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「論点思考」が難しすぎて途方にくれる凡人が仕事の質をあげるための現実解としてやっている儀式( #読書メモ 論点思考)

問題を解く前に「解くべき問題は何か?」を考えることが重要。これが本書の主張。

まあ、ほとんどの場合、半ば無意識的に問題を「解き」にいってしまっている。

後で振り返って考えれば、なんでこの問題を解きにいったのか、、、なぜ、立ち止まって「解くべき問題は何か?」を考え切れなかったのか、、と後悔することばかり。

そのたびに、本書を思い出して、手にとって、目を通して、悶えるという儀式を繰り返している人生。そんな私はこの本をどうやって使っているのか、という話をしたいです。

後輩にガチでおすすめする本は何か、と聞かれたら、この本かも。

ちなみに、この本、ガチでおすすめです。

前職の上司が自腹で何十冊も買って部下に配ってた。(私ももらったけど、すでに持ってて二冊目。キンドルでも買った。)

ただ、自分にとっては「言うは易し行うは難し」の典型の本なので、お前はこの本の考え方が身についているのか、と言われると言葉につまる。努力を積み重ねるとできるようになるか、というよりは、センスの問題な気がするので、なんというか、もう10年近く、憧れているだけの状態で、「読んだ方がいいよ、良い本だよ、自分は身につけられていないけど」みたいな勧め方になる。

「イシューからはじめよ」もおすすめ

類書として「イシューからはじめよ」もあって、こちらも全く同じ。憧れるばかりで、自分としては身になっていないが、名著であることは間違いない。

ただ、個人的な好みで言うと、「論点思考」のほうが推し。

理由はこんな感じ。

・解くべき問題は何か?という内容にフォーカスしていて丁寧

・引用される例えがまだ身近で手触りがある(イシューは天動説とかややぶっ飛ぶ。高尚すぎる。)

単純に好みの問題なので、両方とも何度も読むべき名著であることは間違いない。

この2冊に「仮説思考」をあわせた3冊は、読んでない人とはあんまりガッツリ一緒に仕事したくないなー、と言いたいくらいには、意識の高さこじらせていて、今の自分の血肉になっていると思いこみたい憧れの本となっている。

ちなみに、最近「右脳思考」も出たけど、こっちはもっとわからなくて、私の頭では、憧れるところまで至らなかった。いずれ到達できるのか。

とにかく「論点思考」はすげー難しい

本書を読むと「論点思考」大事だな、ってことが、とってもよく分かって、読んだ後は高揚感に包まれるわけです。が、実際に現場の仕事に当てはめて考えようとすると、これがまた、すんごい難しい。

概念としては、正しい!素晴らしい!と思うけど、私にとっては難易度が高すぎて、全く再現性がない。

凡人にとっての現実解は「小脇に抱えて」カフェにこもること

凡人の自分がやってる現実的な解決策は、新たなプロジェクトにアサインされた時や、継続的なプロジェクトにおいて論点設定から間違えている気がする、と思った時に、3時間確保して、本書を小脇に抱えてカフェにこもって、本書読んでとっかかりにしながら、自分なりの解くべき問題はこれかも、みたいな仮説をノートに書いたりして、考えを深めたりすること。

これを何度やったことか。

特に、この箇所を読んで、

ベテランは「本当の論点はなにか」を考える。初心者はインプットと構造化を繰り返す。ここがベテランと初心者の大きな違いだろう。

インプットを構造化を繰り返していることに気づいて、脱力するのが毎回ルーチンになっている。

「ジュリアーニ市長の話」に毎回感動する

これもルーチンなんですが、ジュリアーニ市長の論点思考の話は、読むたびにすごい刺激を受ける。今の仕事に当てはめると、自分は何に手をつけるべきなのか、解くべき問題は何なのか、と考えざるを得なくなる。

ちょっと長くなるけども、引用するので読んでみて。

ルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長は、在任期間中(一九九四~二〇〇一年)、ニューヨーク市の凶悪犯罪撲滅に成果をあげた。殺人事件が三分の二に減ったのをはじめとして全体の犯罪件数は五七%、発砲事件は七五%減少した。犯罪件数を全国水準より低く抑えることに成功し、ニューヨーク市は全米で最も安全な大都市となったといわれ、ニューヨーク市を浄化した市長として名声を博した。ギネスブックにも「最も多く犯罪率を削減させた市長」としてノミネートされている。

<中略>

ジュリアーニが市長に就任した当時は、ニューヨークをよくすることなど誰にもできないと思われていた。多くの点で、市政には抜本的な改革が必要だった。問題は山積されていた。だがいっぺんに着手することはできない。どの問題に手をつけるかが腕の見せ所だった。  
選挙活動中からニューヨークを安全な街にすることを公約に掲げていた彼は、就任後、すぐさま犯罪対策に着手した。だが、犯罪が減るまでには時間がかかる。また、犯罪の数を減らすだけではなく、市民にも治安の改善が図られていることを実感させる必要があった。
彼がまず着手したのは「路上での 強請 の問題」だった。路上での強請をいかに減らすかが論点だった。強請というのは、赤信号や渋滞で止まった車に近づき、勝手に窓ふきをした後、運転手にさまざまな脅しをかけて金銭を支払わせるというものだった。
彼がこの問題に最初に取り組んだのは、「橋やトンネルの近くでとりわけ悪質な強請が行なわれていたからだ。ニューヨークを訪れる人が最初と最後に通過する場所で犯罪が横行するのでは、安心して往き来できるわけがない」という理由だった。
強請は、運転手に暴力をふるう現場、金銭を強要する現場を取り押さえないかぎり逮捕できないので、最初は排除不可能と思われた。  
しかし、検察官としての経験から、彼は「交通規則を無視した道路の横断を取り締まる」ことを思いついた。金銭を強要したかは関係なく、車道に出ただけで、規則に違反したことになる。そこで交通違反切符を切り、その段階で相手の素性や逮捕状が出ているかどうかの有無が調べられる。その結果、一カ月もしないうちに強請は激減した。

<中略>

ジュリアーニは「いきなり凶悪犯罪を減らすことはできないし、それより小さな犯罪を徹底的に取り締まったほうが簡単だし、結果として街が安全になる」ということに気づき、それを解決すべき課題、すなわち論点として設定したのだ。

ニューヨークの凶悪犯罪撲滅、という目的に対して、「強請をいかに摘発するか」という論点設定が、鮮やかすぎて、ぐうの音も出ない。さらに強請を摘発するために道路の横断を取り締まる、という解決策も鮮やか。

部門の売上上げる、という目的に対して、「新規営業強化」みたいな鈍い論点設定をして右往左往して結果のでない自分の愚かさを思い知る。

問いの設定が間違っている実行ほど無意味なことはない

本書に書いてあるとおりで、特に付け足すこともないんですが、説くべき問題は何か?を考えることが大切ということ。

したがって、マネジメント、ミドルマネジメント、一般社員、あらゆる階層の人間にとって問題解決における最も重要なポイントは、この論点思考という最上流工程にあると断言できる。ジュリアーニ前ニューヨーク市長の例でいえば、「強請をいかに摘発するか」という論点の設定がよかったわけだ。  この部分が正しくできていれば、つまり、問いの設定が正しく行なわれていれば、成功は半ば保証されたようなものである。逆に問いの設定が間違っていれば、その後の戦略策定・実行をいくら精緻華麗に行なったとしても、もともと方向性が間違っているのだからよい結果につながるはずがない。

問題点と論点を区別する

具体的な方法論は本書を読んでいただきたいのですが、毎回私がショックを受ける箇所をもう1つだけ紹介しておきます。

論点は一見してわかる単なる問題点(現象・観察事実)ではない。このことを最初に頭に刻み込んでおくことが大事だ。

単なる現象や観察事実なのか、解くべき論点なのか、を混ぜこぜにして議論していることが大半ということ。

本書では、「少子化問題」や「会社に泥棒が入った」というケースで解説されていて、その鮮やかさに毎回唸っている。

まだ読んでいない人は、読んだほうがよいと思います。

目的と論点の入れ子構造と最終的な目的となる理念や価値観

ここからは、自分なりに考えてることの現時点の整理というか雑なメモ。

目的、達成したいゴールがあって、その目的を達成するために、論点がある。その目的自体も、何かを達成するための論点であって、目的の先には、さらに大きな目的がある。そういう入れ子構造になっている。

ジュリアーニ市長の例で言えば、ニューヨークを安全な街にするという目的の先には、ニューヨークを良い街にする、というもっと大きな目的だったり、もしくは、ジュリアーニ的には、ニューヨークの改革の実績を持って、いずれは大統領になるという目的があったのかもしれないし、ファンであるニューヨークヤンキースの試合を良い席でみる、みたいな目的があったのかもしれない(適当)

目的の目的の目的、とたどっていくと、最終的にはどこにたどり着くのか、と考えると、おそらく、より良く生きたい、とか、こういう影響を世の中に与えたい、みたいなその人なりの価値観や理念に行き着くのではないか。

だからこそ、理念や価値観が大事で、関係する相手の短期的な目的に加えて、理念や価値観を理解しておくことが、とても重要だし、自分の理念や価値観を認識しておかないと、問題を解き続けた先に想定外の場所にたどり着いちゃうのかも、と。

目的と論点、「目的の先にある目的」を突き詰めた先にある理念や価値観、何をやるにもこの3つくらいは、常に意識しておくとよさそう、そんな話でした。

毎週、note書いてます

毎週noteを書くのは、何のための手段かと言うと、頭を使って考えないとダメになるんじゃないか、という不安を解消するための手段。毎週書いて公開するって決めごとがあって、見てる人もいると思えれば、だらだら先延ばしにならないし、毎週1つ本をピックアップすることで、ネタ切れも起こさないし、本を深く読める。その上で、現時点での自分のアウトプットの実力がこんなもん、という現実を確認し続けないと、自己評価を誤って、危機感持てなくなる。持続可能なことも大事なので、あんまり体裁気にせず、思いついたことを思いついたまま書くことも大事かもと。


※今回は、3月3日(日)~3月9日(土)分



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