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地上波ドラマは私の晩酌

授業がつまらない時。
そこに居なければいけないけれど暇な時。
私はいつでも、身体をその場に置いたまま、意識だけ空想の世界へと出かけられた。

でも大人になった今は、空想の世界を旅する代わりに、気づけば、煩わしいあれやこれやについて考えてしまっている。

その代わり、いつでも空想の旅に出かけられたあのころは持っていなかった術を、今の私は持っている。

地上波ドラマという旅への切符を。

本や映画と同じくドラマも、それを観ている間は、今いるここから、私自身の人生から離れられる。
最近は有料配信のドラマも多いが、私は何といっても地上波だ。

自分の好きなタイミングで旅を始められ、途中で帰ることも、最後まで行ってしまうことも自在にできる本や映画と違い、地上波のドラマは基本的に週に1度、1話ずつしか放映されない。
どんなに先が気になろうとも、一旦現実へと帰され、1週間待たされる。

地上波ドラマは受け身の旅である。

でもその代わり、明日、あるいは今日、あの面白いドラマがあると思えば、それまでを頑張る力になってくれる。

そして決まった曜日が来れば、どんなにひどい日だったとしても、気持ちがもやもやしていようとも、こちらの状態はお構いなしに、私を今いるここから連れ出してくれる。

一日の終わり、夜に観るドラマは、私にとって大事な切り替えの時間であり、そして最も身近な楽しみ、最も身近な旅でもある。

私はお酒をたしなまないけれど、好きな人にとっての晩酌は、それを楽しみに日中を過ごし、飲めば嫌なことも忘れられる、至福の時だという。

私にとって地上波ドラマは、まさに晩酌のような存在である。

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