#52 社会人編 〜書類に悩まされる〜

私は片付けが苦手だ。

そりゃ人並みに掃除はするし、汚いのは嫌なのでちゃんとしようとは思う。

でも苦手なものは苦手だし、いやなものはいやなのだ。

この辺が、割とよく言われるO型たる要素なのだろう。まあ、血液型で全てが決まると信じているのは日本人だけかもしれないが。

見た目には基本気を使うのだが、根っこの部分は大雑把で適当。片付けられているように見えて、実は外側の体裁を整えただけ。

今まで生きてきた中で、おおよそこんな感じだった。

そんな私が今まででとにかく苦手としている片付けに関して、いくつかあるのだが、ダントツで一番なのが書類の整理だ。

たかが紙切れを整理するだけで…と思われる方もいらっしゃることだろう。

私も正直この書類整理に関しては舐めていた節がある。

でもよくよく考えると、幼い頃からその片鱗はあった。

昔から、学校でもらったプリントやら、提出しなければいけない便りを無くすのは日常茶飯事だった。

忘れるたびに担任には怒られ、親には怒られ、そのたびに

「次は無くすもんか!」

と胸に誓うのだが、当時の私のちっぽけな胸では力不足だったのか、一向に改善されることはなかった。

しかも、いらない書類だけはどんどん増えていく。

授業で使った小テストのプリント×5教科、どっかのイベントのチラシ…どうしてこんなにたまるのだろう?と言うくらい机の上に積み重なっていく。

当時もあまりにも山積みになって親から、

「なんでこんなに紙が貯まるの?!」

と怒られ

「さあ、なんででしょう?」

と本気でわからず尋ねると

「アンタが整理整頓ができないからだよ!」

と追加で怒られ、渋々書類整理をした覚えがある。

そんな私だったので、社会人になってからはその傾向がより顕著になる。

基本的に、“選別する”という考えがないので、どんな紙も保留にしてストックしてしまう。

さらに、これは働いてからより実感するようになったのだが、日本は紛れもない紙文化だ。

何から何まで紙を使うのだ。公文書も紙、役所への届けも紙、契約書も紙、この国のありとあらゆるものは、紙が基本なのだ。

そんなんだから会社だって必然的に紙が主流だ。

企画書だってどうせパソコンを開けるならデータでいいじゃないかと思うものだが、それでも紙にこだわる。

責任転嫁をするわけではないが、日本は紙文化であることを嫌と言うほど理解した。

紙をストックするわ、どんどん紙が増えていくわで、特に働き始めは書類によって自分のデスクが紙タワーになってしまった。

上司にも

「春先さん、一回机整理した方がいいんじゃない?」

などと、遠回しながらお叱りを受けることもあった。まあ、一年のうちに何度か雪崩を引き起こしていたのだから、そう言いたくもなるだろう。

そうして、せめて雪崩は起こさないように書類を整理するのだが苦手なのは変わらないので、山が右から左に動くだけ、と言う感じだった。

そしてそれは家の中でもそうだった。

家に届くチラシやら、色々なお金に関する明細やら、保険とか契約している会社からの書類やらで、まあ書類はどんどん溜まっていくのだ。

始めは、大事そうなものは一括でケースに入れときゃいいか程度で考えていたのだが、甘かった。

こういったものは一週間どころか、毎日溜まっていく。

そうして早い段階で書類の山が家の中にもいくつもできるようになってしまった。

これは、ひょっとしてまずいかもしれない。

そう思い始めたのは、友人を自宅へ招いた際に、

「何この紙の山。これはないよ、片付けしたら?」

と割と真面目なトーンで言われたことがきっかけだった。

まあ、友人からしたら何でこいつの家には紙の山がいくつもあるのだろう、邪魔だなということなのだと思うが、私としては山があることに慣れてしまっていたので驚いた。

そうか、これは異常なのか、と。

そうして、書類何とかためないようにしよう生活が始まったのだ。

まず始めに、とにかく自分が見ない書類に関しては捨てることにした。

これから必要になるかも、とかいつか使う日が来る、と思っているものはきっと使う日が来ない。

それは山ができるまで生活してよくわかった。

そうして、半分ほどの山が片付いた。

次、これから本当に使ったり見直す用途のあるものと、保管だけすれば良いものとで仕分けをした。

いって見れば、明細などは保管はしてもそこまで見返すことはない。ならば出しておく必要はない。

そうして仕分けていくと、実はいらない書類がごちゃごちゃになっていたことに気づいた。

なるほど、書類は最初からある程度仕分ければ良いのか。

と社会人になって時間が経ってようやく理解したのだった。もっと早く気づけよと思うが、人生の大半を書類に翻弄されていた私だったので、時間がかかってしまったのだ。

そうして、今ではそこまで書類を溜め込むこともなく生活できている。

仕事場のデスク周りもともすれば一番綺麗じゃないかくらい整っていると自負している。

しかし、ちょっとでも気を抜くと一気に汚くなるのは以前のままだ。

今後も気を引き締めて、二度と雪崩を起こさないように心がけよう。

そんな私だが、最近例のiPadを買ったことで革命が起きている。紙媒体も、スキャンをして保存しておけば、もはや紙がいらないのでは…と。

文明の利器とは、素晴らしい。

もしかしたら今後、私の書類苦手意識はこのタブレットによって解決できるかもしれないと気づき少しだけ未来が明るくなった…気がした。


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