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フリーランス2年目。働き方とお金と自信の話。①

〈はじめに。〉

今年でフリーランス2年目になる。仕事はドラマやドキュメンタリーの字幕翻訳だ。翻訳学校に3年通い、しばらくフルタイムで働きながら定時後に翻訳の経験を積み、思い切って独立した。

フリーランス1年目は完全に手探り状態だった。今も手探りは続くけれど、少しずつ積み重ねた経験も確かにあって、ざっくり言うと「去年よりいい感じ」にはなっていると思う。何をもって「いい感じ」と言えるのか、少し振り返って書いてみたい。
フリーランス2年目に思う、働き方とお金と自信の話。長くなりそうなので、3回に分けて公開する。

〈働き方を決めるのは自分。〉

一度、ありえないほど大変な仕事を引き受けてしまったことがある。まだ自分の仕事のペースを掴みきれていない時期に受けた案件だった。「納期が少しキツそうだけど頑張ればいけるはず」「レベルアップするには少し負荷をかけることも必要だ」と、自分を鼓舞して引き受けたのが甘かった。

素材の到着遅れに加えて納期の若干の前倒し、さらにイレギュラーな対応も重なって、1週間のうち最後の4日間はトータルで3時間ほどの仮眠でなんとか仕上げた。あれはさすがに限界を超えた働き方だった。
睡眠不足のせいか、だんだん祭りのお囃子のように騒がしい耳鳴りが聞こえ始めて鳴りやまなくなった。なんとか納品を終えて気が緩んだ瞬間から半日ほど、いきなり目の焦点が合わなくなった。メガネをかけても、近くも遠くも白くぼやけてしまってはっきり見えないのだ。目が見えなくなったらこの仕事はできなくなる。あの恐怖は二度と経験したくない。

自分のことを守れるのは自分だけだと、当たり前のことを痛感した。受注した後に条件が変わった場合、無理だと判断したら断る勇気も必要だ。勇気というか、今思えば断るのが普通だ。そもそもスケジュールを組む時に「ちょっと無理すればできるかも」という楽観的な考えで受けてはいけないということも、この時に思い知った。

以来、余裕がなさそうな案件は無理に受けないようにしている。とにかく体が資本なので、健康第一、安全第一。これが鉄則になった。

休み方も昨年から大きく変わった。正確に言えば、あらかじめ遊ぶ予定を入れて休む日を作れるようになった。昨年は「仕事が入るかもしれない」と思うと、気軽に友達と約束もできなかった。ほとんど出かけることなく、家にこもって仕事ばかりしていた日々。季節の変化を肌で感じることもほぼないまま年末に突入して、さすがにこの働き方はマズいと思った。心に潤いが足りなくてギスギスしてくる。

そこで今年はスケジュールが空いている数か月先には遊ぶ予定を積極的に入れていった。できれば1か月に1つは楽しい予定を入れておきたい。会社を経営しているわけじゃないし、ひと月の収入が少し減ったとしても、それで何かが潰れるわけではない。それより自分の心がすり減って潰れないようにすることのほうが大切だ。

遊びの約束のために断ることになる案件もあるが、そこはもう割り切ってまた次の仕事を頑張ればいいと思うようになった。適度な休息を挟むことで仕事へのやる気もさらに高まる。働き方を自分で調整できるのがフリーランスのいいところだ。この先、また仕事漬けになる年もあるかもしれないが、健康でさえいれば、そしてそれが自分の意思であれば、どんな働き方もありだと思う。その時その時の自分と相談しながら、自分が楽しめるように仕事と遊びの比率を適宜調整していけたらいいのだ。

(②に続きます。次はお金の話がメインです。)

#フリーランス #働き方 #コラム #仕事 #エッセイ

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