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MEO、お前は一体何者なのか?:これからのGoogleマイビジネスの話をしよう

毎週火曜日、Googleマイビジネス(Googleビジネスプロフィール)の最新情報や個人的な考え、トピックス、ニュースなどをお届けする『これからのGoogleマイビジネスの話をしよう』というマガジンの創刊号になります。

・特集やコラム
・最新トレンド記事やツイート
・エキスパートたちのヘルプコミュニティの回答

すでにGoogleマイビジネス(Googleビジネスプロフィール)を聞いたことある・使っている方や、ローカル検索やMEOに関心のあるマーケター向けです。

※11/7時点:「Googleマイビジネス」の名称変更に伴い、Googleマイビジネス(Googleビジネスプロフィール)の表記に変更している箇所があります。

『これからのGoogleマイビジネスの話をしよう』創刊の理由

約1年前にGoogleマイビジネスを知り、それから店舗アカウント運用、オウンドメディアの編集長などを務めてきました。

本来は個人店舗向けに作られたツールですが、実に面白いです。これが発展してくると、リアル店舗に新しいソリューションが生まれる予感がしています。

しかし、現在は「MEO」と言われる、短期的成果にフォーカスしたテクニックやハック的な情報が多く、「最新情報や長期的な成果につながる視点」が足りていません。

このマガジンを通じ、ハックではなく、ユーザーやお店の方に寄り添うような「これからのGoogleマイビジネスの話」を議論していけたらと思いました。

「必勝法」「検索上位にする5つの秘訣」というような話題には触れない予定です。業界のエキスパートとの会話や店舗の実際の発見などをピックアップしたり、イシューを投げかけることを目指しています。

はじめに:Googleマイビジネス(Googleビジネスプロフィール)とは?

Googleマイビジネス(Googleビジネスプロフィール)は、主にお店の方が使う、Google検索やマップで出てくる施設情報を管理するための無料サービスです。

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できることとしては「お店の営業情報や写真を登録したり、投稿したり、口コミに返信したりする」機能があります。

このお店情報ですが

①マップユーザーが増えた
②お店を探すような検索ワードだと、通常の検索結果より上に表示される

ことにより、新しい集客方法として注目されています。

(Google検索におけるローカル検索は、上位3位の施設だとローカルパックと呼ばれる枠に掲載されます)

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このような施設情報ですが「オーナー・ユーザー・Googleの三者間」で作り上げられています。Googleマイビジネス(Googleビジネスプロフィール)は、このオーナー情報を優先的に管理できます。

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(よくある誤解ですが、Googleマイビジネス(Googleビジネスプロフィール)は「Googleマップにお店を登録するだけのツール」ではありません。スポット登録はできますが、それは補助的な機能です。Googleマイビジネス(Googleビジネスプロフィール)登録の有無に関わらず、ユーザーやGoogleが収集してきた施設情報が生成されることも多くあります)

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そんな風に注目される「Googleマイビジネス(Googleビジネスプロフィール)」と良くも悪くもセットになるのが「MEO(MEO対策)」です。

これからのGoogleマイビジネスの話を始める上で、最初にこの「MEO」の持つ課題と未来について考えてみました。

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巻頭特集:MEO、お前は一体何者なのか?

MEO(MEO対策)は、正規名称「Map Engine Optimization」としています。

目的として「Googleマイビジネスを活用して、マップエンジンを最適化し、ローカルパック(ローカル検索の優先表示枠)やマップ上で上位表示する施策」という意味で多く使われています。

ただし、MEO対策には悪質な業者が多く、潜在的にネガティブな印象を持つ人が少なくありません。結果としてGoogleマイビジネスや店舗ビジネスのデジタルマーケティングの普及の妨げになっています。

私自身やGoogleマイビジネスのエキスパートも、基本的には「MEO」という言葉を使う人はいません。しかしSNSやウェブ上では「MEO」という言葉は、一人歩きを続けています。

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ローカル検索に関する誤解や捉え違いも多く発生しており、いまだ公然と行われているスパム手法(例:店名にキーワードを入れる)や、説明が不十分なハック手法(例:インスタアカウントを作ると上位に出る)が、リスクやデメリットを認識しないままで行われています。

あいまいな「MEO」の正体に迫りつつ、その上で見えてきた2つの課題と、新しいMEOの形を提案してみることにしました。

MEOの正体:3つに分かれる解釈

実は、MEOの正確な定義はありません。

日本独自の用語で、公式はもちろん海外でも触れられたことがなく、人によっても捉え方の幅があります。

そこで、ウェブメディアやSNSなどで定義を収集したところ、大きく分けて、この3つに分かれました。

A:Googleマイビジネスのオーナー登録をすること・Googleマイビジネスで集客をすること

B:ローカルSEO※と同じ
自店をマップやローカルパックで、上位表示させるための全ての最適化施策

C:ローカルSEO※の一部
主にGoogleマイビジネスを用いて、Googleマップ検索に特化した最適化施策

※ローカルSEOとは:地域に特化した検索クエリに対し、ビジネス・商品・サービスを最適化させる作業だ。Google(また、その他の検索エンジン)はIPアドレス(デスクトップ)と位置情報(モバイル)をベースとしたユーザーの位置を用い、彼らに何を表示させるべきかを判断している。
「ローカルSEOとは何か?ローカルSEOの基礎知識まとめ」より

MEOの目的やローカル検索の仕組みと矛盾する「A」は除外するとして、BとCの違いは「一部」か「全体」か。

共通するのは「Googleマイビジネスを使って、ローカル検索の上位表示を目指す」という目的のようでした。

過去、私自身は、Cの「ローカルSEOの一部」と説明していました。これはローカルSEOを専門としている企業に多く見られた考え方でした。

ローカルSEOの全体には、Googleマイビジネス以外の要素も多く、Googleマイビジネス以外の施策や専門ツール、より広義のSEOノウハウが必要とされるためです。

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MEOは“悪”なのか? 悪質業者の見分け方、正しいGoogleマイビジネス活用方法を専門家が教えます より

ちなみに、最も多かったのは「B:ローカルSEOと同じ。自店をマップやローカルパックで上位表示させるための全ての最適化施策」という定義でした。「MEOとは」で上位表示されるメディアでも、そのように言及されています。

このように解釈があいまいなMEOですが、問題が2つあると考えています。

1:理解や実体のないものを実行するリスク
2:ローカルビジネスが上位表示のみを目的とするリスク

MEOの正体:理解や実体のないものを実行するリスク

MEOの目的である「ローカル検索で上位表示させる方法」ですが、Googleが公式に説明しているのは「距離・知名度(視認性の高さ)・関連性」の3つです。

関連性とは、ユーザーの検索がローカル リスティングとどの程度一致しているかを示します。充実したビジネス情報を掲載すると、ビジネスについてのより的確な情報が提供されるため、リスティングとユーザーの検索語句との関連性を高めることができます。

知名度とは、ビジネスがどれだけ広く知られているかを示します。ビジネスによっては、オフラインでの知名度の方が高いことがありますが、検索結果にはこうした情報が加味されます。たとえば、多くの人に知られている著名な美術館、ランドマークとなるホテル、有名なブランド名を持つお店などは、ローカル検索結果で上位に表示されやすくなります。

そして、このローカル検索順位について、海外のSEO企業のMozが具体的な研究レポートを発表しました。

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「ローカル検索で上位表示させる」には、Googleマイビジネスだけでできることは一部でしかなく、また具体的な方法やノウハウもまだ手探りな状態です。

しかし「MEO」で検索すると、メリットを煽るばかりのコンテンツや、表紙は凝っているが中身はいい加減だったり、ヘルプの丸写しの薄いコンテンツを多く発見できました。

MEOとは?店舗経営には必須!対策の集客効果をわかりやすく解説

MEO対策は、実際の施策やノウハウをオープンにしないサービスが少なくありません。間違った理解の施策は「リスティングの停止」のようなトラブルなどにもつながっています。

解釈の幅は、理解の深さやノウハウの蓄積を放棄することにもなります。

法律やガイドラインに違反するサービスも多いのが現状です。

ヘルプにしたがって、暗中模索でとりあえず項目を埋めるだけでも一定の成果はあります。

しかし、たいていのお店は、地道な努力や結果検証を重ねて軌道に乗せています。「無料でできる」「必ず成果が出るノウハウがある」「成果報酬」「誰でも簡単」という思い込みが蔓延してしまっている問題があります。

そして、私自身が実際の運用をする中で、感じるようになった、もう一つの課題は、まだあまり注目されていないものでした。

MEOの正体:ローカルビジネスが上位表示のみを目的とする2つのリスク

「MEOの定義」に共通する「上位表示」ですが、私はこれ自体、大きなリスクを抱えた2つの問題があると考えています。

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1:そもそもGoogleマイビジネスで分かる数値や順位があいまい

「MEOの効果」として、表示数や通話数の伸びなどを見せるケースは少なくありませんが、実はGoogleマイビジネスの分析機能はかなりあいまいです。

また、リアル店舗は、マップユーザーの自然増や季節要因、その他の要因がかなり影響するので「MEOのおかげだ!」と単純には言えません。

Googleアナリティクスに比べると、用語や機能が単純かつブラックボックス化しており、気温や道が変わっただけでも数字が変動します。「通話が増えた」からといっても「コロナで営業しているか不安になった方からの電話」だったこともあります。

順位も「店舗とユーザーの距離」や「時間帯」などが影響します。駅前と中心地、隣の街でも結果が違います。この順位計測はシークレットモードでも正確には把握できません(後述するやり方や専用ツールでは計測可能)。

2:「マップの上位にどう出すか?」と短期成果を求めがち

また多くのMEOサービスが提供する「キーワードを指示してもらえれば、それで上位表示させます」という手法、これ自体も大きなリスクがあります。

店舗ビジネスの場合、お客さんは地元に限られることが多くなります。リピーター獲得が重要なのに「やらせ」や「過大広告」で一度悪評がつくと、命取りになります。

Googleマップのクチコミは良くも悪くも投稿されやすい仕組みになっています。そして基本的には削除はほぼされません。

小手先のMEOで順位を一時的にあげても、来店体験の満足度が低ければ、またすぐ評価は下がります。

ちなみにGoogleマップで悪い口コミが書かれる理由は「接客」そして「期待や事前に聞いていた(想像していた)ものと違った」が多いようです。(8つの業態の評点1の口コミ合計104件の分析結果)
「悪い口コミの半分は、接客が原因」より

実際、「やらせ」を疑われている新宿のカニ料理屋さんでは、そのようなレビューになってしまっています。レビュー評価も近隣店に比べると、かなり低い点数となっています。こうなると普通の集客はどんどん厳しくなります。

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もしGoogleマイビジネスやMEOを活用し地域に根ざして繁盛したいなら、繁盛のサイクルが必要だと考えています。

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口コミは「バスケのリバウンド」のようなもので、上位表示シグナルや来店動機にも大きな影響(先述のMozのレポート)を及ぼすと言われています。良い体験は、集客に良いリズムを生み出すということです。

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(『スラムダンク』第3巻より)

しかし過大広告やMEOを悪用したり勘違いして「口コミをないがしろ」にすると、このような負のスパイラルにハマってしまいます。

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「impやCVだけでなくCPAやLTVも見よう」というある種の当たり前の話でもあります。

ローカルビジネスが上位表示のみを目的とする問題を解決するためには、これからのGoogleマイビジネスとMEOは「体験の最適化」と「サイクルを生み出すこと」が大切だと考えました。

MEOの正体:新しいMEOは「Googleマイビジネスを通じたマップ"体験"の最適化」

MEOは「マップ検索エンジンの最適化」ではなく、本来「マップ"体験"の最適化」の目線で語られるべきです。

「マップでの上位表示」のためにGoogleマイビジネスを活用するのではなく「自店舗とお客さんとの最高のマッチング」のために行うべきです。

SEOも「サーチエンジン最適化」から「検索体験最適化」に移り、検索エンジンやユーザー行動をハックするのではなく、ユーザーに寄り添うという流れが生まれ始めています。

短期的に「Googleマップでどう上位表示させる」より「どう良い体験を作れるか?」を最適化する方が、長期的に上位表示&商売繁盛すると見ています。

先ほどの「Googleマイビジネスが生み出す繁盛のサイクル」をさらに分解し、カスタマーサクセスの概念とローカル検索のアルゴリズムを加えてみたのが、こちらのサイクル図です。各指標がもたらす影響も記載しました。

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「お店からの等身大の情報発信をもとにGoogleが関連性を蓄積し、それをもとにお客さんが期待通りの体験をする。そして、その体験をスムーズにGoogleにフィードバックする」、そのように良質な口コミがギアとなり、それがGoogleの評価にもユーザーの利便性にもつながるような絵です。

従来の「Googleマイビジネスを使って上位表示を目指す」というMEOの考えでは、このうちの一部にしかアプローチすることができませんでした。

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この「マップ"体験"の最適化」と「サイクル」は、まだ綺麗事で、わかりやすい実績はありません。

しかし、この良いMEOサイクルのヒントは、過去分析した、あるメイドカフェのGoogleマイビジネスから垣間見ることができました。

口コミで人気で集客にも成功しているメイドカフェの口コミには

・口コミを書くための情報量が店舗に多い
・もともとお店を好きな人しか行かないから評価が高くなる
・自社サイトやSNSで情報発信されているので、期待値とのギャップが出にくい

という傾向がありました。

上位表示で発見してもらうためだけにGoogleマイビジネスに取り組むのではなく、来店前から「体験の価値を最適化」する施策がこれからの「MEO」だと考えています。

より具体的な方法や事例は、これからの更新のなかで少しずつ発見していく予定です。

マガジン

ご意見ご感想をもらえますと嬉しいです。

今週のヘルプコミュニティ模様

公式ヘルプコミュニティから、今週気になった質問と回答を紹介するコーナーです。

(ヘルプコミュニティは、エキスパートが多く、Googleマイビジネスを活用したい人は毎朝眺めるだけで、無料で高いリテラシーが手に入るお得なサイトです)

Q.明らかに間違った口コミ星レビューを消してほしい。 証拠もある。

回答抜粋
・念のためポリシーを確認のうえ、削除リクエストしてみては。ただ、様々な情報源から客観的事実確認が取れたりリクエスト状況などに応じて削除されるものなので、なかなか削除されない場合もある
・そのクチコミに対する返信をすればいいと思う。攻撃的にならない範囲で、事実の部分は改善しますねという方向性で、事実と異なる部分については、攻撃的にならず、でも毅然とした態度でそのような事実はない旨を返信をすると良い

↓詳しくはリンク先をどうぞ

Q.何度も店名が勝手に変更されて大変困っております

回答抜粋
・お店の看板や屋号、ウェブサイトがそのような記述になっているか?なっていない場合、設定している店名がGoogleのガイドラインに違反していることになる

↓詳しくはリンク先をどうぞ

Q.近くに新しくできた店舗が常にトップ。更新もしてないし、ホームページもない。ホットペッパーに載せていると上がってくるのか?

A.回答要約
・ホットペッパーという要素のみで掲載順位が上がるという訳ではない
・ローカル検索結果については、関連性、距離、知名度の3つが関係する。新規店舗の場合は「知名度」というものが影響し、オープン告知の広告の結果、指名検索が増え、それが評価につながった可能性がある
・距離も影響するので、検索した位置で結果は変動するため「どの状態でも上位」かと問われたら、なんともいえない

↓詳しくはリンク先をどうぞ

今週の気になるツイート

最近のGoogleマイビジネスに関連するアップデート情報やツイートをまとめました。

▼アップデートで、営業時間の詳細がより細かく設定できるように
▼上手な口コミ返信をしている店舗を発見(これについては近いうちにもう少しきちんと書きます)
▼リスティングの停止と再度認証が求められるケースが増えているらしい
▼不適切なクチコミの報告にメッセージが追加
▼管理画面の商品登録の仕様がちょっと変わったみたい

今週の気になる関連記事紹介

GoogleマイビジネスやMEO、ローカルSEOに関する記事を紹介します。

「美容師さんに話したSEOとGoogle マイビジネスを用いた美容室集客の話」

Twitterやはてぶでも話題になった「ヘアサロン向けのローカルSEO」の記事。こうした業態別のコンテンツは有益。業界ごとにいろんな戦略があって良いと思います。店の形だけ違う戦略があるので、こうした業界戦略もこれから練っていきたい。

「ローカル検索で順位を計測する意味はあるのか?」

ローカル検索の表示順や正しい計測方法について紹介された記事。検索場所や時間帯で大きく順位が変わるローカル検索。シークレットモードで計測している方がいますが、それだと正確な順位を計測できないことの解説。

「ヒトサラ、「Google で予約」で 飲食店のオンライン即予約サービスを開始」

ヒトサラで連携している店舗は、Google 上で予約が完結できます。この「Googleで予約」は飲食が先行していますが、今後、医療や美容院、そのほかのジャンルでも進んできそうな気もします。

ただし連携サービスの機能で、Googleが予約機能を提供しているわけではないので注意!(たまに「なんでうちの店は予約ボタン出せないの?」という方もいます)。

今後の予定

創刊号いかがだったでしょうか?

これから毎週火曜日に、気になるGoogleマイビジネスの最新情報をお届けする予定です。

気になる方やご感想は、ぜひTwitterの方からもお願いいたします。

それではまた来週お会いしましょう!

(創刊号の編集・チェック協力)

永山卓也氏・吉岡 沙織氏・塩氏・ダー子氏・オオクボ氏・すみこ♨️氏・きっとかとう氏・ムラキ氏・Ikkei氏

創刊にあたり、本当にたくさんの方に、力を貸していただきました。この場を借りて感謝を申し上げます。

マガジンはこちら

【ご報告】現在フリーランスで、マーケティングやインハウスエディター、GoogleマイビジネスのSaaSサービスのアドバイザー、リモート書店員(?)という活動もしています。ご興味ある方やお悩みのある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


いつもサポートありがとうございます!サウナの後のフルーツ牛乳代か、プロテイン代にします。「まあ頑張れよ」という気持ちで奢ってもらえたら嬉しいです。感謝。