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『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』第13話感想 「ド級のリトライ ドリトライだ!」って言葉は本作の為にある


◆これまでの感想

◆尺不足を超えた尺不足

やっぱアメ公とのいざこざいらなかったじゃねーか。
そんな疑問がずっと念頭に置かれてばかりなあんまりにもあんまりな最終回だった。前回ほど酷いわけではない。ダイジェストで巻きに巻いてなんとか綺麗に物語に幕を閉じたのは事実だ。
だがしかし、こんな雑な最終回で「良い最終回だった」とは素直に言いたくない。ぼくは絵さえ良ければクソゲーでも抜くほどちょろいけど、なあなあで脳死で褒めるほどちょろくはない。

もうAパートのエコーのくだりからダメだった。
こいつらがデウスエクスマキナムーヴかますんだろと半分投げやりな気持ちで前回感想で述べていたら雑にアメリカ企業をばーんして(殺してはいない)、その実コノハちゃんのサインが欲しいだけで帰っちゃったとかそれだけかよ!?結局こいつらなんだったんだよ!?

そして再び話題にされる想像力云々は相変わらずふわふわ。
光の粒子をばらまいて「想像力はどんな人にも備わってます」と当たり前のことを言われても「だからなんだというんだ」と疑問である。
ものすごく深いことを言ってるようで実際めっちゃ浅い、雰囲気で誤魔化している典型例である。8話も大概だったが、今回光の粒子のせいで余計にそう見える。

肝心のアメリカ企業との決着が全く着いていないのもどうなんだ。
エコーのくだりからもうずっと霊圧が荼毘に付していたのだが、そうなると逆に気になって仕方がなかった。いちおう冬夜さんが警察呼んでいたからあとはなんとかするようだが…

いやそこを具体的に描いてくれよと。
こっちは解決したのかどうかさっぱりわかんねえよ。有耶無耶に問題放置すんなよと。自ら問題定義したくせに放置すんなよと。

つーかこれ、冬夜さんがすべて責任を負うってコト????
いいのかそれで。ひとりだけ全く後日談が描かれなかった(改変後2023年でも出番なし)のも含めて不憫すぎじゃないか??いちおうコノハちゃんに一緒にゲーム作ろうよと誘われて結局自ら断ったとはいえ、なにこの消化不良…あーもういいや。

◆1999年へ…?

アルコールソフトのみんなが再集結し、そこでゲームをつくり、こみパで1999年に飛び、『ラスト・ワルツ』に打ち勝つ。そんなプロットだが、もう残りの尺で描ける気がしない、展開を巻くのは確定的に明らかだろうと察していた。
マモルくんがみんなを呼び出して再会したのはもうあっさりすぎて感動もクソもない。あっさりゲームを完成させてあっさり別れてしまうと「やっぱ完全に構成ミスってんじゃん」となる。ただの便利屋じみてて感慨深くなれない。雑を超えた雑、やっつけ仕事すぎてなんだかなあ。あと地味にタイムスリップのこともバラしていたのもお粗末すぎないか?

マモルくんから手紙を託されて、いざこみパを開いて再び1999年へ――――

コノハちゃんが作ったゲームが起動。
UIとかとても1999年のゲームとは思えないのだが…『ラスト・ワルツ』がギリ1999年にあってもよさそうな絶妙なバランスが取れてて好きだったのになあ。絵はかわいいんですけどね。

1話で登場した子

とはいえ、そんな重箱の隅を突くよりもコノハちゃんが世に出したかったヒロインが遂に世に出せたのは素直に感慨深い。そして「この子が出てくるエロゲやらせろ」という本心のほうが正直である。…まじでこんなかわいい絵でえっちすんの??そういう疑問を抱くエロゲは別に少なくはないけど。

で、1999年パートをキンクリして2023年に戻りました。ああうん…はい…
見事なキンクリだなあ。いやもう1999年でやることは大体想像付くんですよ。みんなと再会して事情を伝えて『ラスト・ワルツ』を超えたエロゲを送り出して、世界線を変える。ぶっちゃけそこまで劇的なイベント・見所さんは正直あまりないんだと思う。
だけどいきなりキンクリされてしまうと困惑のほうが勝るわけで。「わざわざ描写しなくてもいい」と甘ったるい考えはやめたほうがいいわけで。

◆2023年(γ世界線)

アルコールソフトはアメリカへ行ったのは変わらず。ブルーベルはエロゲ会社ではなく人妻喫茶に変わっていた。そしてアルコールソフトがあったビルで待っていたマモルくんと再会しておわり。

カタルシスはないですね…
働くところがなくなったと思ったらマモルくんが待ってくれたのでこれからもエロゲ作り続けるぞいEND自体は構わないんですよ。でも予定調和にしか見えなかった。ここまでの展開が雑だっただけに「ふうんああそう…」としか思えなかった。
つーか作中内だとマモルくんとの再会が数分後だもん。

今週一番良かったのはでじこが復活どころかVRとして以前よりでっかくアキバに出現な件。そこはかとなく、でじこへの敬意を払っていて良いなと気に入りました。一方とらのあな秋葉原店はなくなったままだった。せめて復活して差し上げろ。

結局1話のおばあちゃんって何者だったんですかね…エコー説あるそうだけど、結局正体不明だとぶん投げに等しいし。エコー2号がミスドでコノハちゃんを監視(?)していたのもなんだったんですかね…もうまじめに考察する気ないからいいや。それくらい投げやりな気持ちになっている。本作への熱意は完全になくなったわけではないのだが…

◆総括

7話までは大好きなアニメでした。
エロゲのパッケージを開けたらその発売年へ飛ぶアイディア。1992年から辿っていくエロゲの歴史。4話で描かれたコノハちゃんの主人公らしい啖呵の切り方。アルコールソフトの終焉と復活。毎週体感時間があっという間に感じるほど面白かった。
8話で怪しくなったけど、10話まではかろうじて好意的に見られました。けどラスト3話で台無しになってしまった。というか今から作り直してほしいくらい惜しいアニメでした。

上でも散々書いたけど、アメリカ企業という敵役とエコーはいらなかった。
8話を消して1話繰り上げて、10話(本来の11話)でエロゲ制作がてんでうまくいかないところでアルコールソフトの面子が再登場、11話から一転攻勢開幕&エロゲ完成という構成もできなくはなかったと思うんですよ。
これは王道にして想定内の展開で捻りがない、誰でも考えられそうな無難な展開だと自負していますけど、それでもスランプにスランプを重ねまくってアルコールソフトの面子が来てくれたカタルシスはぬかりなく面白く描けるんじゃないかなあと思う。

こうして11話で1999年に飛んで、12話で解決、13話で後日談と、寧ろ巻く必要がなく余裕をもって完結まで描けそうな気がします。素人意見なのでそう易々と出来たら苦労しないのも理解していますよ。それでもアメリカ軍団とエコーはマジでいらなかったと思う。
変に捻った展開だなんて、このアニメらしくないし求めていないんですよ。中にはAI批判をやりたかったんじゃないかとか言う人もいるらしいけど、そんなものはわざわざ本作で描く必要はないと思うんですよ。やるなとは言わないです。でもそんなものよりも他に優先して描くことがあっただろと。

この言葉がブッ刺さるつくりだった

なんかこれ、2016年冬アニメの『少女たちは荒野を目指す』という同じくエロゲ制作をテーマにしたアニメと似たような流れだなと。
これも中盤までは結構好きなアニメでした。ギャルゲー(エロゲではない)を衝動的に予約したくらいに。中盤はクソ回1回やっちまって、それでもまだ擁護できる範囲だったけど、終盤の展開が猿展開を超えた猿展開をやりやがったことで予約キャンセルしました。
実はヒロインが借金していたのを終盤まで隠していた
という、普通なら騙していたも同然で許し難い展開なのに、みんな許してくれたふわふわした優しい世界展開でふわふわ解決というクソ展開をやりやがったんですね。もう8年近く前のアニメなのに今でも嫌に覚えています。本作も終盤が極めてふわふわ展開でふわふわ解決なのが似ている。あと借金問題…は本作のはそこまで悪く見ていないけど。

いまいち扱いきれないテーマを下手に扱うべきなのはやめたほうがいいと存分にわからせてくれる反面教師としては優秀ではなかろうか?それが本作を見て学習させられたことです。…本当にどうしてこうなった。ド級のリトライさせろ。ロード画面はどこだ。

終盤で嫌いになりかけたけど、なんだかんだ言って中盤までは面白かった・感想書くのも含めて楽しかった事実は否定したくないです。当時の様子をアッピルさせる熱と解像度はあったし、そこは優れていたんですよ。ガチで。

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