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【モノローグエッセイ】楽譜上でも交わらない二人

とあるミュージカルの、3人で歌う楽曲を練習していた。
この曲を歌う3人はいわゆる三角関係で、うち2人は両想いで成就するのだが、1人が片想いのまま終わるという構成の曲である。(ミュージカルで、三角関係で、っていったらもうかなり曲が絞られてきますが、あえてなんの曲かは伏せます。何の曲か分かったあなたはすごいです。クリスタルヒトシ君。グリフィンドールに10点。)

私は3人のうち、片想いのまま終わるパート(Aとする。)を練習していたのだが、まあこの曲、音が難解なのと、テンポにしっかりはめるのも地味に難しいので歌いならすのに苦戦していた。

ピアノで自分の音を弾きながら、音の確認をしたり、海外版の歌っている音源を聴いていて、ふと気づいたことがあった。

片想いのAと、その片想いの相手(Bとする。)は、楽譜上でも音が交わることがなかったのである。

唯一、ユニゾン(同じ音を歌う)するところはあったのですが、その気持ちを向ける対象が、A→B、B→C(成就する方)だったので、同じ音を歌ったとしても気持ちが交わっていなかった。そして、そのパート終わりには、Bの音は上に上がり、Aの音は下に下がっていき、また離れていく。

それ以降は、BとCが両想いになって超ハッピーいぇーい!!となって高い音階で交わる中、Aはずっと下の音階でその交わりを支えながら見る、という構図が楽譜の中でも展開されていた。

Aは五線譜の下の部分で、上でBとCの音が交わるのを見つめる構図が最後まで続く。
たとえ同じ音を歌っていても、その音を向ける対象が違う。
天にも舞い上がるような駆け上がりを見せるBとCのパートと、上がりたくても落ちていくCのパート。


うーわ、マジか、となった。(拙い語彙力ですみません(汗))
もう楽譜の中でも、Aの想いは実らないことが明白だったんじゃん、と、今更ながら気づいた瞬間だった。

そういう部分も、表現出来るようにと、
練習に励んだ。


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