マガジンのカバー画像

尾上菊之助の春秋 その壱 春

83
尾上菊之助さんの話題が中心のマガジンです。筆者の長谷部浩は、『菊之助の礼儀』(新潮社)を以前、書き下ろしました。だれもが認める実力者が取り組む歌舞伎、その真髄について書いていきま…
有料記事をランダムに投稿します。過去の講演など、未公開の原稿を含んでいます。アーカイヴが充実すると…
¥6,800
運営しているクリエイター

#新橋演舞場

新春歌舞伎の天気図。明日はきっと晴れ。

新春歌舞伎の天気図。明日はきっと晴れ。

 年末なので、今年の回顧を書こうかと思ったのだが、例年とは事情が異なる。悲しい気持ちになるのは必定で、こうした人災のような事態を招いた政府への恨み節となるやもしれない。

 そこで気分を変えて、正月の歌舞伎について書いてみる。

 浅草公会堂での花形歌舞伎は、早々に中止が発表された。東京での公演は、歌舞伎座、新橋演舞場、国立劇場の三座となる。

 まず、歌舞伎座から。なんといっても注目は、第二部。

もっとみる
4月演舞場の無観客放映はありますか?

4月演舞場の無観客放映はありますか?

松竹は、3月歌舞伎座の放映を発表しています。

残念ですが、収録自体が行われていないようです。

演舞場の宣伝部からは、以下のようなメールが届いています。

拝啓 平素より格別のご高配を賜り、篤く御礼申し上げます。

この度、新型コロナウイルスの感染拡大と政府の緊急事態宣言を受け、
新橋演舞場「四月大歌舞伎」を全日程で中止することを決定いたしましたので、
ご連絡申し上げます。

(公演中止)新橋演

もっとみる
『風の谷のナウシカ』を映画館で観るべきか。

『風の谷のナウシカ』を映画館で観るべきか。

みなさんご存知だと思いますが、『風の谷のナウシカ』が、全国の映画館で、ディレイビューイングとして上演されると聞きました。

私が新橋演舞場で観た日は、菊之助さんが事故に遭われた直後でしたので、演出の変更がありました。この映像の収録日によっては、フライングなどの演出が観られる可能性もあるので、発表を心待ちにしています。私なりに、関係の方々に聞いてみようかと思っています。

シネマ歌舞伎はごらんになっ

もっとみる
【劇評156】『風の谷のナウシカ』夜の部(上)菊之助が生まれ持ったオーラ

【劇評156】『風の谷のナウシカ』夜の部(上)菊之助が生まれ持ったオーラ

  壊滅的なカタルシスへ 昼の部の案内役は、「口上(尾上右近)」。これが道化(種之助)に変わる。
 タペストリー幕を使っての世界の紹介は、昼の部同様だが、大海嘨(だいしょうかい)の文字が加わっている。壊滅的なカタルシスをあらわす。
 この道化が、大詰で大きな役割を果たすのが、今回の歌舞伎版『風の谷のナウシカ』のもっとも重要な趣向だろう。

 第一幕のプロローグは、『仮名手本忠臣蔵』の大序を意識した

もっとみる
【劇評154】『風の谷のナウシカ』 昼の部(上) 菊之助の無念。

【劇評154】『風の谷のナウシカ』 昼の部(上) 菊之助の無念。

 突然の事故が菊之助を襲った。 新橋演舞場の『風の谷のナウシカ』は六日に初日を開けた。

 すでに報道されているように、八日の昼の部の第三幕、幕切れに事故がおきた。ナウシカを演じる菊之助が、不慮の事故にあって左肘を骨折、夜の部は中止となった。
 翌、九日昼の部からは、左腕を固定したまま、演出を一部変えて舞台に復帰した。

 私自身は、十二日の昼の部、夜の部を通して観た。

 六日の初日も通して見た

もっとみる

ナウシカ休演その後2

今日、菊之助さんのインスタグラムを見ました。

二日前の更新ですが、「トリウマの中に入っている方は幸い怪我もなく元気にしておりますのでご安心ください。」とあり、お弟子さんに対する配慮を感じました。

歌舞伎の家に入門した役者さんは、仕事ではなく、修業という位置づけで、毎日を過ごされています。

怪我もなかったのはなによりだと思います。

ナウシカ休演その後

ナウシカ休演その後

 今月の招待日(お社といいます。記者や評論家が揃ってみる日)は、12日木曜日です。

 この週のうちには(15日までには)『風の谷のナウシカ』の劇評をnoteにアップロードする予定です。

 休演が決まった日に、メッセージを菊之助さんに送りました。

 復帰した月曜日の朝、以下のような返信が届きました。

 座頭としての責任にあふれた言葉だと思います。

「見た目を重視したため
リスクマネージメン

もっとみる

ナウシカ、菊之助、明日9日昼の部から出演。

 すでに公表されていますが、新橋演舞場の『風の谷のナウシカ』ですが、8日夜の部を休演してい菊之助さんが、演出を一部変えて、9日昼の部から復帰とのことでした。

ナウシカ8日夜の部休演。心配です。

 昼の部を観ていた方によると、大詰で花道を引っ込むときに転倒されたようです。
 以前、南座の顔見世で、菊五郎さんが二度、落馬された事件を思い出しました。そのとき、菊之助さんは、たいそう心配されていました。
 
 以下は歌舞伎美人の告知です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 新橋演舞場12月『風の谷のナウシカ』に出演を予定しておりました尾上菊之助が昼の部におきまして負傷したため、本日1

もっとみる