苦しいものを背負わせるために産んだんじゃない。
「その薬は、お母さんを元気にしてくれる薬なの?」
純粋な疑問をまっすぐにぶつけられたとき、私はいつも言葉に詰まる。長男は私を心配して言ってくれているだけで、困らせようとしたわけではない。しかしその質問に笑顔で即答できなかった私の顔を見て、彼は慌てて自身の発言を打ち消した。
「あ、やっぱりいいや。わかった」
本当は納得も理解もできていないことを、「わかった」ということで”この話はおしまい”と打ち消そうとする。長男のこの癖は、私の幼い頃とよく似ている。
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誰しもが、本