見出し画像

【第8話】就活、どん底

2020年 4/20 のアーカイブ

コロナの外出自粛が始まってから大体2週間くらいが立っただろうか。時折webで面接を受け、落とされ、たまに散歩し、友達と電話し、自分で稼いでみようかなと思ってみたり、本を読んでみたり、現実逃避をしてたりするうちにまた1つ日が落ちる。

自分の心の中は「空虚」と「絶望」。時々幸せを感じることもある。涼しいベランダでぼーっとしている時、音楽を聴いている時、コーヒーを飲んでいる時。でもそれはたったひと時のもので、おそらく自分の心の中の絶望の対極に過ぎない。

決して明るいとは言えない未来に、なぜ辛い道を歩いて向かわねばならないのだろうか。本を書いてみたい。世界中を旅してみたい。自分の考えを世界に発信したい。今の世の中では全てが可能である。しかし、1度走り出したらもう止まれないのだろう。今の世の中はそういう場所である。

例えば売れない小説家がいたとする。何十年という長い下積み時代を過ごし、努力の末に賞をもぎ取ったとする。何十年という下積み時代、クズという烙印を押し、否定し続けるのが社会という場所だ。しかし、賞という形ある結果を残した途端に家に招き入れ、酒や料理、あったかい寝床などを用意して、引くほどのもてなしをするのが社会という場所だ。俺の心の中にある社会。何周捻れているのかも分からなくて、すでにちぎれているのかもしれない。

過程は全て無視。結果が出た時にのみ美談としてスポットライトが当たる。判断材料は金と結果。当たり前だろ。お前らは社会に出て働いてないんだから。当たり前、、、

「自分の人生で何が一番大切なの?」
「俺は尊敬できる好きな人たちと過ごす時間が一番大切」真っ直ぐな目をした友達は真っ直ぐな声でそう言った。心にぽっかり穴が開いてしまっている俺は、結局何が大切なのか分からなかった。何より、自分の価値観がブレブレな事が悲しかった。

自分に自信があれば、社会とはほとんど自分であるのだから。


2021年 1/15現在のコメント
就活期の完全に病んでしまっている文章。日記はノートに手書きで書いているのだけど、書き殴られた筆跡からも当時の気持ちを思い出す。

最終的には、志望していた企業に運良く内定を貰う事ができた。外側から見れば、自分の就活は成功したと言われるのかもしれない。しかし自分の中にあるのは成功した感覚ではなく、釈然としない煮え切らない気持ちだ。結果に満足していない訳ではない。ただ、就活は何かがおかしい。うまく言語化できていなくて申し訳ないが、就活は何かがおかしい。人をいとも簡単に精神的にギリギリの所まで追い込んでしまう制度。どうしても納得がいかなかった。

ぬるい事を言っているのは分かっている。当時の文章も今の文章も現実を歪めてしまっているのは分かっている。その上で、納得がいかない。未だに納得はいっていない。就活という制度はおかしいと思っている。今の自分は、当時のこのねじ曲がった文章を否定する事はできない。

ただ、未来を見据えた時に、今はこの当時よりも現実主義になれている。現実を見た上で、やるべき事を1つずつ継続してやり続けるのだ。

この記事が参加している募集

#就活体験記

11,779件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?