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妹の意見が辛辣すぎて笑えたので、【ネメシス Ⅰ】(今村昌弘)


ドラマ「ネメシス」(主演・広瀬すず、櫻井翔、江口洋介)が始まり、最近、サブスクで韓国ドラマからまったく帰国して来ない妹が珍しくこのドラマを見ると言っていた。

私はドラマをまったく見ない人間なので(アニメしかり、映画しかり)、「まあ、本の方を読むからまた感想を言い合おうよ」と言っていたら、妹の方が先にドラマを見たと言ってきた。

私「どうだった?」

妹「うーん……。あのねぇ……」

と、私に言ってきた意見が辛辣過ぎて笑えてしまった。

ここから書くのはあくまで、妹個人が感じたことなのでご了承ください。

「まず、犯人がさ、指摘された時だれ!?ってなった。影薄いんだよ、犯人の。でさ、犯人の決め手になる証拠がうっすいの。そこ!?それ!?みたいな?あと、あの時間のドラマで容疑者多いよ!登場人物多くて混乱する!」

と、言うのがドラマを見た妹の意見。

あまりにも辛辣すぎて本当に面白かったから、私はすぐに本を読むことにした。

で、どうだったかって?

妹の意見をまったく否定できないので、さらに笑えてしまった。

断っておくと、「ネメシス Ⅰ」の全体で「こりゃあないわ」と思ったわけではないので、ちょっと最後まで読んでほしい。

あ、ちなみに、ネメシスとは、

ギリシア神話で、人間の分をわきまえない思い上った言動に対する神の怒りと罰を擬人化した女神

とのこと。

ついでにかいつまんで「ネメシス Ⅰ」のあらすじを説明すると、

探偵事務所ネメシス。かつて凄腕探偵と言われた栗田を社長に、お人好しの探偵・風真、事務員・アンナが事件に挑む!

これがベースだ。

1話の「天才探偵、現る!」は、大富豪に脅迫状が届いて、愛人がいっぱいいて、案の定その大富豪は殺されてという、まあ、ミステリの典型的な形の物語。

これがドラマの1話になる。

私が読んだ印象では、

・犯人がほとんど話さないので印象に残らない(それが狙いなんだと思う)
・犯人の決め手になる証拠が心もとない(でも私も、これ以上の証拠は発見できなかった)
・130ページ弱の物語で登場人物が多い(メイン3人、依頼人、被害者、容疑者6人、使用人2人、刑事2人)

という感じかな(これも私個人の意見です。悪しからず)。

裏に「本格ミステリ」と銘打ってあったけれど、いや、これ、「ライトミステリ」でしょ!というツッコミは、まあ、置いておいて。

妹の意と私も同意見なのは分かっていただけたところで、1話を読んだところで妹に「うん、私も同感」と言っておいた(妹は「でしょ!」と笑っていた)。

が、しかし。

この「ネメシス Ⅰ」2話がべらぼうにおもしろかった。

「美女と爆弾と遊園地」というまんま事件の内容のタイトルなのだけれど、この物語、なんというか、すべてのバランスがいい!!

カンタンに内容を説明すると、人を3人も爆弾で殺している爆弾魔が今度は「そこそこ」人気な遊園地に爆弾を仕掛けたと言ってきた。加えて、身代金まで!

こちらの事件は二重に仕掛けられたトリックが本当に見事だし、犯人の意外性が読者を唸らせるんじゃないだろうか!(動機に関しては、「あ……(察して)」となったが)。

トリック、登場人物、舞台、すべてが見事に合致してて、なんというかパーフェクトな短編ミステリを読んだ気分。

ドラマの1話をこっちにしたらいいんじゃなかったんだろうかと思うぐらい……。

ドラマの1話で軽い怒りを覚えた人(私の妹のように)は、ぜひ、本では2話まで読んでみてほしい。

妹に聞いたところ、ドラマの2話はもう既に2巻へいってしまうようなので、あぁ、こんなにおもしろい小説の2話が残っているのになんかもったいない……。

コメディ色が強めで、ところどころギャグ発言もあり、会話のテンポもいいのでサクッと読めて、楽しいライトミステリ。

2巻を読むのが楽しみだし(積読になっている)、1話にはびっくりしたけど(いろんな意味で)、この先の展開がかなり楽しみである。

登場人物たちの秘密や、ネメシスという探偵事務所の本来の目的など、1巻で張りに張った伏線がどうなっていくのかも、かなり気になるところ。

ドラマも本も両方体験できる人が、なんだか羨ましい限りである。







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