長谷川 剛

社会福祉士|株式会社ベルアージュとホリスケアアカデミーの代表を務めています。事業内容は…

長谷川 剛

社会福祉士|株式会社ベルアージュとホリスケアアカデミーの代表を務めています。事業内容は、放課後等デイサービス、児童発達支援、保育所等訪問支援、就労継続支援B型、生活介護事業所、介護福祉と介護美容、エステティックの資格取得スクールなどです。

最近の記事

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)の特性を活かす社会へ -繊細な心を持つ人々の就労支援と新たな働き方-

生まれつき敏感で強い感受性を持つ「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」と呼ばれる人々への理解が広がりつつあります。HSPは繊細で心の機微を感じ取りやすい特性を持ち、その特性が注目されています。当事者の就労支援や、管理職がHSPとの接し方を学ぶ動きが広がっています。 この記事は、2024年7月15日付日経新聞電子版に掲載された、「感受性強い「HSP」働きやすい職場徐々に 企業向け研修も(野呂清夏)」をもとに作成しています。 クマの手カフェ:HSPを支えるユニークな

    • サマー学童の充実と新たな補助金制度 〜夏休みの学童保育支援が広がる〜

      こども家庭庁は、2025年度にも夏休みなどの短期間だけ開設される放課後児童クラブ(学童保育)への補助金制度を創設する方針を打ち出しました。現在、学童保育の支援要件は年間250日以上の開所が必要であり、短期間開所の学童保育は対象外となっています。しかし、共働き世帯の増加を背景に、特に夏休み期間中の学童保育の需要が高まっているため、この制度が検討されています。 この記事は、2024年7月13日の日経新聞電子版「サマー学童に補助金 こども家庭庁、夏休みの受け皿拡大」、「サマー学

      • ゼブラ企業とは? -新たな社会変革の鍵-

        2024年7月24日付中国新聞デジタルの記事に、「若者引きつける『ゼブラ企業』 共感呼ぶ『みんなのために』(平井敦子)」という記事が掲載されていました。 私はゼブラ企業という言葉を聞くのは初めてだったこともあり、大変興味深かったのでご紹介したいと思います。 20~40代の熱気であふれた「ゼブラフェス」@東京・下北沢 6月下旬に東京・下北沢で開催された「ゼブラフェス」は、朝から晩まで熱気であふれたそうです。約500人の参加者が、起業家や企業の新規事業担当者、学生、投資家

        • ICT活用で学習障害(LD)を持つ子どもたちの学びが変わる

          はじめに 2024年6月26日の日経新聞電子版に「学習障害の子、ICTが支えに 端末で読み書きの負担軽く」という記事が掲載されていましたのでご紹介したいと思います。 学習障害(LD)を持つ子どもたちの教育において、ICT(情報通信技術)の活用が効果を上げています。読み書きが困難な場合でも、学習用端末を使ったタイピングや読み上げ機能を利用することで、特性に合った学び方が可能になります。これには学校側の柔軟な対応や教員研修など、行政の支援が欠かせません。 ある家庭の実例

        HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)の特性を活かす社会へ -繊細な心を持つ人々の就労支援と新たな働き方-

          小学校で広まる生成AI活用 -放課後等デイとの関わりは?-

          2024年6月5日の日経電子版に、小学校で生成AI(人工知能)を教育に活用する動きが広がってきているという記事が掲載されていました。その記事をご紹介し、私たちが運営する放課後等デイとの関わりも考えてみました。 教育の新たな一歩 2024年6月5日、宮城教育大学付属小学校では、生成AIを活用した授業が行われました。生成AI(人工知能)を教育に取り入れる動きが広がりつつあり、子どもたちがAIの適切な使い方を早期に学ぶことで、将来のトラブルを防ぐ狙いがあります。 授業の様子

          小学校で広まる生成AI活用 -放課後等デイとの関わりは?-

          育成就労制度が成立 〜労働力としての外国人材に向き合い、労働者としての人権を守る〜

          6月14日、参議院本会議で改正出入国管理法が賛成多数で可決・成立しました。この法改正により、外国人労働者の技能実習制度が廃止され、新たに育成就労制度が導入されることとなります。新制度の目的は、労働力としての外国人材に向き合い、労働者としての人権を守ることです。 改正のポイント 今後は、高齢者介護のみならず、障害福祉サービス分野でも外国人労働者が増えることが見込まれます。外国人人材も取り合いの時代が来るかもしれません。制度改正では転籍が可能なるなど外国人労働者の立場に立った

          育成就労制度が成立 〜労働力としての外国人材に向き合い、労働者としての人権を守る〜

          子供たちの未来を拓く感動体験の重要性 -ソニー元社長・平井一夫氏の取り組み-

          2024年6月8日の日本経済新聞電子版に、ソニーグループ元社長の平井一夫氏(63)の、「子供たちが感動するような体験の機会を増やす」取り組みについて記事が掲載されていましたのでご紹介します。 日本では子供の8人に1人が相対的貧困に直面しており、家庭の経済的な事情による教育環境の格差は深刻な問題となっています。平井氏は、奨学金などの教育資金を配るよりも、子供たちが感動するような体験の機会を増やすことが必要だと主張しています。 平井氏の新たな挑戦「プロジェクト希望」 巨額の

          子供たちの未来を拓く感動体験の重要性 -ソニー元社長・平井一夫氏の取り組み-

          こどもまんなか実行計画について

          子ども・子育て政策の具体策をまとめた「こどもまんなか実行計画」が2024年5月31日に決定しました。 こども基本法に基づくこども大綱(2023年12月22日閣議決定)に示された、6つの基本的な方針及び重要事項の下で進めていく、幅広いこども政策の具体的な取組を一元的に示した初めてのアクションプランです。 今後は、こども家庭審議会において施策の実施状況や指標等が検証・評価され、その結果を踏まえて毎年、骨太の方針までに改定され、関係府省庁の予算概算要求等に反映されます。 「

          こどもまんなか実行計画について

          障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化

          障害に関係なく、希望や能力に応じて誰もが職業を通じた社会参加ができる「共生社会」の実現を目指し、全ての事業主に対して法定雇用率以上の障害者雇用が義務付けられています。今回は、この法定雇用率の引上げと障害者雇用の支援策の強化について、厚生労働省の発信に基づいてご紹介します。 法定雇用率の引上げ 令和5年度から段階的に法定雇用率が引き上げられます。具体的なスケジュールは以下の通りです: 令和6年4月:2.3% ⇒ 2.5% 令和8年7月:2.5% ⇒ 2.7% また、

          障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化

          「こども誰でも通園制度」の試行スタート 〜中国地方の状況〜

          こども誰でも通園制度に広がる期待 2024年5月17日の中国新聞に、「こども誰でも通園制度」についての記事が掲載されていましたので、その内容をご紹介したいと思います。 2026年度から本格スタートするこども誰でも通園制度が、中国地方でも6月から試行されることが決定しました。広島や呉、福山など10市の約130施設での実施が予定されており、これまで保育サービスにアクセスできなかった子どもや保護者の支援が期待されています。 中国地方では呉、尾道、福山、笠岡の4市が6月から実

          「こども誰でも通園制度」の試行スタート 〜中国地方の状況〜

          経営企画チーム

          当社では、社会環境や経営環境、行政の福祉施策などの変化に適応するために、希望者が集まって「経営企画チーム」として部署を横断して取り組んでいます。 経営企画チームでは、社会課題や人・組織のマネジメント、人間力などをテーマに定期的に勉強会を開いています。 クロスSWOT分析 当社では毎年、中期経営計画を立案していますが、その根幹となるのが経営企画チームで行なっているクロスSWOT分析です。 近年、SWOT分析は意味がないといった経営学者や経営者もおられるようですが、当社

          経営企画チーム

          ひきこもり支援の現状と課題

          現状と課題ひきこもり当事者やその家族が、身近な場所で相談し、必要な支援を受けることができるよう、市町村レベルでの支援体制の構築が進められ、相談窓口の設置や居場所づくり、関係者ネットワークの構築、当事者会・家族会の開催などが行われています。 内閣府が公表した調査結果によれば、15~64歳の人々の間で、50人に1人がひきこもり状態にあるとされています。支援体制の整備が喫緊の課題とされ、孤独・孤立対策推進法や就職氷河期世代支援の新行動計画に基づき、ひきこもり支援の推進が進められ

          ひきこもり支援の現状と課題

          一人暮らしの高齢者は住居が借りにくい -住宅セーフティネット制度について-

          増える一人暮らしの高齢者国立社会保障・人口問題研究所が発表した2024年推計の「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」によれば、「単独世帯」は、2050年には2,330万世帯、そのうち65歳以上が1,084万世帯になると推計されています。 一人暮らしの高齢者が今後も増え続けるという推計ですが、一人暮らしの高齢者は賃貸住宅を借りにくいという社会課題が注目されています。孤独死や家賃滞納などの懸念から賃貸住宅への入居を所有者から拒まれたり、家賃保証業者の審査に通りにくい現状があり

          一人暮らしの高齢者は住居が借りにくい -住宅セーフティネット制度について-

          当事者と支援者の認識のズレ -不登校の要因に関する児童と保護者、教員の認識調査から-

          2024年3月25日の日経新聞電子版の記事「不登校の要因、認識にずれ 子ども・教員など調査」によると、文部科学省の委託調査の結果、不登校の児童生徒、保護者、そして教員間で不登校の原因についての認識に大きなズレが存在していることが明らかになっています。この調査は、大阪府吹田市、広島県府中市、宮崎県延岡市、山梨県で行われ、22年度に小学3年生から高校1年生までの不登校の児童生徒239人を対象に実施されました。 調査結果の詳細 調査によると、児童生徒や保護者は「いじめ被害」や

          当事者と支援者の認識のズレ -不登校の要因に関する児童と保護者、教員の認識調査から-

          日本初のフリースクール支援制度 -不登校の子どもたちに新しい学びの場を-

          2024年4月1日の日経新聞電子版に、「フリースクールに認証制度 長野県、質の向上へ全国初」という記事が掲載されていました。この記事の内容をご紹介したいと思います。 不登校問題の現状と新たな動き 長野県では、不登校の子どもたちの数が増加している問題に対処するため、2023年度から全国で初めて「信州型フリースクール認証制度」を導入しました。この制度は、特定の基準を満たす民間の学習支援施設を公式に認証し、必要な支援を行うことを目的としています。 制度の理念と具体的な支援内

          日本初のフリースクール支援制度 -不登校の子どもたちに新しい学びの場を-

          アートとケア -広がる社会的処方と課題-

          広がる社会的処方 社会的処方という言葉をお聞きになったことがありますか。内閣府の骨太方針2020では次のように説明されています。 本文に社会的処方という文言が登場しませんが、上記の文章の脚注に「いわゆる社会的処方の取組」とされています。 社会的処方は骨太方針2021以降も引き続き登場し、2023では次のように孤立・孤独対策として本文に明記されています。 社会的処方は孤立・孤独対策に留まるものではありません。最近では、医師や専門家たちが、薬の処方と同じようにアート体験

          アートとケア -広がる社会的処方と課題-