【第12話】志望動機に迷ったら、どうか見てほしい
はじめに
現在、就活に苦しんでいる人に向けて、この文章を書いています。
自分は昨年、就職活動を行なった。結果から言えば、志望していた企業から内定を頂くことが出来た。しかし、就活は順風満帆だった訳ではなく、特に最初の方はESや面接で落とされまくっていた。その失敗を元に試行錯誤を続け、なんとか内定まで漕ぎ着けた、というのが自分自身の就活の記憶である。
その試行錯誤の末にたどり着いた、「こうしたら上手く志望動機がまとまるんじゃないか」という発見を、今回は書こうと思う。
別のところにも書いたのだが、自分は就活が結構苦しかった。就活という制度に関しては、未だにどこかおかしいと思っているし、大企業に入れた自分は凄い、と思っているような人もあまり好きではない笑。
それでも自分は、腹に力を入れて、就活を乗り切らなくてはならなかった。
もしかすると、自分のように、就活を乗り越えなければと思っているけど、お腹に力を入れるやり方もよく分からない人が沢山いるかもしれない。
この文章は元々、大学の後輩の手助けになればと思い、作成したものだ。しかし、自分のように苦しんでいる人の助けに、少しでもなれば、と思いnoteにも書くことにした。
ただ、考え方は人それぞれだから、自分に合わないと思ったら別のやり方を試してほしい。自分の人生は自分で進めていくしかないのだし、そこは自分で責任を持って決めてほしい。
尚、ここで説明する考え方は、Utsuさんという方の「人生の目的論」という考え方を参考にしている。UtsuさんはYoutubeや書籍を通じて「人生の目的論」について説明をされているが、就活やその後の人生にとても役立つと思われる内容なので、そちらも是非見てほしい。
この先で話しているのは、その「人生の目的論」を自分なりに少しアレンジした形、だと思って見てもらえると有り難い。
志望動機をつくる際のイメージ
まず、志望動機をつくる際のイメージから見ていこう。
【自分のやりたい事】
↑
【業界】
↑
【会社】
↑
【自分】
まずはじめに、自分のやりたい事がある。それを達成するための手段として会社がある。自分はやりたい事ができるような会社を選んで、エントリーをする。
(この自分のやりたい事を、Utsuさんは「人生の目的」と表現している。)
【会社】
↑
【自分】
間違っても、こうしてはいけない。
会社をゴールにしてしまうと、「なぜその会社に入りたいのか?」という志望動機が、「その会社の〜という理念に惹かれているから」などというように、その会社の説明のようになってしまうからだ。自分よりも、面接官の方が絶対にその会社の事に詳しい。すぐにボロが出るだろう。
志望動機のざっくりした例
言葉で説明するよりも、ざっくりとした例を見てもらった方が分かりやすいと思うので、志望動機のイメージを書いてみた。ここでは、ある鉄道会社を志望しているとする。
「社会に変化を生み出す事で、人々の生活に貢献したい」という想いがある。
(自分のやりたい事)
↓
ただ、そのような会社は世の中に多くあるので、自分なりに軸を3つ設定して会社を見ている。
↓
1.立場の違う様々な人と協力して仕事をする事
2.人々の生活に近い場所で仕事ができる事
3.人や社風が自分に合っている事
鉄道会社
↓
駅を中心としたまちづくり、生活サービスの提供などを通じて、人々の生活に大きな影響を与える事ができる
↓
さらに、
1.デベロッパーやゼネコン、店舗の人など、様々な人と関わりながら、まちづくりを進める。
2.駅を中心とした街づくりは、人々の生活に密着している。
3.OB訪問などでお会いした社員さんや社内の雰囲気(社風)が良かった。
↓
自分の軸に合っており、志望している。
上が、自分が会社を選ぶ際に設定している軸。
下が、それを鉄道会社に当てはめたもの。
というイメージだ。
順番に1つずつ解説していく。
自分のやりたい事について
まず、自分のやりたい事について見ていく。
上の例だと、
「社会に変化を生み出す事で、人々の生活に貢献したい」という想いがある。
という部分が自分のやりたい事だ。
これは、自分の過去の経験を遡って考える。
(自己分析)
自分の場合は、過去の印象的だった経験を、思い出せる限り、文字に起こした。その中から、自分はどんな時嬉しいと感じるのか、どのような時に楽しいと感じるのか、などの共通項を整理して、それが会社での仕事にも当てはまるように抽象化した。
また、これを面接でよく聞かれる「学生時代頑張った事」などのエピソードにリンクさせる。
部活内の制度を改革してチームに貢献した。
↓
その事がとても嬉しく、「社会に変化を生み出す事で、人々の生活に貢献したい」という想いがある。
など。
自分の経験を遡って、やりたい事を抽象化しているので、元となる体験は探せばたくさんあるはずだ。
「なぜ、『社会に変化を生み出す事で、人々の生活に貢献したい』と思ったの?」
↓
「自分は〜のような時に嬉しさを感じるからだ。例えば、大学の部活では〜という経験があった。」
面接では、このように受け答えができるイメージだ。
また、
駅を中心としたまちづくり、生活サービスの提供などを通じて、人々の生活に大きな影響を与える事がができる。
という鉄道会社の仕事内容が、自分のやりたい事にリンクしている。
鉄道会社に入れば、
「まちづくりなどを通じて、人々の生活に大きな影響を与えられる」
つまり、
「社会に変化を生み出す事で、人々の生活に貢献する」というやりたい事が達成できる、という論理構造である。
この部分は、自分が入りたい会社の実際の仕事内容を参考にするのがよい。企業の説明会、OB訪問、ホームページなどを参考に、仕事内容を言語化し、それが、自分のやりたい事とどうリンクしているのかを考える。
(自分のやりたい事を見つける具体的な方法は、Utsuさんが詳しく解説しているので、そちらも参考にして頂きたい。また、Utsuさんの人生の目的論の場合は、この例よりも、自分のやりたい事の抽象度が一段低い。自分はそれを上手く言語化出来なかったため、その抽象度の高さを、3つの軸を設定することによってカバーしている。)
軸について
次に、軸について見ていく。
ここでは、やりたい事の抽象度が少し高い。
抽象度が高いという事は、それを達成できそうな会社がその分多いという事だ。
「社会に変化を生み出す事で、人々の生活に貢献したい」という想いがある。
これは、別に鉄道会社じゃなくても、銀行でも、メーカーでも、デベロッパーでも達成できるかもしれない。
しかし、そんな中でも鉄道会社を志望する理由を示さなければならない。
そこでここでは、3つの軸を設定している。
1.立場の違う様々な人と協力して仕事をする事
2.人々の生活に近い場所で仕事ができる事
3.人や社風が自分に合っている事
電鉄の仕事内容を考えると、
1.デベロッパーやゼネコン、店舗の人など、様々な人と関わりながら、まちづくりを進める。
2.駅を中心とした街づくりは、人々の生活に密着している。
3.OB訪問などでお会いした社員さんや社内の雰囲気(社風)が良かった。
という点で軸を満たしているので、志望している、というイメージだ。
ここでポイントなのが、自分が受ける他の業界にも当てはまるような軸を設定しておく事だ。
例えば、電鉄のほかに飲料メーカーを志望しているとする。
飲料メーカーは、
1.工場の人、物流の人、販売店の人と接する
2.消費者の手に届く最終製品を扱う
3.社員の方の雰囲気や社風に惹かれている
という点で軸を満たしている。
自分の受ける複数の業界に当てはまる軸を設定しておく事で、なぜその業界を受けているのかについて、論理的に説明できる。
自分の受ける業界の仕事内容をしっかり確認して設定するのがいいだろう。
例えば、 b to cメーカーとb to bメーカーを志望している場合には、
「自分の会社の製品を持って仕事をしたい」
という軸が立つかもしれない。
しかも、受ける会社に応じて、このような軸をしっかりと設定しておけば、
「なんで商社は受けてないの?」
というような質問に、
「自分の会社の製品を持って仕事がしたいからです。」
と簡単に受け答えができてしまうのだ。
またここでも、設定した軸と自分のエピソードはリンクさせておこう。
同期や先輩後輩、OBの方などと協力して部活を運営して、それにやりがいを感じた。
↓
社会に出ても、様々な人と関わりながら仕事に取り組みたい
など。
これが「なぜその軸を設定したの?」
という質問に対しての根拠になる。
さらに、その複数受けている業界の中で、なぜ特にその業界に行きたいのかを、説明をする必要がある。
例えば、b to cメーカーとb to bメーカーを志望しているとする。
面接で「何でb to bメーカーよりb to cメーカーに行きたいの?」などと聞かれた場合に、
b to cメーカーに惹かれている理由を説明しなければならない。
そのような質問には、以下のように回答するといいだろう。
『b to c メーカーの面接の場合』
b to b メーカーに比べてb to cメーカーは、
より消費者に近いとこで仕事ができる。
→社会に与えた影響を、より実感できると考えており、b to cメーカーに惹かれている。
『b to bメーカーの面接の場合』
b to c メーカーに比べてb to b メーカーは、より広い範囲の製品に関わる事ができる。
→社会に与える影響がより大きいと考えており、b to bメーカーに惹かれている。
このように、自分のやりたい事と絡めて説明するといいだろう。
物事には二面性があるため、視点を変えれば上手く説明できるはずだ。
尚、自分は実際にはb to cメーカーなどを受けておらず、あくまで一つの例として挙げているので、自分の受ける企業の事は自分で調べて、自分なりの軸を設定してほしい。
その中でも、なぜ御社か
ここまで、「やりたい事」「軸」について説明をしてきた。しっかりと自己分析して考えれば、ここまでで、
「どういう事がやりたいのか」
「どういう基準で会社を選んでいるか」
「なぜこの業界か」
という所まで、論理立てて、説明できるはずだ。
最後に、その業界の中でも、なぜその会社に入りたいか、という事を説明する必要がある。
この部分の説明の仕方は、大きく2種類あると思う。
1つは、その企業の人や社風を決め手とするパターンだ。
OB訪問などをしていれば、社員の方の人柄、仕事に向かう姿勢、その方から聞いた社内の雰囲気などが根拠となる。
どんな社風か、社員の方のどんな所が良いと感じたのか、などをしっかりと言語化しておきたい。
もう1つは、その企業の事業内容などを決め手とするパターンだ。
具体的な事業や、企業の規模などが根拠となる。
しかし、個人的には、できれば1つ目の説明の仕方をオススメする。
なぜなら、自分たちよりも社員の方の方が、その会社についてよく知っているからだ。社員の方の前で、その会社の具体的な事業などについて話すのは少々危険である。
対して、社員の方の雰囲気、仕事への姿勢などに対する印象は、自分の主観によって決めるものだ。
そのため、
「社員の方の仕事に対する姿勢にとても惹かれました。」
という回答に対して、面接官は、「具体的にどんな姿勢がよかったか」などを聞く事はできるか、その意見を否定する事はできないのである。
まとめ
以上が自分の考える、志望動機をつくる際の基本的な考え方である。
ここまでの流れを軽くまとめておく。
【志望動機をつくる際のイメージ】
「自分のやりたい事」
↑
「業界」
↑
「会社」
↑
「自分」
【会社を選ぶ基準の説明の仕方】
「やりたい事」
↓
「さらに軸を設定する」
【業界、企業への志望動機】
「やりたい事、軸から、〜の業界を志望する」
↓
「その中でも御社の〜に惹かれている」
何度も言うが、志望動機の考え方は1通りではないので、自分がしっくりくるものを自分で選択してもらいたい。
就活は大変だが、この時期に自分自身について真剣に考える事は、意味がある事だと思う。
この文章が、読んでくださった方の助けに、少しでもなれていれば幸いです。幸運を祈っています。
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