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#32 社会人編 〜テレビを買い替える〜

テレビの調子が変だと思っていたのは、だいぶ前からである。

おそらく引っ越しをした時にはもう、不調を訴えていたような気もする。

2年ほど前、意気揚々と今住んでいる家に引っ越してきた私は、当時32型の液晶テレビを愛用していたのだが、これがどうもおかしい。

何がおかしいかと言われると、まあ色々おかしいのだ。

第1に、電源が3回に1回はいらない。

これを聞いた方はそれもう故障だろう、と思うだろう。もちろん私もそう思う。しかし、このテレビは3回に2回はついてくれるわけだ。

もしかしたら、私の電源ボタンと押し方がちょっと雑だったのかもしれない、ごめんよ。

という気持ちでつければ、次はうまくいくのだ。

なので、心なしかまずいよなという気持ちは持ちつつも、なんとかなるだろうと使い続けていた。

しかし、おかしい点はまだあった。

第2に、勝手に入力表示を切り替えてくるのだ。

普通にテレビを見ている途中で、ビデオ表示切り替えになったり、HDMI接続になったりとさまざまである。

これには、さすがの私もかなり驚く。

一瞬ポルターガイスト的なホラー要素もあるのでは、と考えたが今までのテレビ自体の不調の件があるので、きっと違うだろう。

それでも勝手に入力が切り替わるのは、なかなかに不便である。漫才を見ていても映画を見ていても、ドラマを見ていても、どんなによい場面だろうとやつは唐突に入力切り替えをしてくるのだ。

そして画面には

「信号がありません」

の表示が動いている。

「そりゃそうだよ、だって信号送ってないもん、別のもの見てるんだから。」

とテレビに悪態をついてしまうのも仕方がない。

以前、洋画を見ている最中にアクションシーンのちょうどクライマックスで、表示が変わった時は思わず

「もー!」

と声をあげてしまったくらいだ。

もはや、買い換えねばならないかもしれないと思い始めた。

そんなこんなで冬になったある日、ついに3回に1回だった電源がつかなくなってしまったのだ。

正確には30回に1回くらいはついてくれるのだが、もはやこれではテレビとしての用途を果たすことができない、と私は渋々ながらテレビを買う決意をしたのだ。

でも、いざ買うとなっても何が良のかが全然わからない。

今まではテレビの良し悪しに頓着していなかった節があった。小さくても何も機能がなくても、

「まあ、テレビがついてりゃOK。」

などと考えていた。

しかし、今回の件でそれではいけないと思いなおす。

きっとまた適当に選んだら、変なテレビを買うハメになるかもしれない。

次は、機嫌が悪いテレビもポルターガイストテレビもまっぴらごめんだ。

購入計画を立てる上で、今回こそはとテレビに求める条件を洗い出すことにした。

①大きい

これは間違いないだろう。さすがに芸能人のうちにあるようなめちゃくちゃでかいテレビなんてのはいらないが、映画好きの私にとっては、大きいテレビで大迫力の映画を見るのは、一つの夢ではあったのだ。

この機会を逃してはならない。

そして次。

②品質がそこそこしっかりしていてとにかく安い

言ってみればコストパフォーマンスというやつだ。

安くても、前のテレビのようなものではまたすぐに壊れてしまうし不便だし、かといっていいものだとしても私の経済状況では限界がある。

世の中なんでもバランスが大事ということだろう。

そして最後。

③録画ができる

ずいぶん前からテレビに普通に備わっているものが、録画できる魅力を以前はそこまで知らなかった私は、

「すごいねえ、最近のテレビは。」

などと、おじいちゃんのような時代錯誤な感想を抱くに過ぎなかった。

そんな中、友人の家で録画されている番組を見てかなり衝撃だった。

当たり前といえば当たり前なのだが、テレビがついていなくても勝手に録画されるのだ。

いつの時代だよ、と呆れられてしまうかもしれないが、私のテレビ録画の最後の記憶は、幼少期にあのVHSで番組の開始時間に赤い丸を押す、という思い出だ。現代の録画方法に驚くのは無理もない。

そんな私だったので、録画というものを実際に見た時に

「便利だ」

と心の底から思ったのだ。

さらに友人のテレビでは、録画した番組が音楽、ドラマ、映画、アニメなど、ジャンルごとに分類されて、視聴したかどうかも表示されるのだ。

録画機能とは、こんなに便利なものだったのか。

みんな当たり前のように使っているようだったが、少しくらい高くても良いテレビを買う理由がやっとわかったよ。

とようやく録画のよさを私は実感し、今回のテレビ購入の際にはぜひ検討したいと思うようになったのだ。

結果的テレビは、良いものを変えたと思う。

某海外メーカーのブランドだが、価格はウン万円。HDD録画が可能で、サイズがなんと50インチ。これは破格の値段であろう。

選ぶ際に多少犠牲にしたものもある。国産メーカーの安心感は確かに大きい。

しかし、これだけ自分の要望を叶えてくれるテレビは他にないだろう。

理想のテレビを手に入れた私は、ようやく快適なテレビライフを送ることができるようになったのだ。

正しくは送れるようになるまでに、もう少し困難な道のりがあった。

50インチほどの大きさだとちょうど良いテレビ台がなく、ホームセンターをはしごするハメになり出費が嵩んだり、実は足元が不安定で置いたはいいものの何度も倒れそうになったりなど。

極め付きは、ひと月に1回くらい、謎の再起動を起こすという点だ。

まさかこのテレビでも不調があるなんてとも思ったが、生活にはなんら支障はないのでとりあえず放っている。

もしかしたら、実は本当にこの家には何か恐ろしい事情があるのかもしれない、と思い始めたのだが、これがまた後に真実になるのだ。

その話はまた、しようと思う。

ひとまず大きなテレビを手に入れたことで、私のダラダラな自堕落生活に、さらに拍車が掛かったことはいうまでもない。

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