マガジンのカバー画像

尾上菊之助の春秋 その貳 夏 2020-

32
すでにご愛顧いただいている「尾上菊之助の春秋」が、収録記事80本を超えて、重くなっていますので、新シリーズを始めることにいたしました。これまで同様、定期マガジン「長谷部浩のノート… もっと読む
歌舞伎の正統な継承者であり、『風の谷のナウシカ』歌舞伎版を企画した冒険者としての尾上菊之助の現在に… もっと詳しく
¥2,800
運営しているクリエイター

記事一覧

【劇評312】歌六、勘九郎、児太郎の『金閣寺』。力作が揃う吉右衛門三回忌追善。

 祖父と孫の共演は、なぜ、ここまで観客の胸を打つのだろうか。  秀山祭九月大歌舞伎は、二…

300
長谷部浩
7か月前
9

【劇評286】觀玄改め、八代目新之助の『毛抜』は、荒事の本質に届いていた。

 堀越勸玄は、ひとかどの役者へと進み始めた。  十二月の歌舞伎座は、八代目市川新之助襲名…

300
長谷部浩
1年前
7

【劇評259】海老蔵の復活。歌舞伎座で炸裂する『暫』の大きさ。

 六月歌舞伎座は三年ぶりの團菊祭。三部制を取っているために、大顔合わせは限定されるが、第…

300
長谷部浩
2年前
4

菊之助の『春興鏡獅子』と『京鹿子娘道成寺』配信から見えてきた舞踊の魔

 菊之助が国立劇場とともに収録した映像「尾上菊之助の歌舞伎舞踊入門」を観た。  『春興鏡…

300
長谷部浩
2年前
8

「尾上菊之助の歌舞伎舞踊入門」が、明日から配信される。

 尾上菊之助さんは、現在、歌舞伎舞踊の頂点に立つ一人ですが、国立劇場が独自に収録した『春…

長谷部浩
2年前
10

【劇評252】正確な描画力にすぐれる菊之助の『盛綱陣屋』

 三月の国立劇場は、『近江源氏先陣館』を菊之助が出した。  「歌舞伎名作入門」と題したシ…

300
長谷部浩
2年前
9

蜆売り三吉、五代目菊五郎の売り声

 二月歌舞伎座第三部「鼠小紋東君新形」について、続編を書きます。  この芝居の初演は、安政四年正月興行です。子団次の稲葉幸蔵が、河竹黙阿弥と語らって作った狂言ですが、蜆売りの三吉は、のちに五代目菊五郎となる十三代目羽左衛門。十四歳でしたが、五代目にあわせて当て書きされたとのことです。(上の写真は、五代目の稲葉幸蔵です。この役は、六代目、七代目、菊之助と受け継がれています)  その時代は、十五日の稽古があったというから、しっかりしたものができるはずです。中村仲蔵の弟子、鴻蔵

有料
300

丑之助の蜆売り三吉は、裸足で雪の庭を歩いたか?

 二月歌舞伎座第三部「鼠小紋東君新形」。  大正十四年三月、市村座。九十七年前のことであ…

300
長谷部浩
2年前
7

【劇評248】芯に立つ役者の力量。菊之助の『鼠小僧次郎吉』

 鼠小僧すなわち義賊との思い込みがあるが、黙阿弥の『鼠小紋東君新形   鼠小僧次郎吉』は…

300
長谷部浩
2年前
9

三月国立劇場。菊之助の『盛綱陣屋』は、丑之助が鷹揚たる小四郎を見せる。

 私信ではなくても、封書を開けるのは楽しい。愛用のペーパーナイフを使って、のり付けされた…

300
長谷部浩
2年前
10

【劇評246】偉大なるマンネリズム。菊五郎劇団の『南総里見八犬伝』

 いつもと変わらない正月を迎える嬉しさ。国立劇場の初春公演は、菊五郎劇団総出演の『南総里…

300
長谷部浩
2年前
7

菊之助の冒険、準備稿が完成しました。

 昨年のはじめから取材を重ねてきた『菊之助の冒険』ですが、ようやく準備稿が完成しました。…

200
長谷部浩
2年前
10

【劇評245】菊之助、勘九郎。哀惜こもる『ぢいさんばあさん』。

 目を瞠らせるスペクタクルばかりが歌舞伎ではない。  台詞を大切にした世話物が観たいと思…

300
長谷部浩
2年前
6

【追悼】二代目中村吉右衛門の夢

 悔いはないといえば、悔いはない。  悔いがあるといえば、悔いがある。  死は、だれにも等しく訪れると知ってはいても、残された人間に混乱をもたらす。  悔いがないのは、私が自覚的に歌舞伎を観始めた一九七五年から、二○二一年三月の『楼門五三桐』まで、四十五年近い歳月の舞台が、例外なくすぐれていたからである。  初代白鸚の次男として生まれ、祖父、初代吉右衛門の膝下で育てられた。その幼年時代の苦しみについては、本人が自伝で繰り返し語っている。  初代吉右衛門の一代で築いた藝を

有料
300