脆いように見えてトラブルに強い日本建築みたいに生きたい。
こんにちは。
春野太陽です。
私はたびたび街中で瓦屋根の家を見つけると
なんだか誇らしい気分になります。
瓦屋根のおうちって日本らしさが存分にあって
素敵ですよね。
でも私が感じる魅力はその見た目にあるのではなくて、
その構造を作り上げた昔の日本人の発想の素晴らしさや魂です。
瓦屋根にこんなに勝手に誇らしくなるようになったのはいつ頃だったか…。
さかのぼると、最初は東日本大震災がきっかけだったと思います。
中学生当時、下校間近の時間に大揺れ。
その後、教室にクラス全員集められ
緊急職員会議を終えた担任から【下校時の注意喚起】を受けて下校。
そのときに見た下校時の景色は、いつもと違うものでした。
ブロック塀も倒れ、信号機はつかないし、
なにより昔ながらの瓦屋根の家は、
瓦が落ちて割れてとても可哀想な家に見えた。
『あぁ、私の家は瓦屋根じゃなくてよかった』
と当時の無知な私は安直に考えていました。
そしてそこからどのくらいだったでしょうか。
Twitterなのかyoutubeなのかテレビなのか、
【瓦屋根は最初から割れやすいようにできている】
ということを知ったのです。
その意図はというと
《瓦は重ねて乗っけるだけですぐに屋根が作れる。昔の日本人は、地震が多い日本では揺れたら簡単に屋根が壊れるようにして建物自体の重さを軽くして建物が潰れることを避けられるようにした。かつ乗せるだけで屋根を作り直せるような修復が簡単なこの方法を生み出した。》
ということです。
普通建物を建てようと考えたら
地震にびくともしない頑丈な屋根を作る
と考えたくなるのが一般的だろうなところ、
揺れが来たら自然に落下するようにしてその後の修復も簡単にできるようにする
の考え方を思いつくのが柔軟な素晴らしい発想で
『諸行無常=物事は常に変化し続ける』の
精神を持つ日本人らしい魂だからこそかなと感動しました。
同じく、よく神社や仏閣に使われる釘を使わない製法もです。
一見、部品同士をくっつける時に釘を打てば
頑丈にくっついて離れないように思えます。
でもそれは、経年劣化や化学反応で
木も金属も腐食させていきます。
そして腐食してしまった部分の修復は
1からの作り直しで大掛かりです。
一方で、釘を使わない技術の建築では
もちろん材料には木しか使わないし、
パズルのようにはめ込んで作り上げていきます。
釘がないことで接続部は脆くないのかと思えますが、
しっかり噛み合って離れないように0.1ミリの世界で職人は木と向き合っています。
そのおかげで、腐食は激しく起こらないし
お手入れや修復などはまたパズルを解体するようにすれば、
木の寿命自体は長いので部品を取り替えずとも使い続けられます。
そして建築として素材の一体感で美観も保たれますよね。
こんな方法を編み出した昔の日本人と技術者、
本当にすごい!
瓦屋根にしても、釘なし建築にしても、
目標が《建築したての時が強度も美観もMAX》
にあるのではなく
《長く使い壊れるのが当たり前でいかに直しやすいか》
に焦点を当てられているのが、目から鱗。
そして、それを思うと、
壊れやすい=悪いこと
ではないんだなぁとなんとなく勝手に勇気をもらいました。
壊れやすいことは自分を守るためにある。
壊れが早いなら傷も浅いうちだから治りやすい。
丁寧で繊細で選び抜かれた技術は建築を守る。
丁寧で繊細で真面目な私は自分を大切にできる。
なんだかそんな大それたことを
日本建築から教えてもらったような気がして
勝手に街中の瓦屋根や神社を見て嬉しくなってしまうこの頃です。
逆転の発想は大事だなと思いました。
壊れないように作るんじゃなくて壊れやすいように作っておく、かぁ〜。すごいなやっぱり。
(iPhoneの充電ケーブルが壊れやすすぎるのは許せないww)
日本建築みたいに、
トラブルで壊れても修復しやすい
そして見た目にも精神にも美しい
そんな生き方をしてみたい。
2024.06.16(Sun)
春野太陽