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心臓に突き刺さったナイフをわたしの特別が抜いてくれた

 絶望が背骨を辿って津波のように押し寄せてくる。荒廃した街並みは瞼の裏に鮮烈に焼き付いている。真っ赤なアラートが耳小骨を地響きのように揺らして破壊する。さあ、どうしようかな。目を背け続けるのもアリかもしれない。でも、向き合い踠き続けるのもいいな。そう思えるようになったのは、ある表現がぐるぐる巻きに幽閉しておいたトラウマという刃物を抜いて昇華してくれたから。傷つきにより、未知なる心の動き、感情と出会う。それを肯定し引っ張り上げてくれる優しさを知る。ああ、私もこういう存在になりたいと自然に思った。苦しみに寄り添って一緒に希望へ向かえる人間になりたいと。最初は医者を目指したりしたけれど、”私”だからこその救済はなんだろうと考える。たくさん考えた一年だった。私は私を救ってくれた方のようになりたい。それは全く偽りのない本心だ。だから、私はその夢に必要な努力をする。




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眠れない夜に

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