あの夜に買ったクッキー&クリームを私は甘くて飲めなかった
ぱちん、となにかが弾ける音がした。
気が付くと私は、夜の八時にひとりで散歩に出掛けていた。
いや、気が付いたらだなんてそれは嘘だ。布団のなかでうんうんと唸りながら考えて、衝動を抑えようとして、でもだめだった。いつもなら大丈夫なのに。子育てを始めて十年ほど経ち、家族になにも言わずに家を出たのは始めてのことだった。旦那にはあとから『散歩に行ってくる』とだけメッセージを送った。
11月の半ば、とても寒い。でも、ここから逃げたいという気持ちの表れかのように前に進む足は止まらなか