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【モノローグエッセイ】彫りたい衝動

タトゥーを彫りたくなるような出来事が最近あった。彫ってないけど。

「あーきっとこういう時、人はタトゥーを彫りたくなるのかもしれない」と衝動的に思うような、感情がぐわんぐわん揺さぶられる出来事だった。彫ってないけど。

なぜ、衝動的にタトゥーを彫りたい、と思ったかというと、(彫ってないけど。)
最近よく見かけていた、とあるアーティストの方が、全身にタトゥーの入った人だったからである。
そのタトゥーがすごく独特で、思わず魅入ってしまうほど。次々に足されていって、全身に彫られたものだと思うんだけど、すごく統一感があった。

本当に全身にたくさんのタトゥーがあるので、思わずそのアーティストのタトゥーについて調べてみた。すると、案の定というか、やっぱり私と同じように気になる人が多くいたらしく、そのアーティストの全身のタトゥーについての記事があった。

そこに載っていたインタビューがとても印象深かった。そのアーティストがタトゥーをいれる理由が。

俺が身体にタトゥー入れてんのは、見せるためというのとはまた別の次元の話で。これは自分の思想だったり、生き様だったり。だから俺、絵は入れないんですよ。

タトゥーで入れてる文字は、平たく言えばメモ帳。俺の人生の消えないメモ帳。

(中略)

決して自分に墨入れるというのは強い行為じゃない。弱いがゆえの行為。戻れない自分というよりも、戻らない自分でいるためにやってる。
ネットインタビュー記事より

タトゥーは人生の消えないメモ帳、という表現がなるほどなぁとすごく好きだった。戻らない自分でいるためのメモ帳。
それを知って、改めて全身のタトゥーを見ると、そのアーティストの深部が垣間見えるような気がした。ずいぶんたくさんの言葉と出逢って何度も生まれ変わってきた人なのかもしれない。

それを思うと、たかが一時のメンタルブレイクでタトゥー彫りたいとか思ってた自分の情けなさが際立った。自分の感受性ぐらい自分で守ります。はい。


街で今度行き交う人のタトゥーを見たら、そこにはその人の人生や思いが刻まれてるのかもしれない。


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