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『くせ』の感想と今後について

どうも。長谷川優貴(@hase0616)です。クレオパトラというお笑いコンビでネタをしたり、エンニュイという劇団を主宰して脚本演出をしたりしています。

『くせ』の公演の感想と今後のことについて


僕の主宰する演劇組合「エンニュイ」では、「癖」というテーマにフォーカスを当て、これから1年を通して創作活動を展開していきます。人々が抱える生きづらさや葛藤、または人間関係の複雑さや多様性を描き出し、人々の心に響く作品を創り上げていくことを目指しています。

癖とは、人が無意識のうちに、あるいは特に強く意識することなく行う習慣的な行動のことである。手足や体の動かし方、話し方などで同様な状況のもとで常に自動的に繰り返される傾向。広い意味では習慣の一種とみられるが、極端な場合には通常よりも不必要に偏向した反応として現れる。 自分は気づいていないという場合が多い。

Wikipedia

癖というものは、良いものも悪いものも、先天性なものも後天性なものも、あります。様々な癖によって、相手を良い人に思えたり、嫌な人だと思ってしまったり。これまで、僕が描いてきた作品の根底的なテーマだと感じました。

先日、学下コーヒーで上演された「くせ」は、その第一歩として制作された作品でした。今回は、たまたまの縁で、9歳の女の子「すー子」さんが出演してくれました。彼女の存在は、この作品にさらなる輝きを与えてくれたと思います。

スケジュールの関係で、たった2回の稽古でしたが、すー子さんと一緒にくせをテーマにした絵を描いたり、お話をしたり、ゲームをしたりしながら、作品を作っていきました。彼女の真っすぐな発言や思考には、年齢を感じさせませんでした。いわきで高校生と創作した時も、ワークショップの時も、いつも思うけど、歳とか職業とか関係なく創作する時はみんな平等で、みんな凄い。

彼女がいたからこそ、より深く作品に入り込むことができ、新しい発見があったように思います。

これからも、今回のようにその場その場の出会いを大切にし、より多くの人々との交流をし、創作を通じて、新たな出会いや発見を生み出していけるように努力してまいります。

すー子さんをはじめ、学下コーヒーの星野さん、奥さん、当日ご来場いただいた全ての方々に、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。


これからの1年間、癖をテーマにした作品を制作するだけでなく、多様なアイデアや発想を取り入れ、新たな可能性に挑戦していく予定です。また、その過程で、僕も含めたメンバー全員自身が癖や性格に向き合い、成長を遂げることができたら素敵だな。

自身の癖や習性に向き合い、新たな自己発見や成長を遂げることができるような活動を行っていきたいと考えています。エンニュイの活動を通じて、より多くの方々が新たな発見や感動を得ることができるよう、これからも精力的に活動を展開していきます。

エンニュイは、作品制作のみならず、様々な企画を通じての人々との交流を大切にしています。毎週土曜のBARや、ワークショップなど、さまざまな形で観客の皆様とのコミュニケーションを深める取り組みを行っていきます。例えば、劇場でのトークイベントや、演劇JAMセッション、対バン企画、オンライン上での交流会など。

また、作品に限らず、メンバーがおすすめする本や映画の紹介など、「癖」というテーマに関連した様々なコンテンツを発信するのも面白そう。

僕一人の脳みそではなく、更には劇団内だけのアイデアにもとどまらずに、多様なアイデアや発想を取り入れ、創作活動を展開していくことで、作品の質を高めていけたらいいなと思います。

学下コーヒーという場所

エンニュイでは、酒蔵や、カフェ、ギャラリーなど様々な場所で公演をします。今回の「学下コーヒー」は、zzzpeakerがいつもライブをしているということで紹介してもらいました。前回の「ひかりのうま」といい、ミュージシャンだからこそ知っている会場を提供してもらっています。

その場所の力を大切に、台本からではなく、場所から、人から、演劇を作っています。

親密さと演劇の創造性を組み合わせ、パフォーマーと観客の両方にとって没入感のあるパフォーマンス空間を作り出します。

漫才師のように、身体さえあれば、いつ何時でも、どこでも公演ができるような団体になりたいんです。

場所とフォーマットさえあれば、俳優でなくとも、歳や職業関係なく、誰でも一緒に気軽に上演することができます。高価なセットや複雑な照明など、従来の壁を取り払うことで、より自由な表現を模索しています。

従来の劇場のような沢山の集客や高い制作費に悩まされることなくパフォーマンスができます。

学下コーヒーさんは、マスターも面白くて素敵でした。場所は、そこに居る人や、そこでの蓄積された思い出により作られています。

すー子さんの4歳くらいのころの写真がレジのところにあって、学下コーヒーの店内で撮られた写真でした。場所の力を感じました。場所の力、人の内から出る力に、台本は勝てないと僕は思っています。

小学生でも大人と演劇を作れる

小学生は、複雑なプロジェクトに参加するにはまだ若すぎると思われがちです。しかし、自由な道筋を作れば、小学生でも演劇創作を通じて刺激的で有意義な経験をすることができます。

僕の中では、小学生であろうと、高校生であろうと、同じ人間です。僕ら大人が教えられることもあるし、教えることができることもある。お互い、完ぺきな人間ではないという点では、大人も子供も一緒です。だから、大人と同じ目線で話し合いながら作ります。時には、僕らの目線を下げたりしながら。

台本があるところから作ると技術的なことも必要になるので難しいかもしれません。だから人から作るのです。台本をやってもらうと無理をさせることもあります。台本に合わせるということはそういうことです。しかし、人から作れば、無理はありません。できないことはしないというのが僕のモットーです(笑)

みんなのアイデアで、ひとつの作品が出来上がった後、観客の前で演じるのは最高の刺激なはずです。そして、関係者だけでなく、応援に駆けつけてくれた家族にとっても嬉しいものです。

打ち上げで、ファイブミニをビールのように爽快に飲むすー子さんを見て、やってよかったなと思ったし、今後小学生とワークショップをしながら公演を作るのも面白そうだなと思いました。

重要なのは、大人と子供とかではなく、一人の個性的な人間として、お互いの面白いところを認め合い、引き出し合うことが一番大切だし、その関係が刺激的で一番楽しいはずです。


誰でも演劇をやっていい

演劇は、若い人たちが創造的な活動に参加するための効果的な方法です。演劇をするということは、芸術を体験すると同時に、チームワーク、コミュニケーション、創造性、問題解決などの重要なライフスキルを経験できる素晴らしい方法だと思います。

カフェなどの場所を使って気軽に公演していったら面白いのに。それは、僕らのようなガチな劇団が主宰でなくて良くて、家族で自宅のガレージで公演してもいいし、町内会で公園でやってもいい。台本も演出も誰でもできます。演劇の文脈のある枠組みの中のルールというかセオリーみたいなものはこの場合無視でいいのです。みんなで思ったままのことを表現し合えばそれは演劇だし芸術です。

従来の劇場でやらないことにより親密な環境で上演できるため、若い参加者が気後れすることなく参加しやすくなります。自分たちのオリジナル作品を創るというチャレンジは、普段生の演劇に触れる機会のない人たちにとって、魅力的でやりがいのあるものです。

演劇の可能性と良いところを伝えたい

演劇界は、さまざまなネガティブな発信が目立ちます。そして、一見さんが入ってきにくい雰囲気があります。僕は、もっと気軽に劇場に来てもらえるように、気軽に演劇をやってもらえるようにしたいと考えています。

かと言って、なにをしたらいいのかはまだわからないし、演劇界という大きな括りのために動く余裕もない。だから、とりあえず、僕が考えていることを発信していこうと思い、今回のような内容にしました。普段の僕からの視点でしかないエンニュイの感想や告知だけではなく、僕の体験や考えがどう世間と交われて、その体験がどのように魅力的かを伝えられれば、それは演劇のポジティブキャンペーンに繋がり、演劇未経験の方々に少しでも興味を持ってもらえるのではないか。

過去に書いたHSPの記事を読んで、僕の作るモノに興味を持ってくれて、公演を観に来てくれる方、そしてワークショップに参加してくれる方もたくさんいました。noteで考えや気持ちを発信することは大切なのだと知りました。

なので、これからは僕みたいなものが大それたことを言っていいのかとか、そんなふうに臆さず発信していきます。

少しでも、誰かに届き、演劇に興味を持ってもらえたら幸いです。それは、演劇でなくとも創作したり想像したりするという楽しい時間と出会っていただけたらいいな。

3月の『きく』について

最後に、3月の公演についてです。1年をかけて「くせ」を創作すると言ってしまっているので、3月の公演はなに? と疑問に思っているかもしれないのでお伝えしておきます。

「きく」は元々、2019年5月に三鷹SCOOLで公演した演目です。去年は、それを再構築し、かながわ短編演劇アワードに参加。しかし、陽性者が出てしまい出場できず。

で、今年リベンジしようと思っていたのですが、まさかの応募締め切りのど忘れで応募さえできずに終わりました(笑)なにしてんねん!

でも、僕はきりかえがはやいので、だったら出場するはずだった期間のあたりで普通に会場を借りて公演してしまおうということに至ったわけです。

この作品は大切な作品です。そして今回、最高のメンバーがそろってくれました。台本も叩き直しています。初演とも、去年のコンクール用のやつとも違う新しい「きく」が出来上がります。

今エンニュイは良い流れの中にいると思います。この公演に全力をかけて挑みます。たくさんの方に観ていただきたいです。

どのように作っていくのか、「きく」とはなんなのかなど、公演まで毎日のように創作日誌的なものを書こうと思います。気になったら是非観に来てください。


と、長くなりましたが、エンニュイと僕の創作に興味をもっていただけたら嬉しいです。


【VLOG】

八戸での滞在制作記をYouTubeにアップしました。


【告知1】エンニュイperformance
『きく』


2023年3月24日ー26日
三鷹SCOOL
〒181-0013
東京都三鷹市下連雀 3-33-6
三京ユニオンビル 5F
三鷹駅南口・中央通り直進3分、右手にある茶色いビル5階

【脚本・演出】
長谷川優貴

【出演】
市川フー、zzzpeaker、高畑陸、二田絢乃
以上エンニュイ

浦田かもめ、オツハタ、小林駿
(50音順)

【タイムテーブル】
2023年
3月24日(金) 19:00
3月25日(土) 13:00/18:00
3月26日(日) 13:00/17:00
※受付開始・開場は開演の30分前
※上演時間約80分(予定)

【スタッフ】
ドラマトゥルク:青木省二(エンニュイ)
制作・演出助手:土肥遼馬(エンニュイ/東京軟弱野菜)・四木ひかり
映像:高畑陸
主催・制作:エンニュイ

【チケット】
<券種・料金>
劇場観劇チケット(当日精算・日時指定・全席自由)(予約・当日 別価格)
・一般 前売り¥3300 当日 ¥3500
・U-25(要年齢確認証提示) ¥2800
・エンニュイはじめて割 ¥3000
※「エンニュイはじめて割」エンニュイの公演を初めてご覧になるお客様は前売り価格より300円引きでご覧いただけます。
※「エンニュイはじめて割」は当日券でのご利用はできません。

予約ページ
https://torioki.confetti-web.com/form/1947


【エンニュイとは?】
長谷川優貴(クレオパトラ)主宰の演劇組合/演劇をする為に集まれる場所 。

名付け親は又吉直樹(ピース) 「『アンニュイ』と『エンジョイ』を足した造語であり、 物憂げな状態も含めて楽しむようなニュアンス」

2022年11月に新メンバーを加えて、組合として再スタート


「文字通り、誰かの話を「きく」ことを主題とする作品です。他者が話していること、そのイメージを聞き手が完璧に共有することはできない
人間は、自己が体験したことから想像することしかできない。誰かの話を聞いている最中、私たちの思考は徐々にズレていく。言葉から連想して脱線したり、集中力が切れて別のことを考えたりするそんな、「きく」感覚をそのまま体験するような上演にしました。
僕は母親が未婚の母で母子家庭でした。親戚もいなくて唯一の家族だった母が数年前に他界しました。その時に作った作品です。亡くなったばかりの時に心配してくれた方々と話をした時にズレを感じて、話を聴く時は経験などによって想像や処理のされ方が違うのだと体感しました。別々である人間に共感を期待してはいけない。共感よりも大切なものがあるということと、他人への想像力の大切さを伝えたいです」

あらすじ

「母親が癌になった」
一人の男の語りから話は始まる。

最近、言葉が溢れていて聞き取れない感覚に陥る。
「きく」ことによってその話を「背負う」。
聞いた話の足りない情報を想像で埋める。
「きく」ことの大部分は想像。
そんな「きく」ことを体験できる公演。


【告知2】オンラインSHOP「色彩マーケット」にて、クレオパトラ20周年単独公演の配信動画+動画ダウンロードを販売中!



オンラインSHOP「色彩マーケット」にて、クレオパトラ20周年単独公演の配信動画+動画ダウンロードを販売開始しました。無期限視聴です。

台本のデータ販売も開始しました。




クレオパトラInstagram
https://www.instagram.com/clepatworks/
長谷川Instagram
https://www.instagram.com/hase_0616/
■クレオパトラオフィシャルサイト

クレオパトラ第12回単独公演(リモート)「密接なき接触」

クレオパトラconte LIVE#2『無駄な期待』

クレオパトラ第11回単独公演『散文的な景色、詩的な歩行』

クレオパトラ二人芝居『私ト彼』

エンニュイYouTube


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