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広島で不登校児童が過去最多 〜小学生向けフリースクールと放課後等デイサービスの連携に向けて〜


広島県では、不登校児童の数が急増しており、2022年度には過去最多の2759人に達しました。これは前年度から33.8%増加した数字で、特に小学生の不登校が問題となっています。この増加に対して、広島市内では新しいフリースクールの開設や既存の施設の拡充が進められています。しかし、まだまだ小学生を対象としたフリースクールは少なく、多くの親子が孤立しがちな現状です。

この記事は、2024年7月29日の中国新聞デジタルの2つの記事「広島県の不登校児童2759人で過去最多 フリースクール開設や拡充の動きも(久保友美恵)」と「不登校児童・生徒、保護者の支援団体 広島県内に62団体 中山間地域にはほとんどなし」をもとに作成しました。

新しいフリースクールの取り組み

広島市南区段原に移転拡充された「パルク」は、その一例です。元小学校長の小田原かおりさんが運営するこのフリースクールは、子どもたちが安心して過ごせる場所を提供しています。パルクでは、子どもたちが学習を行ったり、自然観察や企業見学を通じて多様な生き方に触れたりしています。また、小田原さんは学校と保護者の間に立ち、情報共有を大切にしています。これにより、複数の児童が学校に通えるようになっています。

一方、安佐北区亀山にオープンした「オカザキッズ」は、NPO法人ブエンカミーノが運営しています。ここでは、不登校を経験した母親たちがスタッフの中心となり、子どもたちがカードゲームを通じてコミュニケーション力を育んだり、川遊びを楽しんだりしています。学習面でも元小学校教諭が指導しており、親同士の交流会も開かれています。

支援団体の現状

2019年の広島県教委の調査によれば、県内には不登校の児童生徒とその保護者を支援する民間団体が少なくとも62団体存在しています。そのうち22団体がフリースクールを運営していますが、小学生を対象とした団体はごくわずかです。また、不登校支援団体は広島市や福山市、呉市などに集中しており、中山間地域にはほとんど存在しないのが現状です。

広島市佐伯区で「不登校を考える会・広島」を運営する真田恭子さんは、不登校の子どもたちがフリースクールに通うことで安心感を得られるケースがあると指摘しています。しかし、親が焦って通い先を決めると、子どもが「行かされている」と感じることもあるため、まずは子どもの気持ちに向き合うことが重要だと訴えています。

放課後等デイサービスとの連携

広島県のみならず、不登校児童の増加は社会課題といえますが、フリースクールのような居場所が増えることで、子どもたちが安心して過ごせる環境が整いつつあります。

私たちが運営する放課後等デイサービスも子どもたちの居場所という点では同様の役割を担っています。放課後等デイサービスとフリースクールではその目的は異なりますが、あらゆる面で連携する場面があると思います。

例えば、放課後等デイサービスで行われている様々な療育プログラムは、フリースクールにも適用したり、応用することができそうです。

また、放課後等デイサービスは、夏休みなど以外は、放課後のみ子どもたちが通いますので、それまでは利用者がいない状態です。その環境を不登校の子どもたちに開放することも物理的には可能です。しかし、これには制度上の問題がありますので慎重になる必要もあります。放課後等デイサービスとフリースクールを混同させることは、働くスタッフにも負担がかかるでしょう。

小学生を対象としたフリースクールが少ないという現状で、主に小学生が通う放課後等デイサービスが果たせる役割はあるのではないでしょうか。今後も地域の社会資源と連携しながらこの課題に取り組みたいと考えています。

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