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無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい #読書メモ

自分の中で、最近のテーマは「仕組み化」

1年以上取り組んできた事業開発も、ようやく、どっちに進めば良さそうか?が見えてきた感覚があり。あとはどうやってスケールを加速させるか。「仕組み化」のフェーズに入りつつあるのではないかと。

そんなわけで、Kindleで「仕組み」と検索して出てきた本を読み返す日々。(先週の本も、この流れ)

今週はこちらの本からの学びや思考を書き残して置きたい。

無印良品をV字回復させた社長の本

以前紹介した「ダークサイド・スキル」にも出ていた、良品計画の松井会長の著書。

無印良品は2001年の中間決算で赤字になってから、「仕組み」づくりを通じて、V字回復したとのこと。その「仕組み」をテーマにしたのが本書。

三八億円の赤字──二〇〇一年の八月中間期、無印良品に衝撃が走りました。
そこで私が考えた解決策が、本書のテーマである「仕組み」です。  仕組みづくりとは、会社の風土、社員がつくっている社風を変える試みでもあります。セゾン色に染まった風土を、無印良品色に、新しく染め直す。それが谷底から 這い上がるための方法なのだと、固く信じていました。  もちろん、不採算店の閉鎖・縮小や海外事業のリストラなどの大手術も必要でしたが、同時に社内の業務の見直しも始め、 MUJIGRAMや業務基準書などのマニュアルを整備し、徹底的に見える化 を図りました。
結果、二〇〇二年度には増益に転じ、二〇〇五年度には売上高一四〇一億円、経常利益一五六億円と過去最高益になりました。社長として最後となる二〇〇七年度には三年連続して過去最高となる売上高一六二〇億円、経常利益一八六億円を達成したのです。

在庫をセールに出さず、社員の目の前で燃やす

衝撃的なのが、「在庫を社員の前で燃やす」という話。

二〇〇一年三月、私は新潟県の 小千谷市にある焼却処理場にいました。  目の前には段ボールが山積みになっていました。その段ボールの中にあるのは、長岡にある物流センターの衣料品の在庫です。無印良品の社員にとっては、〝わが子〟のようなものです。

それを大きなクレーンがわしづかみにし、次々に炎に投げ込んでいきます。炎で焼かれる商品を見る社員の目がうるんでいたのは、煙のせいではないでしょう。  私は煙突から上がる煙を見て、「これが無印良品が置かれている状況なのだ」と自分に言い聞かせました。これで 膿 を出し切ることができるはずだ、と─

燃やした在庫は、帳簿では38億円、売価で100億円(!)。

普通に考えれば、在庫をセールに出せば売上の足しになる、となりそうですが、社員の目の前で燃やす、鬼の所業です。

「実行力が一流の企業が勝つ」という信念

徹底して貫かれているのが「実行力」が最重要という信念。それまでセンスで勝ってきた「セゾン方式」からの脱却という大転換は、どれほどの覚悟があれば踏み込めるのか、想像もつかない。

戦略一流の企業と、実行力一流の企業。  この二つの企業が闘ったとき、勝つのは間違いなく後者です。  戦略を考えることももちろん重要ですが、実行に移せなければ意味がありません。
私が仕組みづくりを重視したのは、無印良品を実行力で一流にするためでもあります。当時のスローガンは「実行九五パーセント、計画五パーセント」「セゾンの常識は当社の非常識」でした。
実行してみて、結果が出ないのであればまた改善するという繰り返しで、組織は骨組みをしっかりと固めていけます。安易な成功法則などありませんし、痛みを伴わない改革もありません。リーダーが腹を 括れば、必ずV字回復を成し遂げられるものなのだと、私は信じています。

実行力とは「努力を成果に結びつける仕組み」を作り磨き続けること(社員の意識を変えることではない)

その「実行力」とはなにか?それが「仕組み」を大切にする働き方。

簡単に言うと、それは「努力を成果に結びつける仕組み」「経験と勘を蓄積する仕組み」「ムダを徹底的に省く仕組み」。これが、無印良品の復活の原動力になったのです。
無印 良品 には、全社員の「知恵と努力」の結晶ともいえる、二つの分厚いマニュアルがあります。  業務をスムーズに行うための「社内の仕組み」と、店舗サービスのあらゆる「標準」が書かれているもので、〝無印良品のすべて〟が詰まったものです。  本書では、このマニュアルの一部を公開しながら、「仕組みを大切にする働き方」を紹介していきます。

人の意識を変えに行くのではなく、行動を変えると意識もそれに合わせて変わる、という考え方。

そもそも、ビジネスモデルが世の中のニーズと合わなくなっているから業績が悪化しているのであり、社員の意識だけを変えようとしても根本的な解決にはなりません。  ビジネスモデルを見直して、それから仕組みをつくっていく。  その 仕組みに納得して、実行するうちに、人の意識は自動的に変わっていく ものなのです。  この順番が間違っていると、せっかくの改革もムダに終わってしまいます。本質的な部分から着手しないと、抜本的な改革は実現できないのです。

社員の前で在庫を燃やした人が何を言ってんだ!?と一瞬思うかも知れませんが、実は在庫を燃やした半年後、また在庫が溜まってしまったというエピソードも本書には書いてあって、結局「仕組み」で解決しないとダメなんだ、ということを思い知ります。

実行力のある組織は「問題の構造を探り、それを新たな仕組みに置き換える」

本書の主要論点ではないですが、個人的に学びになった箇所。

問題点を特定したら、その構造を探ります。必ずどこかにその問題を生む構造があるからです。「景気が悪くなったから」「社員のやる気が足りないから」といった漠然とした理由で問題が起きるのではありません。そこで問題を探るのをやめてしまったら思考停止しているのと同じです。   問題の構造を見つけたら、それを新たな仕組みに置き換える。そうすることで組織の体質は変わり、実行力のある組織になるのです。

問題解決は「仕組みの置き換え」という視点は一つ大きな学びでした。問題解決は「新たな仕組みの導入」で解決しようとしがち。改善を「置き換え」と捉えると見えることもありそうだと。

「個人の経験や勘に頼っていた業務を仕組み化してノウハウとして蓄積させる」ためのマニュアル

その「仕組み化」のキモがマニュアル。

この二つの〝マニュアル〟には、 経営から商品開発、売り場のディスプレイや接客まで、すべての仕事のノウハウ が書かれています。MUJIGRAMは二〇〇〇ページ分にも及び、なかには写真やイラスト、図もふんだんに盛り込まれています。  これほどの膨大なマニュアルをつくったのは、「個人の経験や勘に頼っていた業務を〝仕組み化〟し、ノウハウとして蓄積させる」ためです。

店舗責任者によってディスプレイがバラバラ。退職するとノウハウが抜けてしまうという現状を認識して100点を捨てて、全部を80点にする、という方針に大きく舵を切っていきます。

それなら、一〇〇点の店がなくてもいい。すべての店が及第点の〝八〇~九〇点の店〟になったほうが、チームとしては強いはずです。  そうするには、今まで個人のセンスや経験に頼っていたことを企業の財産にできるように、合理的な仕組みをつくることが有効でしょう。これが、MUJIGRAMをつくろうと思った瞬間でした。

ちなみに、社内ではマニュアルとは呼ばずにMUJIGURAMと呼ばれているとのこと。ネーミングも含めて人を動かす仕組みをしっかり考えている。

「マニュアル」と呼ぶと、仕事を厳密にコントロールするツールのように思われてしまいそうなので、独自の名前をつけることにしたのです。  MUJIGRAMも業務基準書も、目的は「業務を標準化する」こと

マニュアル5つのメリット

マニュアルのメリットの図解を引用しておきます。

詳しくは本書を読んでいただきたく、以下からは、私が「マニュアル・仕組み化」について、個人的に学びになったことを6つのポイントにまとめて引用していきます。

【ポイント①】マニュアルに従うのではなく、マニュアルをつくり上げるプロセスが重要

マニュアルというと、一度作って、型通りに進めるモノというのは誤解。動的に変わるもので、修正する前提だという認識がすべての起点になります。

そこまでマニュアルを重んじていたら、社員やスタッフがマニュアルに依存してしまうのではないか、と思う人もいるでしょう。  しかし、そもそもマニュアルは社員やスタッフの行動を制限するためにつくっているのではありません。むしろ、 マニュアルをつくり上げるプロセスが重要で、全社員・全スタッフで問題点を見つけて改善していく姿勢を持ってもらう のが目的なのです。  社員がマニュアルに依存してしまっているとしたら、そのマニュアルのつくり方や、使い方に問題があるのでしょう。
マニュアルをつくったら、そこで一つの仕事は終わったと考えてしまいがちですが、そうではありません。マニュアルをつくったところから、仕事はスタートします。

無印良品のマニュアルは、現場で働くスタッフたちが「こうしたほうが、いいのに」と感じたことを、積み重ねることで生まれた知恵です。  また、現場では毎日のように問題点や改善点が発見され、 マニュアルは毎月、更新されていく のです。仕事の進め方がどんどんブラッシュアップされるし、自然と、改善点がないかを探しながら働けるようにもなります。


【ポイント②】誰が読んでもできるように、徹底して具体化

言葉の定義を含めて、写真入りで解説する、という徹底ぶり。

したがって、マニュアルは 徹底して具体化 しなければなりません。 「商品を整然と並べる」と指導しても、人によって「整然と」のとらえ方はまちまちです。これを統一させるために、「整然とはどういうものか」を定義づける必要があります。  たとえばMUJIGRAMでは、〝整然〟とは、 「フェイスUP(タグのついている面を正面に向ける)、商品の向き(カップなどの持ち手の向きをそろえる)、ライン、間隔がそろっていること」  と定義づけ、この四つのポイントがどういう意味なのかを、写真入りで説明します。読んだ人は誰でも、「整然とは何か」がわかるのです。

こういう細部が風土に影響を与える、というのが著者の考え方。

「これぐらいのこと、言わなくてもわかるのでは」と思うかもしれませんが、その一方的な思い込みこそ、個人の経験や勘に頼りがちな風土をつくってしまうのです。

【ポイント③】「教えるためのテキスト」もある。

マニュアルがあると教える手間が省ける、と思いがちですが、そうではないようです。無印良品には「教えるためのテキスト」もあるとのこと。

たとえば新人スタッフに「おたたみ」(衣類を陳列する際の畳み方)を教えるときは、「① 目的・到達目標を伝える  ② 実際の商品を使って、ポイントを説明する。やって見せた後、やってもらう」という手順を踏んで教えるように、書いてあります。  このマニュアルの目的は何か。  それは、「誰が指導しても同じことを教えられるようにすること」です。

マニュアルの使い方も含めてマニュアル化する、という視点が参考になります。

【ポイント④】仕事の意味や目的を確認する

これも大事なこと。

マニュアルの各項目の最初には、何のためにその作業を行うのか──「作業の意味・目的」が書いてあります。これは、「どのように行動するか」だけでなく、「何を実現するか」という仕事の軸をぶれさせない ためです。

【ポイント⑤】マニュアルは社風や理念を体現するもの

マニュアルにこそ、社風や理念を体現させる、という視点もいままで持ってなかった。

「言葉で飾り立てようとしない。正直なモノを語るには、正直な言葉で」──  読む人に、無印良品の理念まで伝わるように解説されています。  こうした基準をつくることで〝無印良品らしさ〟が徐々に浮かび上がってきます。

マニュアルは、業務を標準化した手順書であるだけではなく、社風やそれぞれのチームの理念とも結びついています。マニュアルがこの二つの 架け橋としての役割を担っていると言ってもいいでしょう。  ですから、マニュアルは時間がかかったとしても、自分たちの手で一からつくり上げていくしかないのです。

【ポイント⑥】軌道に乗るまで5年かかっている

MUJIGRAMも軌道に乗るまでは五年ほどかかりました。  遠い道にこそ、真理があるのです。  これは私の信念の一つですが、迷ったときは大変な道を選ぶと、結果的に正しい道を歩めます。

さらっと書いてありますが、マニュアルを導入し軌道に乗るまで5年かかっています。遠い道にこそ心理があるという信念を持ったリーダーがいたからこそ。

長期視点でブレずに実行を積み重ねられる組織は強い。結局のところ、覚悟が問われる。

最近、結局は、なんでもこの結論になる気がします。

本書の後半は著者の経営哲学

本書の前半はマニュアル・仕組み化についての説明ですが、後半は著者の経営哲学について金言が連発されています。一部抜粋して紹介すると、、

業界の最前線を走り続ける企業に共通していることは、非常にシンプルです。 「挨拶 をきちんとする」「ゴミを見つけたら拾う」「仕事の締め切りを守る」  といった、小学校で教わるような、人としての「基本のき」が社員に浸透しているかどうか。これが、強い企業に見られる共通点です。  人としての基本が組織の風土・社風をつくり、これが最後の 砦 になって、組織を守っていけるのです。
そのため、無印良品では 社員自身が満足できる商品 をそろえるよう心がけています。  自分が欲しいと思う商品であれば、お客様にも胸を張って勧められるでしょう。そして、お客様に喜んでもらえると、それが自分にとっての喜びとなります。  やりがいとは、目に見える数値や金額だけで生まれるものではありません。目に見えない喜びや感動にこそ、価値があるのです。  部下のモチベーションが上がらないのなら、自分たちが満足できる商品やサービスを提供しているのか、再確認してみるべきでしょう。
未来は、リスクを取らない限り開きません。  皆さんは、リスクを取るような仕事をしているでしょうか。  そして、部下にもリスクを取るよう背中を押しているでしょうか。  チャレンジしなくなったときに、リーダーとしての資質はなくなります。  部下が簡単な方法ばかりを選び、冒険をしないのは、リーダーがそういった決断ばかりをしているからでしょう。リーダーが自ら難しい決断をし続けていれば、部下もリスクを覚悟しつつ実行できるようになるのではないでしょうか。

他にも、本質的(だけど時間はかかりそう)な、覚悟を求められる金言がたくさんあります。本書を読むと、長期視点で本質的なことを着実に実行し続ければ成果はちゃんと出る、という当たり前の事の重要性を何度も何度も言われ続ける感じです。結局は覚悟。腹が決まってるかどうか。

【論点】個人の経験や勘に頼らない風土≒脱属人化は時代遅れでは?

ここからは、関連して考えたメモを残しておきます。結論は出ていないけど、後で振り返って考える用。

今週読んで刺激を受けた記事

「属人化を活かすのか、属人化を廃するのか」本書では徹底的に後者の属人化は悪という視点だが、本記事は活かす方向が世界の主流という主張。

その場で考えたのはこんな感じ。

無印良品のように、あらゆる接点での一貫した経験がブランド価値を作り、その体験を担うのが店舗や社員という場合には、属人性を排除すべき。

体験にバラツキが出れば、期待価値が上がり、体験価値のギャップが生じる場面が増えてしまう。

一方で、GoogleやFacebookなどのテクノロジーが顧客接点を担うの場合には、属人的で優れたアウトプットを共通化できるので体験がバラつかない。

あとは、スポーツやプロフェッショナルファームのような個を生かしてスケールが限定的な場合には、最低限の約束事を決めて、あとは属人性を活かすほうが当然強い。

前職でコンサルタントの仕事をしていたときは、方法論がしっかりしていたので、キャッチアップ早くいきなり成果出せた。一方で、1~2年経過した後は方法論を無視した属人的なアウトプットになっていった。守破離みたいな。

(最後に)このnoteについて


その週に気づいたことや読んだ本などをまとめていく週報note。
毎週書く!という強制力で文章を書くリハビリを進めていくのが目的。

※今回は、2月10日(日)~2月16日(土)分

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