム制へ移行する声を聞きます。しかし、どのくらいの企業が導入しているか?というと、全体で8.2%なんです。人数が多い大企業の方が導入しやすいということもあり、1,000人以上と30~99人の企業規模の導入では倍近い開きがあります。
フレックスタイム制は変形労働時間制のうちのひとつで、始業と就業の時刻を自分で決められる、1日の労働時間も変更可能(コアタイムがある場合は別)な働き方が特徴です。
フレックスタイム制を詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
厚生労働省:フレックスタイム制 のわかりやすい解説 & 導入の手引き(PDF)
今までの固定労働時間制+働き方の自由度=???
例えば月~金・9時~18時で働いている場合、働き方の自由度を増やす方法として始業終業の時刻を変更することを検討します。
その場合、固定労働時間制を維持したままの場合は、時差出勤制度や時間単位有休(有給休暇)を利用することになります。ただ、時差出勤は毎日自由に利用できるものではないだろうし、時間単位有休は労使協定&年5日以内という縛りがあります。
ならば変形労働時間制を採用しよう
そうなると日常的に始業終業の時刻を変更できる変形労働時間制の採用を検討します。しかし、1か月単位1年単位の変形労働時間制だと最終的に毎月シフト表によって始業終業時刻が決まります。他の選択肢は……フレックスタイム制ですね。
フレックスタイム制なら始業終業の時刻を自分で決められる
hogehoge社のフレックスタイム制
清算期間:1ヶ月(1日~末日)
清算期間における総労働時間:1日の所定労働時間xその月の所定労働日
標準となる1日の所定労働時間:8時間
コアタイム:10:00~14:00(コアタイムにいないときは欠勤控除)
フレキシブルタイム:5:00~22:00
X月の営業日は20日、所定8時間x20日=160時間、X月の総労働時間は160時間になります。
hogehoge社では朝は10時までに勤務を開始します。また、14時以降22時までであれば任意の時刻に終業することができます。そして1ヶ月(清算期間)を通して所定の労働時間=この場合は160時間を満たせばOKです。
「明日は推しのライブがあるから15時で帰ります!」
「朝通院立ち寄りしてから出社します」
「月初は忙しいからがっつり働いて、月末はのんびり働きます」
というような働き方を選ぶことができます。
有給休暇(年休)と半休
年次有給休暇(年休)は入社後半年から10…..20日と年次ごとに付与されます。年休は日単位で利用することを原則としていますが、近年の法改正により、時間単位でも年休を取得することができるようになりました。
あれ?半休は?と思いますよね?
半休は労使協定関係なく設定することができます。
じゃあ半休制度を作ろう!
hogehoge社ではコアタイムの時間帯に用事をこなしたいが、それ以外は勤務ができる・したいという従業員が多いため、中抜けという形で半休を使えるようにしました。半休の設定時間は所定8時間の半分の4時間とします。
あれ?コアタイム(10:00~14:00)に半休ってどうなるの??
お気づきでしょうか?固定労働時間制での半休の設定は多くは午前半休・午後半休の設定でした。さて、フレックスタイム制の場合はどうなるでしょうか?さらにコアタイムに使える半休です。
どういう運用をしようかと考えるといくつか考えることができます。
・従来の午前・午後半休としてコアタイムを分割する
・コアタイムの4時間を休みにしてコアタイム半休と命名する
・取得時間にかかわらず勤務時間+半休時間で計上する
これらは利用している勤怠システムの設定にも関係します
・半休は午前、午後のパターンのみ
・みなし労働時間を4時間計上する(時間指定不要)
コアタイムがないフルフレックスならそんな心配する必要もないのですが、半休4時間をどうやって取得させるのが良い?と考えなければなりません。
コアタイムを分断する半休って使いやすい?
今までおなじみだった午前半休と午後半休をそのまま利用することも可能です。その場合、残されたコアタイムの勤務は必須となりコアタイムの時間帯すべてに用事があるときは全休を取らないといけません。「昼以外は仕事できるのにどうして……」ってなっちゃいます。
じゃあ、コアタイム半休にするとどうなる?
10:00-14:00の間は有給休暇になるので、朝か夜(もしくは両方)に勤務することになります。あれ?これ時間単位有休にするでもいいんじゃね?でも使える回数が少なくなっちゃうか。
フレックス時間を満たすための半休?
じゃあ、最後はみなし労働時間4時間を計上する形にしてみましょう。
ある勤怠システムではみなし労働時間4時間の設定をすると、必要なのは出退勤の打刻だけで、自動的に4時間がプラスされた労働時間になります。
あれ?これ一番使い勝手がよい?
でもこの使い方、もう1個の使い方として、
半休取得だけして実際は勤務しないという使い方も勤怠システムの設定によってはできてしまう可能性があります。
そうならば全休を取得してほしいところですが、コアタイムの4時間分を満たしているからOKという論理もわからなくはないですが、そうすると所定が足りない月で最後の週だけ毎日半休取得して労働時間を満たそうとする勤怠ハックができちゃいます。
半休をどう扱うするかは会社次第・勤怠システム次第
半休の利用方法を決めるのは会社なので、これでやる!と言えばその通りの運用となります。また、利用している勤怠システムで設定することができないから、設定できる形にルールを変更するということもあります。
極論だと、いっそのことコアタイムなくせば半休という概念もなくなるし、勤怠ハックもできなくなるし……と、ああ言えばこう言う感じで課題は次から次へと出てきます。
半休制度を導入するときはどういう使い方をするかある程度決めてから検討したほうが良いですね。特に勤怠システムの設定が煩雑になると失敗の元なので、就業規則を作ってから導入しても遅くはないと思います。
そして今年も社労士試験は受けましたが先は長い。
来年こそ合格に向けて頑張ろう……
よい週末をお過ごしください。
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