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熊野路編【熊野路から那智勝浦へ】 四輪紀行

一週間ほどの旅程で四国に行く計画をしていたが、予定していたルートの山陽道がトンネル復旧工事で当分の間通行止めになったため延期、その代わり、と言ってはナンだが熊野方面に走りに行くことにした。

日本書紀を読んでいると、突拍子もない、と言うか、これはどういう意味があるのだろう、と思う説話があちらこちらにありなかなか面白い。そのひとつに神武紀の「井光(いひか)」があった。

ツーリングマップルを眺めているときに、たまたま R169 沿いに井光神社があることに気がついた。少し調べてみると、記紀に登場する「いひか」の伝承地らしく、近いうちにそこを目的地にして日帰りで行ってみようと思っていた。

自宅からそこそこの距離にあり、どうせそこまで行くなら、そのまま R169 を南下して那智勝浦までマグロを食べに行こう、と何がどうせか分からないことを思い始め、急遽一泊で熊野路四輪ツーリングに出掛けることにした。

8月はなにかとバタバタして、心身ともに少々疲れ気味で、エネルギー注入のためどこかに行きたかった、というのが本音のところだったかもしれない..

とりあえず那智勝浦のビジホを予約した。勝浦港のすぐ近くにあるようなので、夕食時にウロウロすればマグロにありつけるかも、と期待して..


● 2023年9月18日

7:30過ぎに自宅を出発、南阪奈道路を葛城ICで降りた。以前バイクでよく走っていたルートで吉野川に出て、R169 を山の中に向かった。

道の駅 杉の湯川上で最初の休憩。そこから少し先にある橋を左折して吉野川の対岸に渡り、井光川沿いに進むと釣り堀のような施設があった。アマゴ料理の食事もできるらしい。立て看板の案内地図を見ると、そこから左に折り返した先に稲荷神社の鳥居マークが描かれていた。

急な坂道を登って行くと山の斜面に小さな集落があり、石造りの鳥居が立っていた。そのまま先に進めば戻れるか分からない細い道になったので恐る恐るバックして方向転換し、神社前のスペースに車を停めた。
鳥居を見上げると真ん中に井光神社の文字を浮き出させた札があった。

井光神社

小さな境内の奥には太い幹が緑色に包まれた古木が立っていた。
それにしても、なぜこの小さな山里が記紀の伝承地とされたのだろう..と不思議な思いがするところだった。

R169 に戻った。下北山スポーツ公園辺りまでは大部分が山肌の高いところをトンネルが貫く快走路。昔は谷筋を這うような道だったが..

黄緑色のキレイな芝生が眼下に見えた。公園の駐車場に車を停めしばらく休憩。

下北山スポーツ公園

その先を r223 に右折。トンネルを抜け三角形の二辺をショートカットするような感じで再び R169 に出て瀞峡方面に向かった。

随分昔にバイクや自転車で瀞峡を訪れたことがある。狭い国道からキレイな峡谷を挟んだところになにやら趣きのある建物が建っていた記憶があり、そこに寄ろうと思っていたが、トンネルが整備された二車線の道を気持ちよく走っていたので通り過ぎてしまったらしい。パッと目に入ったトンネル入口の銘板に瀞峡トンネルと書いてあったような気もする..

しばらく走ったところに左下に折り返す道があった。そこを戻れば瀞峡に行けるのかもしれないが、戻るのもナンなのでそのまま熊野本宮大社に向かうことにした。瀞峡はまた次回の楽しみに..

R168 に折れ熊野川沿いにしばらく北上。この辺りの川原はほんと広い。学生の頃初めてこの道を自転車で走ったとき、その広さに感動した記憶がある。当時のままの風景が続いていた。

熊野川沿い

熊野本宮大社に着き車を降りるとこの時期とは思えない陽射しと暑さ。
拝殿までの階段を息を切らせながらよたよた登ると、そこには娘が小学生の頃に訪れた時と同じ境内の風景があった。

熊野本宮大社

参拝を済ませ、懐かしい境内を見渡しながら木陰で涼んでいると、和装姿の新郎新婦が拝殿の一番左側の入口から中に入って行った。周りを取り囲むようにして見ていた参拝者の中から自然と拍手が起こっていた。

R168 を新宮市に向かった。それまでの青空がなくなり、道の駅 瀞峡街道熊野川の先には、もわもわっとした雲がまとわりついている。その中に突入すると案の定ドシャ降り.. 新宮市内に入る頃には道は乾いて青空が広がっていた。どうやらその辺りだけに降っていたよう..

先日図書館で借りた本で、紀元前3世紀頃、秦時代の徐福という人物が日本に来て各地を巡った伝説があることを知った。新宮にも訪れた伝承があるらしいので、当地の資料館に寄ってみることにした。

新宮市歴史民俗資料館は阿須賀神社の境内にあった。入場料 220円を払って入館すると、1、2階の展示室はこじんまりしたもので必要最小限のものを展示している感じ。2階展示室への階段の壁に徐福関連のパネル展示がされていた。残念ながら図録は販売されていなかった。

新宮市歴史民俗資料館

資料館の見学を終え、那智勝浦まではバイパスを通らずに R42 で向かった。宿は漁港のすぐ前にあり、チェックイン時に、近くにマグロが食べられる店があるか尋ねると、20軒ほどあり、5時半頃に開店するとのこと。

那智勝浦

漁港の街を散策した。20数年前、バイク(VFR800)で那智勝浦を訪れたときは(当時は日帰りでここまで来る元気があった^^)、確か漁港のすぐ側ある小さな店に入った。中は 5人ほどが座ればいっぱいになるカウンター席のみ。その時食べたマグロの赤身の美味さが忘れられず、今回この地を訪れたのだが、それらしき店は見当たらず。残念..

夕食にはまだ早い時間だったが、特に行く当てもなかったので、開いていた店の暖簾をくぐった。カウンター席には、おそらくフランス語?をしゃべっている親子連れの外国人客がいた。カウンター席の端に座りマグロ膳を注文した。

….次回を期待し当地を再訪したときに、あの赤身マグロが食べられる店を探してみよう^^

マップで近くのコンビニを探し、ノンアルビールとバナナを買った。夕暮れの穏やかな漁港に座り、やっと涼しくなった風にあたりながらその日の要点をツイートしておいた。

漁港では遊覧船やホテルに向かう船が頻繁に行き来し、レンタサイクルに乗った夫婦らしき年配の外国人がこちらを見ていた。こんなところでマスクをしている私の姿が珍しかったのかも^^
那智勝浦の時代も変化しているようだった。


● 2023年9月19日

朝食は宿の「無料朝食」。この「無料朝食」という言葉は宿によってその内容が様々で、宿のサービス全般に対する考え方が垣間見れるようでなかなか面白い。

宿の玄関を出るとすぐ前が漁港。海が青空に輝いて見え気持ちよい。帰路は、潮岬経由で西海岸を北上するか、ここから東海岸を北上するか迷ったが、久しぶりに R166 を走りたくて後者にした。

R42 を北上していると鬼ヶ城の案内標識が目に入った。入口が分からず通り過ぎてしまったが、その先のトンネルを抜けた所に、ここからも鬼ヶ城に行ける、ような看板があったので右折、広い駐車場があった。

鬼ヶ城の駐車場

遊歩道の方に歩いて行くと大きな売店があった。まだ開店していないのか人の気配がなく静か。
浸食され洗濯板のようになった岩盤の上に遊歩道が造られ、左側の崖下には青い海の波が寄せている。

獅子岩の立札があり、その先の岩壁には、親指と人差し指で丸をしたような穴が開いている。
そのときは気付かなかったが、撮った写真をあとから見ると、確かに口を開けた怪獣の横顔のように見える。

獅子岩

この辺りは世界遺産になっているらしく、丸い穴をくぐるとさらに奇岩の景色が続いていたが、そこから先の遊歩道は台風で崩壊したため通行止めになっていた。遊歩道を戻っていると団体客の行列とすれ違った。

鬼ヶ城の遊歩道は通行止め

熊野から紀勢道に乗った。紀伊長島までは無料区間。もう 30年近く前になるが、R42 で松坂方面に向かったときはかなり時間がかかった記憶がある。今は高速道で一気にワープできるようになっていて、ちょっとびっくり..

紀伊長島ICで紀勢道を降り R42 を走ることにした。道は空いていて快走できる。皆さん高速道を走り、うまく交通分散されているのかも..

多気町で R368 に折り返すように左折したあと、R166 に入った。道の駅 飯高駅で昼食休憩。駐車場は結構混んでいる。昨日の昼食は道の駅 おくとろで肉うどんにしたが、今日も肉うどん。松坂牛のA5ランクを使っているらしく、期待以上に柔らかい肉質で出汁も美味かった^^

飯高駅の肉うどん

R166 を快調に西進。集落の中を通る道幅の狭いところでは、両側の家々にその土地の暮らしぶりが感じられる。
峠道に差し掛かると赤い橋が頭上高くに横切っていた。そのループ橋をグルっと回ったところの反対車線側に展望台があったが、気付くのが遅くて寄れず..そのまま高見トンネルに入った。

高見トンネルのループ橋

以前自転車で大宇陀から室生寺方面に抜けた時、確かこの辺りを走ったかな..と思いながら辺りを見渡したが、反対方向から来ているためかその時の記憶と一致しない.. トンネル近くの道路脇にサルがいっぱいいて、ちょっと怖かった記憶はあるのだが..

道の駅 宇陀路大宇陀で最後の休憩をしたあと、近くの公園に寄った。自転車で室生寺方面を周ったときは、ここに車を停めさせてもらった。室生寺辺りでドシャ降りに合い、濡れネズミでここに戻って来たことを思い出す。

大宇陀の公園

ナビに自宅をセットし葛城ICから南阪奈道路に乗った。自宅には 16:30 過ぎに着き、今回の熊野路四輪ツーリングは終わった。


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