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【モノローグエッセイ】二郎デビューは突然に

☆砦の向こうに二郎がある。~Do You Hear the noodle sing?~ ラーメンすする〜音が聴こえるか?

結論から言うと、ラーメン二郎はエンターテインメントだった。


レ・ジロラブル 開幕。


「おい、ゆっこ!二郎行こうぜ!」

のび太を野球に誘うジャイアンのように私に声をかけたのは
日頃からお世話になっている方のひとり。
私は密かに「ボス」と呼んでいる人物だ。

ちょうどお昼の時間だった。

私「二郎ってラーメン二郎ですか?」
ボス「そう、行ったことある?」
私「ないです〜」

ラーメン二郎。
その名前は男性の友人やよく聴いているラジオのパーソナリティーの方の口からよく聴いていた。
どの店舗でも行列ができるラーメン屋さんで、ハイカロリーな印象だった。

ボス「そうか、二郎は注文する時の呪文があるからネットで調べとけよ〜」
私「じゅ、呪文??」
ボス「作法とかルールもあるから」
私「なんなんですかラーメン二郎って」

何か特別な作法があるらしいラーメン二郎。
気になりすぎて、「ラーメン二郎 注文の仕方」でググる。
すると、ラーメン二郎初心者向けのお店の情報や注文の仕方をまとめているサイトが何件かヒットした。
注文する時の呪文とは、トッピングを注文する時のコールのことだった。
「ニンニク」「野菜」「アブラ」「カラメ」など、自分の希望するトッピングを簡潔に、大きな声で店員さんに伝えるとのこと。
あーよく聞く「ニンニクマシマシで」というのはこれか、と頭の中で一人で納得。

話は少し逸れるが、この日私は減量中で、ラーメンはNG中のNGフードだったが、せっかくのボスの誘いと、ラーメン食べたそうなボスにも悪いなと思い、ラーメン摂取を自分に許した。食べるなら思いっきり食べて、後で運動と食事管理で必ず調整。(実際、2日でキープ体重に戻した。イェーイ。)

そんなことを考えながら、やってきたラーメン二郎。
お昼過ぎの時間帯だったが、4〜5人くらいの人が並んでおり、私たちが並んだ後も5人くらい新たに列を長くしていた。
列が進み、入り口に近づくと店内が見えたので覗いてみた。
すると…

私「な、なんですかあの親方みたいな人」

厨房側で二人の店員さんが連携をとりながらラーメンを作る中、厨房の一番奥に威厳のある男性が剣道の師範のように座っていた。(竹刀みたいな棍棒も持ってた。)

ボス「この店舗のオーナー、んで、手前の人が多分社員さんで、奥側の方がバイト。最近入ったっぽい」

ボスはこの店舗によく食べに来るらしく詳しかった。
親方のようなオーナーさんを見ただけで、絶対面白そう、という予感がした。(※ラーメン屋)
本当にこんなに「親方」と言う言葉が似合う人がこの世にいようか?と思うくらい「親方」の風貌だった。

列が進み、店内に入ると、ボスは食券を買ってくれた。
(奢ってくれました。ごちそうさまです。)

食券販売機には「ラーメン」「ブタ入りラーメン」「ブタWラーメン」などの表示があり、「ブタさんがいっぱいいるのね、ブーブー🐷」とちょっと思っていた。(もちろん違う)

多分社員の人「今新しく食券買われた方、麺、硬めの方、1、3、4、5番ですね。〇〇さん、次麺固め1、3、4、5番です」
バイトの人「はい!固め1、3、4、5番」
多分社員の人「空いた席からお座りください〜」

カウンターの席は満席、順番待ちの人も多く待つ中、殺伐とした店員さん同士のやりとりが行われる。親方は無言。
私たちは運よく、隣同士で座ることができた。(感染症対策で横の席との仕切りがあり、顔は見えない。)
食券を置き、予習してきたコールを言う準備をしていた。

その間も続く店員さん同士の殺伐としたやりとり。

バイトの人「トッピングは?」
お客さんA「ニンニク増し、野菜ハーフ、アブラで」
お客さんB「僕はニンニク抜きアブラマシマシ野菜」
バイトの人「ニンニク増し、野菜、アブラと…」
お客さん「あ、野菜ハーフです」
バイトの人「あ、すみません、ニンニク増し、野菜ハーフ、アブラと…」
多分社員の人「〇〇さん、次の1、2、4が麺固めですー」
バイトの人「はい!1、2、4固め、あっ次のトッピングがニンニク増し野菜アブラとニンニクアブラマシマシ野菜で…」
お客さんB「あ、違いますニンニク抜きで…」
バイトの人「あっすみません!!」

複雑な呪文を忘れないように何度もコールするバイトの人。
しかし、呪文が複雑すぎるのと、次々とくる新規客の麺の硬さコールに翻弄され、てんやわんやしてしまい、気まずい雰囲気が流れるも、ズーズーとただ響く麺をすする音。

ラーメン二郎の厨房では、バリケードの銃撃戦のような殺伐としたやり取りが繰り広げられていた。ここはフランスか。

オーダーを忘れたら命取り、連携をミスったら全てが空回り、ミスが続くと親方が立ち上がり。

BGMをつけるなら、レ・ミゼラブルの「最後の戦い(The Finale Battle)」が合うような情景。あれ、ここ帝国劇場?

そんなことを考えていると、ついに私が呪文を言う番がやってきた。よし言うぞ〜!と意気込んでいた。

多分社員の人「トッピングは?」
私「野菜カラメで!」
多分社員の人「隣の人(ボス)と同じくらい盛っちゃって大丈夫ですか?」
私「あ、はい、大丈夫です!」

そして出てきたのがこちら。

二郎ラーメン


多分社員の人「肉余ってたんでおまけしときました〜」
私「わ、わぁ〜!ありがとうございます!」

多分社員の人が肉のトッピングをサービスしてくれた。
食べるなら野菜多めで食べた方がいいなと思い、野菜のトッピングをしてみたのだが、けっこうな量のもやしがどーんと盛ってある。麺が見えない。

お腹も空いていたので早速実食。
まずもやしから食べ進めていた。が、これが一向に減らない。え?けっこう食べたよね?って感じていたのにまだもやし。麺が出てこない。え?麺入ってるよね?(入ってます)
やっとのことで麺が見えるくらいもやしを食べ減らし、麺を実食。

美味しい〜!

日頃食べるのを控えているボリューミーで濃い味を久しぶりに味わい、舌が喜んでいるのを感じた。おまけでいただいたお肉も味が染み込んでおり、肉厚で噛むほどに旨味が溢れる。
半分くらい食べ進めた後、ブラックペッパーで味変をしてみるとこれまた美味しかった!

そして、バリケード内の殺伐としたやりとりと麺を啜る音の協奏は続く。
ABCの友の会のメンバーがラーメン屋でラーメン作ってたらめっちゃ面白くない?
絶対グランテールサボるだろとか考えていた。湯切りするアンジョとか見てみたいんだが。(※個人の空想です。)

Red〜赤だし味噌〜Black〜焦〜しにんんく〜


ABCの友の会ラーメンとか売れるんじゃないかな。
そんな面白いことを考えながらついに二郎ラーメンを完食。

ごちそうさまでした。

完食


久しぶりのボリューミーな食事で、この日はもう食事はいらないくらいお腹いっぱいだった。
激戦の後(濃いラーメンを食べた後)のDrink With Meよろしくなボスと飲んだブラックコーヒーは美味しく、五臓六腑にしみた。(食べ)すぎた〜胃(日)に〜かんぱ〜い〜



またあのバリケード内のドラマを見に行きたい。
皆さんもぜひ足を運んでみては?


レ・ジロラブル 終幕。


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