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4分56秒のタイムスリップ

4分56秒のタイムスリップ

仕事帰りに寄った純喫茶

懐かしい曲が流れてた

昔、彼とよく聴いた

2人で、暮らし始めた頃は
そのバンドにハマってた

夏フェスに出るみたいと
取れにくかったチケットを取るため
パソコンに、はり付いて
なかなか繋がらないサイトに
文句言いながら
長い時間、格闘してた

夜中にやっと取れて
二人して
“やったー”と
声を出さずに、はしゃいだのを思い出す

この歌詞のここが好き
とか
この曲の暗い感じがいいね
とか

お酒とおつまみと音楽
夕食後のひととき

同じものを見て
同じように感じて
共有する
ただ、それだけ

 
その日、突然の訃報
好きなバンドのボーカルが亡くなった

この後、ボーカルが変わって
バンドは継続してるんだけど

ふたりにとっては
そのボーカルの書く歌詞と 曲が 声が
ないバンドは
べつもの で

ふたりのなかで
いつしか
共有するものが
無くなった

ぴったり、合っていた歯車が
少しずつズレていく

いままで感じてなかった
おたがいのイヤな所が見えてきた

彼の転勤がきっかけで
それは決定的になった

じゃあね、元気で
また、連絡するよ

そう言ったふたりは

それから
連絡することもなく
会うこともなかった

優しい思い出だけが残った

嫌いになったわけじゃなくて
嫌いになるのが怖かった

あのボーカルが書いた歌詞のように
ノスタルジックな思い出が
セピアにあせていく

懐かしくて

切なくて

愛おしい

あの時間へ

4分56秒のタイムスリップ

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