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尾上菊之助の春秋 その貳 夏 2020-

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すでにご愛顧いただいている「尾上菊之助の春秋」が、収録記事80本を超えて、重くなっていますので、新シリーズを始めることにいたしました。これまで同様、定期マガジン「長谷部浩のノート…
歌舞伎の正統な継承者であり、『風の谷のナウシカ』歌舞伎版を企画した冒険者としての尾上菊之助の現在に…
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#歌舞伎

【劇評259】海老蔵の復活。歌舞伎座で炸裂する『暫』の大きさ。

 六月歌舞伎座は三年ぶりの團菊祭。三部制を取っているために、大顔合わせは限定されるが、第…

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長谷部浩
2年前
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【劇評252】正確な描画力にすぐれる菊之助の『盛綱陣屋』

 三月の国立劇場は、『近江源氏先陣館』を菊之助が出した。  「歌舞伎名作入門」と題したシ…

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長谷部浩
2年前
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蜆売り三吉、五代目菊五郎の売り声

 二月歌舞伎座第三部「鼠小紋東君新形」について、続編を書きます。  この芝居の初演は、安…

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長谷部浩
2年前
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丑之助の蜆売り三吉は、裸足で雪の庭を歩いたか?

 二月歌舞伎座第三部「鼠小紋東君新形」。  大正十四年三月、市村座。九十七年前のことであ…

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長谷部浩
2年前
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【劇評248】芯に立つ役者の力量。菊之助の『鼠小僧次郎吉』

 鼠小僧すなわち義賊との思い込みがあるが、黙阿弥の『鼠小紋東君新形   鼠小僧次郎吉』は…

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長谷部浩
2年前
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三月国立劇場。菊之助の『盛綱陣屋』は、丑之助が鷹揚たる小四郎を見せる。

 私信ではなくても、封書を開けるのは楽しい。愛用のペーパーナイフを使って、のり付けされた…

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長谷部浩
2年前
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【劇評246】偉大なるマンネリズム。菊五郎劇団の『南総里見八犬伝』

 いつもと変わらない正月を迎える嬉しさ。国立劇場の初春公演は、菊五郎劇団総出演の『南総里見八犬伝』が出た。恒例の復活狂言は、実質的には古典の様式を生かした新作に近い。今回は、歌舞伎がもっとも大切にするべき四季を劇中に織り込み、目で楽しむ娯楽作品に仕上がっている。  『南総里見八犬伝』の原作は、百六冊に及ぶ。歌舞伎化された上演台本も数々ある。どの場を組み込み、構成していくかで、舞台の印象はまったく変わってくる。  伏姫と愛犬八房の場面は、演出によっては綺譚の魅力がある。今回は

¥300

【劇評245】菊之助、勘九郎。哀惜こもる『ぢいさんばあさん』。

 目を瞠らせるスペクタクルばかりが歌舞伎ではない。  台詞を大切にした世話物が観たいと思…

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長谷部浩
2年前
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【追悼】二代目中村吉右衛門の夢

 悔いはないといえば、悔いはない。  悔いがあるといえば、悔いがある。  死は、だれにも等…

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長谷部浩
2年前
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菊之助「読書日記」と歌舞伎の未来。

 歌舞伎役者はどんな本を読んでいるのだろう。  八代目坂東三津五郎は、教養人で、多数の著…

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長谷部浩
2年前
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丑之助の試練。『盛綱陣屋』の小四郎で芝居心を見せる。

 九月歌舞伎座第二部『盛綱陣屋』の小四郎、小三郎は、歌舞伎の子役のなかでも、ずいぶんと芝…

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長谷部浩
2年前
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【劇評239】幸四郎、錦之助、歌六の『盛綱陣屋』。極限の一刻を生きる。

 だれもが承知の諸般の事情で、開幕が遅れた第二部を観た。  ここまで感染状況がすすむと、…

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長谷部浩
2年前
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令和三年の菊之助。後半には『京鹿子娘道成寺』の白拍子花子、『摂州合邦辻』の玉手御…

 現在の歌舞伎は、変則的な興行が続いている。  三部制を取っているために、出し物の長さに…

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長谷部浩
3年前
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【劇評232】歌舞伎座第二部、七月は白鸚の『身替座禅』の内省。菊之助の『鈴ヶ森』の気迫。

一年のうち、もう半分が過ぎたのか。  終息の気配が見えないコロナウィルスの脅威のなか、懸命の興行が続く。  歌舞伎座の七月大歌舞伎、第二部は、白鸚、芝翫の『身替座禅』に、菊之助、錦之助の『御存知鈴ヶ森』が並んだ。  まずは、『身替座禅』。白鸚の山蔭右京が初役とは驚いた。年表を見ると十七代目勘三郎を相手に、初代白鸚(八代目幸四郎)は、玉の井を昭和二十六年に立て続けに勤めている。  ともあれ、白鸚の年齢を考えると、初役に挑むだけの意欲は驚異的である。  奥方玉の井を勤める芝翫も

¥200