街と旅のあいだ|haruri

寝ることと食べること、そして空想だったり、本や映画、ドラマを通した移動を伴わない旅、近場や一歩だけ足を延ばす小さな旅が何よりも好き。

街と旅のあいだ|haruri

寝ることと食べること、そして空想だったり、本や映画、ドラマを通した移動を伴わない旅、近場や一歩だけ足を延ばす小さな旅が何よりも好き。

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  • 地上波ドラマは私の晩酌

    一日の終わり、夜に観る地上波ドラマは、私にとって大事な切り替えの時間であり、そして最も身近な楽しみ、最も身近な旅、私にとっての晩酌です。

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街と旅のあいだ

旅って何だろう?   私にとって、「旅」は必ずしも身体の移動を伴わない。   体が弱くて、布団の中で過ごす時間が長かった幼い頃。 私は、物語の中の世界では、元気に動き回り、いろんな冒険に出かけたものだ。   大人になった今、私は国内だけでなく、海外に出かけたこともある。 遠くへの移動を伴う旅は、刺激的で、未知の体験をさせてくれる。   だけど、どこにも行かなくても、今いるここではないどこかに出かけ、いつもは知らない誰かと出会い、未知なる体験をすることが出来ると私は知っている。

    • もう11月なのに・・・

      10月期のドラマも折り返しの時期。 それにしても、今年は何と暖かい晩秋だろう。   このクールは、「3000万」と「宙わたる教室」、「全領域異常解決室」が待ち遠しい。 「3000万」は、偶然交通事故に巻き込まれた家族が、目の前の大金を盗んでしまったことから、金を盗んだ犯罪組織と警察の両方から追い詰められていくクライムサスペンス。   もし大金が目の前に転がってこなければ、もしお金に困っていなければ、主人公の夫婦が一線を越えることはなかっただろうと思う。   そういう夫婦だか

      • 十人十色の旅人たちが集う渡し舟|おうちで「東海道五十三次」旅 #3 川崎

        江戸を出発以来、たくさんの橋を渡ってきたように、東海道には大小たくさんの川があり、これらの川には橋がかかっていることもあれば、渡し舟を使って、あるいは物品の運搬などを行う人に肩車をしてもらって渡る川もありました。   江戸近郊の大きな川である多摩川には、江戸初期までは橋が架かっていましたが、洪水でたびたび流されてしまった為、1688年に橋が流されて以降は、渡し舟という方法が採られていました。   江戸時代、川を渡ることは防衛上も重要であることから、幕府が定めた「定船場(じょう

        • おうちで「東海道五十三次」絵と絵の間の旅 #2 品川~川崎

          早朝の日本橋を出発し、朝の内に1つ目の宿場、品川に到着した私。   建物が立ち並ぶ宿場を進み、目黒川を渡ります。 全長2㎞に及んだ品川宿も、海晏寺(かいあんじ)というお寺の門前までです。 またこの広重の浮世絵にあるように、品川沖は海苔の産地としても知られていました。 しかし埋め立てが進み、周囲の環境が変化したことにより、1960年代に品川の漁業は消滅してしまいました。 さて、かつての東海道は、品川宿の北境、八ツ山からこの鈴ヶ森刑場を過ぎるあたりまで、現在の国道15号の少

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        • 地上波ドラマは私の晩酌
          7本

        記事

          異国の空の下 スタバのフラペチーノ 【イギリス・ロンドン一人旅】

          その夏、私は初めての海外一人旅でイギリスに出かけた。   海外に行くのは初めてではなかったが、英語は大してしゃべれないし、臆病で、自分から積極的に行動したりするタイプではない私にとって、完全に一人での海外旅は、かなりの冒険だった。   そんなこの旅といえば今でも思い出すのが、ロンドンで飲んだバナナヨーグルトフラペチーノだ。 その年のイギリスは猛暑で、滞在中の気温は連日30℃を超えていた。   普段、夏でも30℃を超える日は少なく、蒸し暑い日本と比べると湿気も少ないイギリスで

          異国の空の下 スタバのフラペチーノ 【イギリス・ロンドン一人旅】

          終わりの見えぬ暑さ

          7月期のドラマも後半の時期。 オリンピックの熱戦は終わっても、厳しい暑さが続いています。   そんなこのクールは、「笑うマトリョーシカ」と「降り積もれ孤独な死よ」にハラハラしています。 人を惹きつける天賦の才を持つ若手政治家。 しかしその周囲では何人もが不審な死を遂げており、彼が実は主体性のない「操り人形」なのではないかと、女性新聞記者が疑ったことに始まる「笑うマトリョーシカ」。   自分の意思を持っているのか、それとも本当にただの「操り人形」なのかが分からない若手政治家を

          終わりの見えぬ暑さ

          あの戦争を現実味のある過去へ|中島京子『小さいおうち』

          本を開くだけで、ここではないどこかへ出かけられる。 そんな「物語の旅」は、読書の醍醐味だ。 子供の頃から、物語の中でも、海外小説やファンタジー、歴史・時代小説が好きだった。 物語の舞台は、自分が生きている「いま、ここ」の延長線上にあるよりも、「海外」、「空想の世界」、「過去」である方が、旅感が強くなる。 どうも子供の頃から、私はここではないどこかへ行くこと、「旅」というものを強く欲していたようだ。 ところで、江戸時代などを舞台にした「時代小説」は、過去は過去でも、昔過

          あの戦争を現実味のある過去へ|中島京子『小さいおうち』

          品川から海が見える?!|おうちで「東海道五十三次」旅 #2 品川

          江戸から2里、約8km。最初の宿場「品川」を描いた、広重のこの一枚。 何といっても、画面の左半分を占めている海にインパクトがあります。   江戸時代、海に面していた品川は、街道の宿場であるだけではなく、港でもありました。 海に目をやると、停泊中の船や帆を張った船がいくつも見えます。   沖の船は、一本マストに横帆一枚の「弁財船」と呼ばれるもので、各地から物資を積んで江戸を目指してやってきました。 しかし江戸の港は遠浅だった為、船は直接江戸には入らず、手前の品川沖に停泊し、ここ

          品川から海が見える?!|おうちで「東海道五十三次」旅 #2 品川

          おうちで「東海道五十三次」絵と絵の間の旅 #1 日本橋~品川

          長いタイトルになってしまった。   広重の浮世絵「東海道五十三次」で、江戸時代の東海道をおうちにいながら、想像で旅しようと思ったのだが、「東海道五十三次」に描かれているのは53の宿場だけ。   しかし実際には宿場と宿場の間に長い旅路が存在していて、東海道を想像で旅するためには、描かれてはいない、絵と絵の間の旅を無視することはできません。   広重の「東海道五十三次」自体もさることながら、この絵と絵の間を旅することが難しいということに、旅に出発してから気が付いたのです。   と

          おうちで「東海道五十三次」絵と絵の間の旅 #1 日本橋~品川

          自己中ではなく、個人の尊重?  フランスドラマ「6人の女 ワケアリなわたしたち」

          私にとって、旅は必ずしも移動を伴わない。   ドラマも、それを観ている間は、今いるここから、私自身の人生から離れられる「旅」の1つだ。 海外ドラマは当然だが海外が舞台なので、日本のドラマ以上に現実から離れやすく、旅感もより強く味わえる。 以前は随分とお世話になったものだ。   最近は以前ほど海外ドラマを観なくなったが、NHK日曜11時からの海外ドラマ枠で放送されていた、フランスのドラマ「6人の女 ワケアリなわたしたち」は結構面白く、考えさせられもした。 がんを患う6人の女

          自己中ではなく、個人の尊重?  フランスドラマ「6人の女 ワケアリなわたしたち」

          暑さが早すぎる

          4月期のドラマも折り返しの時期。 桜がなかなか咲かないなどと思っていたのも束の間、今年も、早くも暑くなってきました。   このクールは、毎朝の「虎に翼」に加え、「VRおじさんの初恋」と「アンメット」、「おいハンサム‼2」を楽しみにしています。 仮想現実(VR)において、女子高生姿で独り過ごすのが、唯一の楽しみである孤独な中年男性が、仮想現実で出会い、初恋をした美女は、現実世界では孤独なおじいちゃんだった。   今書いてみても、設定だけ読むとかなりのキワモノ感がある「VRおじ

          「虎に翼」は毎朝のエナジードリンク

          この4月からの朝ドラ「虎に翼」がすごくいい。   ヒロインの子供時代はなく、初回から伊藤沙莉が登場なのだが、とにかくテンポが良い。ドンドン話が進んでいくし、全く無駄がない。   朝からテンポよく笑わせてくれたかと思えば、シリアスな部分はじっくりと描き、コメディとシリアスのバランス、緩急の付け方がとてもいい。   シリアスなお芝居にも安定感があって、コメディエンヌとしても抜群な伊藤沙莉の魅力が、遺憾なく発揮されている感じ。   初回に「この朝ドラは絶対面白い!」と興奮したのは、

          「虎に翼」は毎朝のエナジードリンク

          私のこれからの本棚

          「本」と一口に言っても、物語もあれば、エッセイや詩集、専門書など様々な種類がある。   けれど私の中では、本と言えば「物語」だ。   何しろ私と本は「物語」で出会ったし、幼い頃、体が弱く、寝込むことが多かった私を、初めてここではないどこか、旅へと連れ出してくれたのも「物語」だった。   外を自由に動き回ることが出来なかった私は、本を読むことで、主人公や登場人物になり代わって、物語の中で自由に動き回わり、冒険が出来るようになった。   周囲の音や景色が消え、目の前に物語の世界が

          私のこれからの本棚

          そうだ、京都へ行こう!|おうちで「東海道五十三次」旅 #1 日本橋

          歌川広重の「東海道五十三次」の絵の中にどっぷり浸かることで、おうちにいながら江戸時代の東海道をゆく、想像の旅に出かけることにした私。 いよいよ、旅の始まりです。 広重の描く東海道の旅は、江戸の日本橋から始まります。   日本橋は、当時の江戸の中心である江戸城の東に位置しており、江戸城外堀から隅田川までを東西に結ぶ、日本橋川という川に架かる橋として、1603年に徳川家康によって作られました。 江戸時代、参勤交代と言って、大名は自らの領地と江戸に、原則1年おきに居住していま

          そうだ、京都へ行こう!|おうちで「東海道五十三次」旅 #1 日本橋

          おうちで「東海道五十三次」旅 事始め

          葛飾北斎らと共に、江戸後期を代表する浮世絵師である歌川広重。 その代表作「東海道五十三次」は、江戸時代に役人の往来や、書状その他様々な物品の輸送のために設けられた主要幹線道路、「五街道」の一つである、東海道を題材に、その53の宿場と、始終点である江戸・日本橋、京都・三条大橋を描いた55枚の浮世絵シリーズです。 江戸時代の中期以降、日本では農民や女性でも、有名な寺社などへの参拝を理由に、旅に出られる時代になりました。   当時、浮世絵一枚は、うどん一杯の値段と同じ程度だった

          おうちで「東海道五十三次」旅 事始め

          冬は駆け足に

          1月期のドラマも折り返しの時期。 何やら今年は、冬が足早に過ぎ去ろうとしているようです。   暖冬ではあるものの、このクールは「作りたい女と食べたい女」に心を温められている。   これまでも「あなたのブツが、ここに」や「ミワさんなりすます」など、いくつかの良作と出会ってきた、月~木の10:45からのNHK「夜ドラ」。   この「夜ドラ」枠、初の続編が「作りたい女と食べたい女」で、2022年末のシーズン1は、すごくよかったのに、話数が少なかったのが残念だったので、私にとっては待